広告レポートを見直してから自動化すれば、デジタルマーケティングの成果は2倍にも3倍にもなる
noteの記事も3回目となりましたが、ようやく実務っぽいことを書こうと思います。
今回はデジタルマーケティングの、特にダイレクトレスポンス(いくら使ったらどのくらい効果あったかがわかる)広告の効果改善のために必要なことについて書こうと思います。
デジタルマーケの改善というと、だいたいは「チューニング」と「クリエイティブ」という話が出てくると思います。
少しでも効果の良い配信面やターゲティングに、少しでも効率的に配信できるようなクリエイティブをどんどん作ってPDCA回していく、というものですね。
ただ、こんなにもシンプルな話であるのに、デジタルマーケの成果は大きく異なります。
頑張ってクリエイティブを作っているのに、入札もちゃんと見てるのに、全然効果が伸びなかったりするということがよくあります。
今から書く話は、自分自身が年間十数億円以上、多い時で月に3億円以上を運用した経験に基づく話です。
初歩といえば初歩の話ですが、デジタルマーケティングに強い組織になるかどうかを決定的に分けるのがこの部分だと考えています。
【はじめに:取り組みにより生まれた成果】
論より証拠、ということで以下のグラフを載せておきます。
これはとあるゲームアプリの広告消化額の月別推移を表したものです。IPタイトルではありません。
通常、ゲームタイトルはリリース直後の広告がもっとも伸びやすく、
期間が経過していくほどにデジタル広告の効果は落ちていきます。
それを伸ばすために、TVCMや様々なプロモーションをすることになります。
こちらの事例は、最後の「8」の月にTVCMを実施したことで獲得広告も大幅に伸びていますが、それまでの期間はあまり大きなプロモーションは実施していません。
市場的にみても中々の規模のデジタル広告費を、これだけの期間ボリューム維持できているというのは、かなり頑張ったほうだと思います。
(投資回収期間も、業界標準でみると短い期間で回収できているほうだと思います)
【デジタルマーケでよくある課題】
デジタルマーケをやっていると、やれクリエイティブだ、やれ配信面だCPA抑制だ、という議論になることが多いです。
しかし実際はそれ以前の問題として「PDCAができる環境になっていない」ということが多々あります(実体験)。
上記は自社で行っている運用の改善前の状況をざっくりと表したものですが、当時の運用においては
「昨日のレポートまだ締まってないの?」
「ここの広告費間違ってない?」
「ここのROAS(広告投資に対する収益)の数字おかしくない?」
といったことが頻発しており、せっかくの定例mtgでもレポートの整合性を確認していたら時間が終了する・・・などということも多々ありました。
正しい数字に基づいて意思決定し、顧客(ユーザー)と向き合う時間こそがマーケティングにおいて重要であるのに、
そもそもユーザーと向き合う前の段階でつまずいていたわけです。
必然、配信面やクリエイティブの議論に使う時間もかなり少ない状態になっていました。
【レポートを再定義し自動化することで激変】
上述のような状況を改善するために、広告レポートの再定義と自動化を早々に進めました。
■広告レポートの再定義
・媒体別、クリエイティブ別の数字を一覧で即座に確認し、効果の良し悪しをすぐに判断できるようにする
・同、最重要指標(CPAまたはROAS)をすぐに確認できるようにする
■自動化
・人的作業を可能な限り削減し、ミスが無いようにする
※各媒体のレポートAPIや、管理画面のスクレイピングにより広告KPIを取得し、広告計測SDKのローデータとマージしてレポートに成形
・朝8時にバッチ処理し、出社直後からレポートが確認できるようにする(一部の手動入力媒体は除く)
やったことは上記です。
実際に使ったレポートの例としては以下のようなものがあります。
(現在はまた違ったフォーマットにしていますが)
このような形で、投資した媒体ごとの数値を一瞬で、ミスなく確認できるようにシステム化しました。
これによって、
・レポートの整合性チェックにとられる時間が減る
・運用判断の精度が抜本的に改善する
・クリエイティブや配信面の議論に使う時間が増える
といった効果がありました。
そうしてチューニングやクリエイティブにリソースを集中投資できるようになった結果、既存の運用タイトルにおいて
・タイトルA:前月比で広告投資額が3倍増、ROASが倍増
・タイトルB:広告投資額をキープしたまま、ROASが1.8倍~2倍増
・タイトルC:3か月の間に広告投資額が3倍増、ROAS1.2倍~1.5倍
といった大きな成果を、汎用的に出せるようになりました。
(このあたりの詳しい取り組みはまたどこかで書きます)
最初に紹介したタイトルはまた上記とは別の事例ですが、リリース直後からずっとデジタルマーケの効率を高く、出稿量も多くキープできたのはこういった土台あってこそでした。
【まとめ】
今回紹介した話は、「これをやったから直接的に成果が出た」というような話ではありません。
むしろ、このあとに取り組んだクリエイティブや各種施策など、広告運用の抜本的な改善こそが成果につながっています。
ただ、この取り組みなしには抜本的な改善をすること自体が不可能でした。
限られた人的資源がレポート作成・チェック業務にとられてしまっており、マーケティングそのものの改善に使えていなかったためです。
デジタルマーケティングの成果が思うように伸びないという悩みがある方は、まずはレポーティング業務の改善から着手してみるのはいかがでしょうか。
※補足:
広告レポート機能は色々なものが各社から提供されていますが、ウチではスクラッチで作っています。
代理店を複数起用していたり、広告SDKとの紐づけがうまくいかなかったり、レポートのフォーマットを柔軟に変えたいといったような要件を完全に満たすものが現状ではなかなか見当たらないためです。
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