日本アニメのアメリカ市場・攻略法とは?-JETRO「アニメ米国レポート」より
先日、JETROから「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート」というレポートが発表されました。
御存知の通り、近年アメリカではアニメ・マンガニーズが爆上がり中。
この流れを最大化するため、日本のコンテンツホルダーが意識すべき「お作法」や「商習慣」について丁寧なインタビューを元にレポートしています。
で、読んでみると、コンテンツホルダーにとって参考になりそうなヒントが沢山散りばめられているぞ!ということで、今回は本レポートをボクなりにまとめてみました。
「時間なくてレポート読む時間がない!」という方、是非チェックしてみてください!
米国市場の需要の2つの変化
米国のアニメ・マンガ市場は、近年ますます重要な市場に
パンデミック期間中、アニメとマンガの需要が急増。米国ファン層が拡大・多様化。方向は大きく分けて2つ
①「若年層やカジュアル層への広がり」②「購買力のある年齢層(『大人が内なる子供(inner child)を満たすことを恐れなくなった<kidut>』」
要するに潜在的ファン層が確実に拡大した
キャラグッズ単体では人気が見込めず、「ストーリーテリング(物語性)」が重要になる
「Hello Kitty」はTVショーやコミックブックが存在しなかったために人気が落ち込んだ時期があった
ところが、「Hello Kitty and Friends」のYouTubeチャンネルが新しいファン層を獲得し、他のキャラクターの人気向上にも寄与した事例も
つまり、キャラを流行らせるためには、何かしらのストーリーがないと共感が生まれない?
そのためにまず行うべきは「Youtubeでの配信」など
配信タイミングは日米同時が基本!
米国市場では、日本と同時にリリースや配信(サイマル配信)を行うことが成功の鍵。ネットの普及により、日本企業が思っている以上にファンは情報を持っている
そのため、世界(米国)でのリリースが遅れると、米国ファンの関心が薄れてしまう
世界中のファンにタイムリーに情報を出すことで、「コミュニティ意識」が生まれ世界的ファンベースの構築につながる
オフライン施策では「インタラクティブな仕掛け」を
米国市場でのマーケティング戦略として、オンラインとオフラインを組み合わせることが効果的。言わずもがなYouTubeやTikTokなどの動画メディアを活用したデジタル広告やソーシャルメディアキャンペーンは、新しいファン層を取り込むために不可欠
マイクロインフルエンサー(フォロワー登録者100万人未満のインフルエンサー)と絡むことも、マーケティングの鍵になる
アニメ・エキスポやコミコンなどの展示会に出展し、ファンとのインタラクティブな交流を図ることも重要
そもそも米国ファンはコミュニティを大事にしており、ファン参加型のパネルやワークショップなど、インタラクティブな活動を好むファンが多い
小売・リテールストアと組むときは、まずは専門店から
日本で一定程度の人気があるキャラクターであれば、ファン集団の動向や全体トレンドに敏感な専門店と提携することが考えられる
「NARUTO-ナルト-」や「僕のヒーローアカデミア」はその例で、専門店で人気が出始め、今では Walmart などの量販店でも関連商品が置かれるようになり、高級ブランドとのコラボも実施している
日本のリテールでは上代の6〜7.5掛けで商品が卸されるが、米国では60%の粗利(上代の4掛け)が求められる
米国では、ライセンサー自らが小売との交渉やIPの認知度向上対策を積極的に行う必要がある
日本側ライセンサーの「承認スピード」が最大の課題
米国のライセンシーは日本のライセンシーのように原作を熟知していない
また、ライセンサーが描き下ろした画像を使うのではなく、各ライセンシーが独自に商品やサービスを制作することが多い。そのためライセンシー向けのスタイルガイドを作成し、ライセンシーが作成した商品を迅速に確認できる監修チームを設けることが重要
日本の IP ホルダーはメーカーに小分けに発注しすぎることによって管理が追いつかず、供給が不十分になりがちだといった指摘がある。一方で、需要に対し十分な供給を実現するためには、ライセンシーと協力し、市場への商品の供給体制を構築することが必要
日本側の承認スピードが最大の課題。承認が遅れると米国市場での消費者の関心が移りやすく、商機を逃してしまう(例えば「アグレッシブ烈子」がアニメとしては人気を博したのに商品がそれほどヒットしなかったのは、商品の色の種類の選定やその他細部について日本サイドの承認に時間がかかった面がある)
米国のメーカーには、理由や解決策をしっかり言語化して伝えないと調整が長期化し、現地パートナーが逃げる原因になる
「分かっていて当たり前」という前提で話してもその前提がわからなかったりすることがあるため、米国企業との交渉を迅速に進めるためには、オープンマインドに話すことが重要
今後米国で伸びるジャンルは?
アクション&アドベンチャーがトップで市場規模は11億890万ドル
次いでSF&ファンタジーの人気が高く、市場規模は8億2,960万ドル
ロマンス&ドラマジャンルは、アクション&アドベンチャーの3割程度の規模に留まる
現在のジャンル内訳の比率は大きく変わらないと予測される
まとめ
米国に限らず、日系企業が海外に進出する際にカギとなるのは、中間事業者の皆様。
現地のファンを見据えたうえで、こうした現地のライセンシー、ディストリビューター、小売店との連携を強化し、効果的なマーケティング活動を展開することが成功への鍵となるわけですね。
もしより詳しく知ってみたい!という方は、是非レポートをチェックしてみてください!
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