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森おじの大槌移住ライフ【2024年2月活動報告】

1月末から2月初旬にかけて暖かい日が続いたせいで、もうこのまま春になるだろうと甘い考えを巡らせていたのだが、時期尚早とはまさにこのこと。
ついこの前、レンタカーをお借りしている自動車整備工場の方にそろそろ暖かくなってきたからノーマルタイヤにしようかと思っていると相談したところ、ここら辺は3月末頃まで雪が降ることがあるから、3月いっぱいはスタッドレスのままの方が良いよと助言をいただき、突然の大雪も何とか乗り切ることができました。
滅多に雪の降らない地域で暮らしてきた森おじにとってはそこら辺の感覚がまだまだ難しい。
本当の意味で東北の人間になれる日はいつの日になるだろう。

それでは、2月の活動報告をどうぞ。

1.現場調査@大槌町内

2月は鳥獣被害対策案件の見積り依頼が多くあった。
事前に学校周辺や通学路など、重点的に対策を行いたいエリアを絞り、実際に現場を見ておおよその必要人工や作業工程を算出するという作業を行った。
実際に現場に行ってみると、予想以上に傾斜が急だったり、厄介な樹種だったりと、当初想定したものより手間暇と人手がかかる現場がほとんどだった。
当然といえば当然だが、そんな場所だからこそ放置され荒廃しやすいため、熊や猪たちにとって絶好の隠れ家になりやすい。
自然界の動物と人間の双方にとって一番大切なのは、このような見通しの悪い茂みや山林を適度に除伐し、光溢れる里山にすることによってお互いの緩衝地帯を作ってやることだと思っている。
今はまだこの対策範囲は小規模だが、いずれはもっと大きな範囲でゾーニングを行い、計画的に山林調査と整備を行うことによって、かつての明るい里山文化を取り戻して行きたい。

竹林の伐採は特に大変
地下茎の栄養を効率的に奪い衰弱させるためには、6月と9月の年2回伐採を最低3年以上続ける必要がある。
竹の有効な利用法が多く見つかれば、これ以上無い有用資源なのだが・・・
桜木町奥にある津波の際に使用する避難道
ここにも竹藪が鬱蒼としている

2.テントサウナイベント@三陸花ホテルはまぎく

全4回のテントサウナモニターイベントのうち、第3回と第4回を2/10、24に行った。
回を重ねるごとに搬入ルートや時間帯、必要なもの、不要なものなどが少しずつ分かってきて、自分も含めてスタッフの技術、段取りが格段に良くなり、準備や片付け作業にかかる時間が大幅に短縮できるようになった。
こういった小さな積み重ねが、結果的にお客様の満足度の向上にも繋がったのではないかと思う。
自分にとっては、何事もまず小さな事からやってみないと夢は実現しないという実感を得る機会になった。
夢を持つことや計画性はとても大切なことだが、うちに秘めたままでは何も生まれない。
まず小さな一歩を踏み出す事が成功への近道である。
また、進み続ければ必ず失敗する事もあると思うが、失敗した時こそそれをチャンスと捉えた方が良いだろう。
挑戦しなければ失敗することもないかもしれないが、失敗することなしに成功することはあり得ないと思うから。

結果的に今回のテントサウナイベントはお客様にとって、用意されたものをただ受け取るのでは無く、体験する事に価値を感じてもらうイベントになったと思う。
モノ(物)、コト(事)、を売るだけでは無くトキ(時)に付加価値を付けて提供できたのではないかと思う。
ワンピースのあの名シーンの様な後ろ姿
こういった思い出がかけがえのない価値になるのかもしれない

3.製材技術習得@吉里吉里国作業場

2/8.9は釜石で『森結』代表として活動されている石塚さんの指導のもと製材の技術を教わった。
先月から整備していた製材機がやっと使える状態まで修理できたので、薪にするには太過ぎるという事で今まで持て余していた銀杏(イチョウ)や鬼胡桃(オニグルミ)、杉(スギ)などの丸太を製材することにした。
石塚さんには墨付けの仕方から木取りの方法、最終的な利用方法まで丁寧に教えていただいた。
ただの丸太でしかなかった物を製材することで文化的要素が加わり、急に私達の生活に近い存在になった様に感じられた。
小さな事かもしれないが、私たちにとっては大きな一歩に感じられた瞬間だった。
今後は、この材をエンドユーザーまでどの様に届けられるかを考えて、木の温かさや魅力を伝えていけたらと思っている。

