性別による色使い
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は性別によって使われる色について。
男性の色、女性の色
男性は青や黒、女性は赤やピンク。
幼い頃からなじみのある、性別による色のチョイス。
今は自由になっていますが、自分が子どもの頃は男子のランドセルは黒、女子のは赤みたいなのが残ってる時代でした。
今は何色でも着るし、持ってるものも比較的カラフルな自分は、
あまりそういうのに頓着していません。(自分ごとに対しては)
ただ、やはり人に贈り物をする時はチラっとよぎる瞬間はあります。
案外と最近のお話
この「男性は青、女性は赤」的なお話。
実は20世紀の後半くらいから始まった流れだとされています。
だいたい世界第二次大戦の後くらいから。
それまでは、ヨーロッパなどでは「男性は赤、女性は青」とされていたそうです。
以前紹介した「色と意味の本」「配色デザインカラーパレット」にも、そうした話が出てきます。
燃え滾るような強い赤は男性の象徴。
戦隊のリーダーも常に赤をまとってますよね。
そして明るい青は聖母マリアのまとう色で、女性の象徴。
確かに「受胎告知」を表した絵画では、すべからく青の衣をまとっていますね。
また明るい青は「清楚で可憐」で、女性らしい印象でした。
ピンクは男の子の色
この時代のピンクは男性の色でした。
ピンクは、色相にはありません。
「赤を明るく薄めた色」がピンクです。
つまり男性の幼い時期=男の子は、
赤の若い(明るい)色として、ピンクをあてたそうです。
現代の感覚、あとは日本の感覚からだと、ちょっと違和感ありますよね。
そもそも「こども」という概念も弱くて「体格の小さな大人」的な認識だったみたいです。これも驚き。
ピンクとはいっても、白の多い甘い印象のものではなく、マゼンダとか「赤を少し軽快にした色」かなとは思います。
社会活動を通して、ピンクは女性の色へ
戦後のアメリカでは、アイゼンハワー大統領のファーストレディーであったマミー・アイゼンハワーさんがピンクを着続けたこと、そしてメディアや小売店の影響から、ピンクは「女性らしい色」という立ち位置が与えられました。
フェミニズム運動や、強いピンクの反抗を示す色彩効果など、
様々な社会活動を経て、次第にピンクは女性の色として定着していきます。
こうして青とピンクの立ち位置は、入れ替わったのです。
性別の色というより、歴史の変遷を楽しむお話
「男だ女だ」と言っていますが、それはただのきっかけで。
自分が言いたかったのは、
「歴史によって、色の拠り所はころころ変わっていく」
ということでした。
今自分たちが当たり前に捉えてる事象が、50年後・100年後には違う意味を持っているかもしれません。
いや、持っているだろうと思います。
その時には生きていないかもしれませんが、
新しい感覚も、古い伝統もうまく取り入れられる土壌は作っていたいなぁと思います。
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