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趣深い日本の色彩 #38 茜色

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
秋を彷彿とさせる赤色をご紹介。

秋の夕焼けを思わせる赤

茜色は、ツル科の多年草であるアカネの根で染めた赤を指します。
和歌にも多く詠まれる茜は、いくつか種類があり、和名で使われるのは『日本茜』で染めた赤色。
やや黄みがかった赤で、その色彩は暮れゆく空を思わせます。

茜の根の標本。(先細見美術館で撮影した染司よしおかさんの展示)

茜は他にもインド茜、ヤエヤマアオキという種類があるそう。
インド茜は成分がちょっと異なり、黄みが抜けて鮮やかな赤になるそうです。
藍色に見る蓼藍とインド藍(インディゴ)の関係を思い起こさせますね。

名前の由来はそのまんまで、「根が赤い」ことから来ています。
もともとは「赤根」だったということですね。

日本では古くから使われている赤の色彩です。


アカトンボとアカネ

秋の情景を彩るアカトンボも、アカネと関係があります。
実は「アカトンボ」という種はおらず、
よくにたトンボ同士をまとめた「属」を指すものだそうです。
その属も「アカトンボ属」という呼称ではなく「アカネ属」。

「アカネ」はアカトンボも指す言葉なんですね。

全部で20種ほどが属していて、その多くは赤い体色を持ちます。
(一部赤くならないものもいるとの事で、「アカ」の意味を考えさせられますね)
また体は赤いけれど、アカネ属ではないものもいるそう。
昆虫界、難しい…。

ということで、朱色と並んで古来から親しまれてきた赤色、茜のお話でした。

参考文献:日本の色辞典 吉岡幸雄 著  / 紫紅社

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