最初コツを掴むまでは難しいが、力を要さないため慣れてこれば女性でも簡単に製材することが可能である
50cmぐらいの杉の丸太から切り出した角材
ウッドデッキや小屋を作る時の部材にしたい
板材もかなりの量が取れた
ウッドデッキの床材に良さそうだ
こちらはチェーンソー製材の様子
製材機に比べて時間と手間はかかるが、安価な道具でできることと、短い丸太でも板に引くことができる点がメリットである
おまけ:ちょうど自宅用に箸置きとコースターが欲しかったので、製材の時に出た端材で作ってみた
使用木材:箸置き(イチョウ)、コースター(イチイ)
コースターとしてではなく妻のアクセサリー置き台となりました

4.森林整備活動@町内の山林

2/20は町内の山林にて、作業道を塞いでいる風倒木や腐食している立木などを取り除く等の森林整備活動を行った。
この山林は昨年から森林資源調査や敷地境界線確認などをさせていただいた場所で、今後『森林・山村多面的機能発揮対策交付金』を活用しながら森林整備ができないか、検討している候補地でもある。
ではこの交付金がどのようなものかというと、林野庁のサイトによると『森林の有する多面的機能を発揮するためには、適切な森林整備や計画的な森林資源の利用が不可欠だが、林業の不振、山村地域の過疎化・高齢化により森林の手入れを行う地域住民が減少し、適切な森林整備等が行われていない箇所が見られる現状を改善するため、地域住民等による森林の手入れ等の共同活動への支援を行うことを目的としている』というものになる。
公的な文章のため非常に難解に聞こえるかもしれないが、要は『山林所有者が高齢化しているため、荒廃が進む山林を適切に手入れしてくれる人達に謝礼を出すよ』という内容と考えてもらえば良いだろう。
この様に、日本の林業ではこの他にも国税の多くを投入して、やっとのことで維持されているのが現状である。
しかし、山には本来多くの有益な資源や空間が溢れており、その活用方法を多種多様な方面から考えていくことができれば、少なくとも税金を投入せずとも立派に自立していけるのではないかと思うのである。
実際に北欧の林業では補助金を全く利用せずとも利益を出しているという例もあるぐらいだ。
木の生育する環境条件としては圧倒的に日本よりも不利なのにも関わらずである。
ということは、日本の林業の現在の成り立ちにはどこかに欠陥があると考えざるを得ない。
日本の山林所有者の大多数は先祖代々受け継いできた土地で、管理するのにもお金がかかってしょうがないとか持っていても何の得にもならないとかいう思いを抱いている人が多い気がする。
そんな人ばかりではないかもしれないが、事実よく聞く話でもある。
山の持つ魅力や山を持つことへのステータスという想いが時代の流れとともに薄れていってしまったこともその一つの要因と言えるかもしれない。
私達の使命の一つは、そのマインドをどの様にして変えていくことができるかである。
山をもう一度魅力あるものとして、また立派な資産として認識してもらえる様になるのか考えることである。
それに、元々資源の少ない島国の日本において、数少ない資源の一つである森林をこのまま無駄にしてしまうのはあまりに勿体無いことだし、今まで日本の森を守ってきた先祖達に対して申し訳がないと思う。
道のりは長く険しいが日本に住み続ける以上は必ず考えていかなければならない課題の一つである。

作業道に散らばっている材を崩れにくい場所に固めて整備する
安全で明るい森づくりをする上で必要不可欠な作業である
鳥の巣かと思っていたら、熊棚(くまだな)という熊の休憩場所らしい
もし皆さんも見つけたら気をつけて欲しい🐻

