森おじの大槌移住ライフ【2023年4月活動報告】
東北の厳しい冬の季節もようやく終わりをむかえ、大槌でもいたるところで徐々に春の訪れを感じられるようになってきた。
住まいのすぐ横では桜が咲き乱れている。
朝玄関先でこの光景を目にする度、やはりここにして正解だったと感じる。
春は動物も植物も活動的になる季節。
様々な新しい経験や出会いの機会に胸を膨らませ、今日も私は玄関の扉を勢いよく開ける。
1.支障木伐採案件@南三陸町
今回は吉里吉里国に各月で来ていただいている小林清さん(通称:コバキヨさん)の紹介で南三陸町の『未希の家』という民宿を営んでいる遠藤さん宅にお邪魔させていただいた。
この民宿の名前は、東日本大震災発生時、南三陸町防災対策庁舎において防災無線で避難を呼びかけ続け殉職された遠藤未希さんの名に由来している。
震災により大切な人を亡くすという壮絶な経験をされても、もう一度立ち上がり、こうして宿を営み懸命に明日を生きていこうとしている遠藤さんご夫婦の姿勢には本当に頭の下がる思いである。
今回は、その遠藤さんが所有する土地の森林整備を依頼された。
社を参拝しに訪れる人たちの安全を確保するために枯れた杉の木を伐採してほしいという内容であった。
写真の手前に位置している一番大きいもので樹齢はおよそ70~80年ほどだろうか。
高さは30m弱はありそうである。
住宅地ではないものの、倒した方向によってはぎりぎり届きそうな場所に駐車場やコミュニティセンターの建物があり、万が一にも間違えてそんな場所に倒すことはできない。
現場調査をした結果、安全性を考慮してまずは奥の細い杉を先に伐採し、空いたスペースに大物の杉を倒すという計画となった。
このような経験を積むことができたのも、人の縁あってのものだと改めて身に染みて感じた。
ありがたいことである。
今後もこのような色々な縁を大切に繋いでいけたらと思う。
2.チェーンソー講習@吉里吉里国
吉里吉里国で定期的に行っているチェーンソー講習会を開催し、講師はコバキヨさんにお願いした。
やはり、一度講習を受けたとしても日頃から基礎的な技術を復習する機会を設けることは大切だと感じた。
慣れてくるとどうしても自己流になってしまったり、危険な事を危険だと感じづらくなってきてしまう。
何事も原点に戻って見直してみることが大切である。
3.下草除伐案件@新山高原
小槌川の上流の方に位置する新山高原の牧場を経営されている方から、役場経由で電気柵の下草を除伐する依頼を受けた。
今回はその場所と現地調査を兼ねて下見させていただいた。
およそ20haの土地の電気柵周辺、約10kmほどを6月中頃から2週間ほどかけて作業する予定となっている。
この場所もやはり携帯の電波は届かなかった。
熊も出没すると言うことなので、万が一のことも考えて、必ず2名以上で作業することとした。
それも縁とはいえ、できれば熊との直接的な縁は持ちたくないものである。
4.森林保全間伐案件@浪板地区
釜石市を拠点に森と人を結ぶ活動をされている『森結』代表の石塚さんにお越しいただき、浪板地区の間伐予定の山林に現地調査に行ってきた。
山林の境界の確認と間伐計画について、また植生の調査について主にご教授いただいた。
そのお話しの中で、多様性を重視した森づくりが石塚さんの大切にしているコンセプトであるらしく、その考えには私自身も非常に共感を覚えるものがあった。
というのも、他国と比べても日本がこれほど森林の占める割合が高い国であるにも関わらず、人が森林に興味を持たず山を所有することに対してデメリットを感じるようになってしまった大きな理由の一つは、戦後生産性を重視し過ぎた針葉樹(主に杉)の植林のせいであろうと常々感じていたからである。
多様性の乏しい里山が増え、さらには高齢化により管理の行き届かない荒廃した山林が増え、面白くもないお金にもならない山を増やしてしまった事こそが、日本人が森に対して魅力を感じなくなった大きな理由の一つではないだろうか。
現状として林業界では、日本の山で一番多く取れる杉の丸太の単価は非常に安く、補助金制度を利用しなければ成り立たない産業となりつつある。
