諸行無常 諸法無我
「諸行無常 諸法無我」というのは、僕の座右の銘である。
諸行無常と諸法無我について仏教辞典によると、以下のような説明が書いてあった。
諸行無常とは、われわれが認識するあらゆるものは、直接的・間接的なさまざまな原因(因縁)が働くことによって、現在、たまたまそのように作り出され、現象しているに過ぎないと考える。ところが、いかなる一瞬といえども、直前の一瞬と全く同じ原因の働くことはありえないから、それらの現象も同一ではありえず、時の推移とともに、移り変わってゆかざるをえない。すなわち、あらゆる現象の変化してやむことがないということ。人間存在を含め、作られたものはすべて、瞬時たりとも同一のままでありえないこと。 出典:岩波『仏教辞典』
諸法無我とは、全てのものは、直接的・間接的にさまざまな原因(因縁)が働くことによってはじめて生じるのであり、それらの原因が失われれば直ちに滅し、そこにはなんら実体的なものがないということ。したがって、われわれの自己として認識されるものもまた、実体のないものでしかなく、自己に対する執着はむなしく、誤れるものとされるのである。 出典:岩波『仏教辞典』
僕の解釈では、諸行無常とは、物事は常に移ろい変わり今この瞬間に集中せよということだと考えている。その中で大事な戒めは、「執着」だ。人間は、執着という観念を無意識のうちに持ってしまうため、所有欲やプライド、こだわりを捨てられない。
諸法無我とは、万物は一人では生きていけない。宇宙万物との調和すなわち相互依存関係の中で生かされている。そのため、宇宙万物に感謝し、慈悲深く生きていくことだと考えている。この中で重要なことは、「感謝」だ。両親にはもちろんのこと、動植物、空気、太陽、銀河系に至るまで全ての因果への感謝である。
諸行無常・諸法無我をまとめると、「今この瞬間を生き、万物に感謝する」ということだと肝に命じている。
執着とはなにか
ここ数日、執着とは何か?ということを考えている。
執着とは、物事に固執し、とらわれること。サンスクリット原語では、没頭すること、摂取、所有などの意味もある。出典:岩波『仏教辞典』
物事へのこだわりや想い入れ、愛着もまた執着である。
この執着をなくすことがとても難しい。
仏教名言辞典なるものが、大学の図書館にあったので、見てみよう。
「私には子供がいる、財産がある」と(誇らしげに)思いつつ、人は(それが失われないようにと)悩む。しかしすでに自分が自分ではない。どうして子供や財産が自分のものであろうか。出典:東京書籍株式会社『仏教名言辞典』 pp133
という言葉があった。解説に関しては割愛するが、子供、財産、名誉、地位なども自分の所有物という観念が人間にはある。また、自分の体さえも、自分の所有物であり、自分の望み通りにコントロールしようとする。しかし、全てのものは、自己コントロールできない。身体は衰え、自分の意図とは関係なく死ぬ。
「命、財産、家族その他なんであれ、これが「私である」、「私のものである」と握りしめ、永遠に持ち続けるものはない。」
これが無我であり、執着しないことだと釈迦は説いた。
そして、この執着は、怒りや悩み、不安を生み出す。「我にあらず」と執着を捨てれば、思い悩む必要がなくなり、幸せに生きられると説いた。
もう一つ紹介したい。
応に住する所無くして、しかも其の心を生ずべし。(解釈:とらわれることなく、しかし、その心をおこしなさい。)出典:東京書籍株式会社『仏教名言辞典』 pp180
僕らは、いつも何かにとらわれこだわりを持っている。朝起きると、時間にとらわれ、髪型や服装にこだわる。朝ごはんにパンを食べるかお米を食べるか。全ての人間が、何かにとらわれているため、人間の本性と言える。
しかし、「とらわれると、ものごとの本当の姿を見失ってしまうし、しばしば不安と苦悩の原因となる。」
白黒、大小、善悪、苦楽などは、人間が作り出した相対的な観念出会って、絶対正しいという執着が過ちを起こす。
そのため、「一つの見方にこだわらず、複眼的に自由な見方をしなければならない。」
こだわりを捨てることを意識しながら、誠心誠意励むことが人生において大事なことかもしれない。
感謝経済へのこだわりもまた、執着かもしれない。しかし、僕は、感謝経済絶対主義と考えてはいない。
いま現在、僕らは市場経済の恩恵を受けて何不自由なく生活ができている。そのことにまずは感謝している。そして、ご先祖たちが物質的に豊かな世の中を作るために命をかけてきたことにも感謝している。自由、平等、民主主義、平和を実現するために、次世代のわれわれのために血を流し、命をかけてこの素晴らしい地球を残してくれた、先人たちの想いを引き継ぎ、まだ生まれていない次世代のために僕も命をかけていきたい。
もし、100年後に「感謝経済はディストピアだ」「市場経済が素晴らしい」という時代であっても構わない。しかし、2019年現在の市場経済は、本来のあるべき姿ではなく、歪み、荒んでいる。同時に、その弊害が大きくなっていることも事実である。
今ある感謝経済に執着することなく、自然法則や宇宙法則に従いながら誠心誠意尽力したい。
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