5.能登半島地震復興支援@石川県珠洲市

2/26.27は石川県珠洲市まで支援物資である薪の配達を行った。
ことの始まりは2/25の午後、吉里吉里国の支援メンバーの一人である東京在住の藤岡さんという方からの連絡だった。
3/2〜4で石川県珠洲市の避難所となっている小学校に炊き出しに行くということで、吉里吉里国の『復活の薪』を事前に現地に送っておいて欲しいというものだった。
初めは宅配便で送るつもりだったのだが、ちょうどその時、長野から指導に来てくれていたコバキヨさん(小林清さん)の提案で直接届けに行った方が思いも伝わるし、東日本大震災の時の恩返しにもなるということでコバキヨさんの他に誰か一人、道中の運転を代わってくれる人が欲しいということだった。
結果、保険の年齢制限の関係と運転に慣れていて動ける人間ということで私、森おじに白羽の矢が立った。
最初は不安が大きかったのだが、日本に住む以上は、いつどこで自分も同じ様に被災するとも限らない。
これも何かのご縁と思い「情けは人の為ならず」という言葉を胸にその話をお引き受けすることにした。
広葉樹14袋、杉10袋、細割1袋を積んで吉里吉里国の作業場を出発したのは2/25の8:30。
1時間半ずつ運転を交代しながら石川県珠洲市に向かった。
道中の天気が心配だったが、暖冬のせいか日本海側ではほとんど雪が積もっていなかったため、石川県に入るまではとても順調で予定よりも早く着くかと思うほどだった。
しかし、高速を降りて七尾市に入った途端、道は凄まじい状態だった。
隆起が著しい状態だったり、崩落している道のせいで反対車線を走らなければならない区間などもあり、もしかしたら自分達がパンクや事故で動けなくなるかもしれないと不安な思いを抱きながら約2時間半、荒れた道路をひたすら走り続けた。
避難所に着いたのは、結局夜の9時半頃になってしまった。
にも関わらず、受け入れ窓口の方々が「遠方からよく来てくれました。ありがとう。」と言ってくださり。本当に支援物資と思いを届けられて良かったと心の底から思えた瞬間だった。
短い時間だったが、直接顔を合わせて話をすることができて心が通った気がした。
この気持ちこそが、コバキヨさんの伝えたかったことなのかもしれない。
貴重な経験をさせていただき感謝。

2/26帰りの道中は大荒れ。
暴風雪警報が発令している中、何とか無事に帰ってくることができた。
結局ほぼ休みなく走り続け、往復約1900km、26時間の道のりを走り切った。
とりあえず一休みしたら、また頑張ろうと思う。

盗難車両と間違われない様にちゃんと表示をした
想像以上の被害状況だった
それでも一早い対応のおかげで何とか通れる状態になっていた
道路がこんな風になるほどの衝撃があったとは
経験したことが無いほどの恐怖だったと思う
下水道の縦菅が飛び出ている
下水道の復旧までには相当の時間がかかりそうだ
遅くにも関わらず快くご対応くださった
僅かばかりではあるが、届けた薪が少しでもお役に立ってくれることを願う

6. 個人的活動『生き物図鑑』

最後は毎月お馴染み、生き物たちの紹介をして今月の報告を終えようと思う。
今回紹介する生き物たちはどれも可愛らしいものばかりなのでご安心を。
それでは、また来月の報告をお楽しみに。
good bye🤚

アカシデ レア度C

カバノキ科クマシデ属の落葉高木。
和名のアカシデの由来は、新芽や若葉あるいは紅葉が赤いことと、シデは果穂が垂れ下がるので「垂(し)で」の意や、花穂の垂れ下がる様子が神社のしめ縄などに使われる紙垂(しで)に似ていることによる。冬目はイヌシデとよく似ているため形状だけでは見分けが難しいが、アカシデは目が枝から離れているのに対して、イヌシデは目が枝に密接して付くことで見分けられる。
コクサギ レア度B

ムクロジ目ミカン科コクサギ属の落葉低木。
和名コクサギは、「小臭木」の意で、枝や葉にシソ科の小低木であるクサギ(臭木)のような臭いがあり、比べて木が小型であることからついた。果実は初め緑色であるが、秋に熟すと淡褐色になってふたつに裂け、乾燥した内果皮がバネのように反転して中から種子を勢いよくはじき出す。
ハクセキレイ レア度E

スズメ目セキレイ科に分類される鳥類。
日本では、かつては北海道や東北地方など北部でのみ繁殖が観察されていたが、20世紀後半より繁殖地を関東・中部などへと拡げ、現在は東日本では普通種になっている。尾羽は長めで、尾羽を上下に振る姿が特徴的である。 波を描くように飛翔する。本種は人間に対する警戒心が低く、人間のそばにも比較的近く(2-3m程度の距離)まで寄ってくる。 足を交互に出して素早く歩く。
ニホンカモシカ レア度A

ウシ科カモシカ属に分類される偶蹄類。低山地から亜高山帯にかけてのブナ、ミズナラなどからなる落葉広葉樹林や混交林などに生息する。以前は高山に生息すると考えられていたが、生息数の増加に伴い低地にも出没するようになり、下北半島では海岸線付近でみられることもある。単にカモシカとも呼ばれることが一般的だが、地方により「バカジシ」「アホ」などという呼び名がある。この呼び名はカモシカが好奇心が強く、人などをじっと動かず見つめている為に捕まえやすいという所から来ている。
ニホンカモシカの足跡
蹄の先が尖っておらず丸まった跡になりやすい
ニホンジカの足跡
先が尖っており、副蹄の跡が少し離れた後ろに小さくつく
イノシシの足跡
副蹄の跡が逆さハ字状につく





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