(3678文字)ポリヴェーガルと「痛み」と呼吸〜迷走神経に揺らぎを与える〜

割引あり

今回は自律神経をテーマに書いています。自律神経は骨格筋以外の全てのものを制御する神経ネットワークといわれています。なんだか壮大ですね。自律神経が反応する三段階とは、何をもって判断するのでしょうか?例えば、高い場所から落ちそうなときや、何か襲ってくるような脅威がある場合には、自律神経がどのように反応するのでしょうか?
自律神経について、人体を制御する神経系の一つで、三段階に反応する点や、呼吸のエクササイズによってコントロールできる点が重要です。

追記2023.10.3:このnoteを読むことで、
・呼吸エクササイズを実施しても効果が得られない
・むしろしんどそうに見える
・患者さんもセラピストも不安になる
こんな若手にありそうな状況を落ち着いて回避、対処できます。なぜよかれと思ってしたエクササイズなのにそうなってしまうのか。その答えは自律神経が体をどう守るかという知見で説明ができます。だからぜひ読んでください。

私たちの自律神経は「安全」「危険」「生命の危機」という三段階に反応するようにできています。
また、その反応は「意識を介さない検出」といわれており、意識的思考領域の下で起こる(皮質下)体験とされています。
自律神経は生命を維持するために相互的に調整をしています。

ですが、自律神経系にも意図的に影響を与えることができます。僕たちが介入を考えるときに意識すべき理由のひとつです。

行動は意識レベルよりもはるか下にある自律神経系によって生み出された自律的で適応的なもので、これは認知的な選択をする脳によってされる決定ではないそうです。
自律神経系の働きの原則として、すべての反応は生存に役立つ行動であるというものがあります。
他所から眺めると不調和に見える行動も、自律神経系の観点からは常に適応的な生存反応ということです。自律神経は善悪については判断しない、ということです。 

まず基本としてですが、

交感神経は闘争/逃走(fight or flight)
副交感神経は休息/消化(rest or digest)

ということは押さえておいた方がよいかと思います。

副交感神経を代表するような神経が迷走神経といわれています。

交感神経活動が活性したときは、血管が収縮、血圧は上昇、心拍は早くなり呼吸も早くなります。また、筋肉は緊張していきます。内臓周りの血管が収縮することにより、血を違うところに集めているわけですが、四肢の筋に集めていると言われています。


痛みと自律神経


痛みは自律神経に影響や揺らぎを与え、またその逆も生じうるとされます。痛みはヒトにどのような反応を与えるでしょうか?また、どんな防御反応が起きるでしょうか自律神経はどのような反応をするのでしょうか?

偏頭痛では交感神経活性、心拍変動が減少(副交感神経活動が低下)するといわれています。
末梢神経損傷では末梢神経活性によりより痛みは増幅されるそうです。
内臓痛は膨満、伸長、圧、虚血、炎症に敏感とされ、関連痛がでることもあります。疼痛伝達には副交感神経が関わっているようです。(副交感神経の多くが迷走神経であり求心性の割合が多い)

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