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趣深い日本の色彩 #28 桜色

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
桜のお話は旬なうちにまとめて。

日本を代表する花

桜は日本を象徴する花で、外国の方にも「日本と言えば桜」というイメージがあるそう。
百円玉にも描かれていますし、日本人の心をつかんで離さない花ですね。

日本では10~11種がベースにあり、そこから何百種類もの品種に派生しているそう。
中でも「ソメイヨシノ染井吉野」は、現代日本において「これが桜!」という品種ですね。
ですが、伝統的な色名としては「山桜」の色と言われています。

ソメイヨシノは江戸時代の終わり頃に生まれた品種で、平安時代から続く「桜色」を表すには、その時代に愛でられていた「山桜」の方がふさわしいという事のようです。

梅から桜へ

梅も桜も古くから愛でられていました。
昔は梅の方が人気が高く、奈良時代の『万葉集』では梅の方が数多くの歌が詠まれていました。
ところが平安時代になると、その数は逆転。
さらに紫宸殿正面に植えられていた「右近橘、左近梅」が植え替えられ、「右近橘、左近桜」になったとも。
やはり淡い色と、散る時の儚い感じが、感性に訴えかけるのでしょうか。
1000年以上も前からそうなっていたと考えると、今こうして桜が愛でられているのは納得です。もう遺伝子レベル。

人それぞれに思い描く色が違う色

最初の方にお話ししたように、桜は種類が多い花です。
色名としては「山桜」の色ですが、
桜色と聞いてどういう色を思い浮かべるかは、人それぞれだと思います。
今は、ソメイヨシノの淡い雪のような薄紅を思う人が多いかな。
場所や好みによって「寒緋桜、河津桜、八重桜」などの濃いピンクを浮かべる人もいるでしょう。
人の数だけ、思い描くピンクの色が異なる面白い色彩だと思います。

寒の戻りで肌寒い日になっていますが、
今週から関東は開花して、見頃を迎えていくみたいなので、
外に出たら、ピンクの色彩に見とれてみるのも一興だなと思います。


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