趣深い日本の色彩 #12 朱色
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は「朱色」について。
日本を代表する赤
赤と聞いて思い浮かぶ色は、ビビッドな赤が主流かと思いますが、
日本の色としての赤は落ち着いた、少し黄みがかった「朱」を指します。
朱は「あか」とも読みますよね。
鳥居や漆塗りの器、朱肉など、朱にまつわる身近なものはたくさんあります。
縄文時代には既に使われていたとされていて、
現在に至るまで、「火の色、血の色(生命力)、太陽の色として、そして魔除けの色」として重用されています。
先日お話した五行でも、朱は「火」を表しますね。
お祝いでもよく使われていて、慶事には紅白の幕が引かれますし、酉の市の熊手に挿す「大入」の札とかも朱色に白抜き文字で作られています。
朱はポジティブなのに、どこか落ち着いていて、懐深くも威厳もある面白い色だなと思います。
大地から採れる貴重な色
朱は、天然のものは「辰砂」から作られます。
(中国の辰州で採れる朱砂がとりわけ上質で、辰砂と呼ばれたそうです)
江戸時代には幕府が管理するほど貴重なものでした。
また、硫黄と水銀の化合物は人工顔料の朱として使われています。
朱は古くは「丹」と言われていて、丹の字が付く地名は朱色が採れる場所とされていました。
地名や神社の名前になっているので、探してみると歴史が感じられて面白いかもしれませんね。
いまも身の周りにある色なのに、歴史の表舞台にずっと在り続ける色。
まさに「日本の色」と言える色のご紹介でした。
実体験&勉強から得た色彩のお話を発信しています。 よろしければサポートいただけると嬉しいです。 心躍る色彩のご紹介に繋がる様々なアイテムの準備に活用させていただきます。