であるならば、ただ木を切り、売るというフェーズから脱しないことには林業という産業に未来はないのではないだろうか。
そのためには、やはり魅力あふれる山に戻してあげる必要がある。
戻してあげるというと烏滸がましいかもしれないが、元ある姿に戻ろうとする手助けをしていければ良いのではないかと思うのである。
ただし、これはあくまでこう言った考え方もあるという感覚で理解していただきたい。
先人たちが作り上げてきたものが、一概に悪いものばかりとは限らない。
良いと思えるところは尊重し、かつこれからの新しい考え方も取り入れながら、悩みながら、楽しみながら、今後も木と関わって生きていきたいと思うのである。
現地調査を終えて作業場に戻ってきてからは、ウッドターニング(木工旋盤)の技術を教えていただいた。
木の塊を回転させることによって、器や家具の脚などを削り出す技術のことである。
今回は、私達が着任する前から吉里吉里国に置いてある銀杏の木を使用した。
手先の器用さにはそれなりに自信がある方だが、やはり初めから石塚さんの様に上手くはいかなかった。
裏の溝の部分を薄くし過ぎて割れてしまった。
もっと修行する必要があるようだ。
だが、初めてにしては上出来だとお褒めの言葉をいただいた。
ありがたい。
やってみてわかったが、やはり木には無限の可能性が秘められていると感じた。
加工のし易さ、香り、手触りや色に至るまで、一つとして同じものはない。
木との縁は人との縁とある意味似ているのかもしれない。
是非ともこの感触や温かみを皆さんにも直に触って感じていただきたいと思うのである。
5.春の動植物たち ets
将来的に森林インストラクターとしての知識も身につけておかなければという思いから、最近は出会った動植物の名前や特性を逐一調べる様にしている。
馴染み深いものもあれば、全くお初にお目にかかるものもあり、自分の中で少しずつレパートリーが増えてくると楽しくなってくるもので、まるでポケモンを捕まえて楽しんでいる子供に戻った気分である。
昔は辞典を引いて調べたそうだが、最近では便利なアプリがある様で、対象の写真を撮ってアップすると自動的にAIがそれに似ている種類のものをいくつかピックアップしてくれるものまで出てきている。
私のおすすめは『Biome』というアプリで、興味があれば是非試してみてほしい。
下記では最近撮った仲間たちを一部紹介させていただこうと思うが、虫が苦手な方はここでご退席いただいても構わない。
それでは、レッツラGO〜!
6.個人的活動@花巻
4月の終わりは花巻に視察(旅行)に行ってきた。
宮沢賢治所縁の地ということで、5月5日上映の『銀河鉄道の父』の影響も相まって、ゴールデンウィーク中の旅行客が多い事を覚悟して行ったが、そんなに人はいなくて安心した。
お次は、旅の目的地の一つにしていた『花巻おもちゃ美術館』
ここの施設の特徴は置いてあるおもちゃには必ず木が使われており、全て触って体験できるということにある。
木を使った知育玩具にもともと興味があったのでここは前々から是非来てみたいと思っていた場所の一つである。
それでは、いざっ!レッツラGO〜!
とまぁ、こんな感じで視察?に行ってきた。
決して遊んでいるだけではございません。(たぶん)
将来的に木工のアイデアの一つとして取り入れさせていただきます。
そしてこの場所に来て一番驚いたのは、とにかくここで遊んでいる子供たちは活き活きしていた。
やはり、木に触れ、香りを嗅ぎ、音を聴き、五感をフルに使って遊ぶことは子供に限らず人にとって心地良いのだろう。
とても良い体験となった。
今月は色々と縁の多い実りのある月になった。
今後も縁を大切に育んでいきたいと思う。
あなたにとってもこの記事が実りある縁となっていることを願っております。
それではここまで読んでいただきありがとうございました。
来月の投稿もお楽しみに。
à bientôt♪( ´θ`)ノ
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