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運転免許を取ったら世界のいじらしさに気づいちゃった話

12月。2020年最大の成長。私はついに成し遂げてしまった。

ここでいうのも本当はおこがましいかもしれない。しかし、成し遂げてしまったものは言わなければもったいない。

思えば、偉業を達成したのに秘密にしている人の話なんて見たことも聞いたこともない。中学の時に同じクラスだったオオモリ君はテスト返しの時に100点を取った時に誇らしげに、「っっシャーーー!!!!」と雄叫びをあげ、DQNから嫌われていたし、大学入学後にヨッ友になったサッカー部のナオヤくんは、己のサッカーの腕前で虜にしたという有名ブランドのシャツをドーネーションしてくれる年上女の存在をいつもチラつかせていた。

何人も成し遂げたコトは得意げにその成果を公表する。これはもう日本国憲法のみならず国際条約で決まっていると言っても過言ではないくらい、世界共通の人の常である。私は少なくともそう信じている。

アータ、異論は認めないヨ。

さて、私の達成した偉業。ええ、そうですよ。

厶(ワタクシ)此の度運転免許取得を達成いたしました!

((ワーーーーーーー!キャーーーーーー!))


失礼、あまりの偉業に私の中の春日が召喚されましたよ、ええ。

福島県のとある温泉街で私は必死に2週間の修行に耐えた。

初回運転では、あまりの運転の下手さに教習所の道のない場所を走るという稀な女と化していた。修了検定目前の『見極め』検定では、優しいと大人気の教官の顔を曇らせ、『これじゃあ、修了検定は絶望的だけど…君はいい子だから…』と人柄のみで通過を許可してもらうという始末。

プレバトなら間違いなく、『才能ナシでございます!!!』と浜田さんからお達しを食らうポジションである。

しかし、人は努力をする生き物である。教官の顔を曇らせて以来、私は星飛雄馬のごとく、日夜運転のことのみを考え、その全身全霊を捧げた。星飛雄馬は夕飯の時も養成ギプスで体を鍛え続けたが、私も夕飯時にはエアー運転を夕食堂で行い、自身の能力を磨き上げた。その様子を近くで見ていた、飲酒運転で免許剥奪され、60代にして合宿に通うことになったサイトウのオジちゃんは笑っていた。真っ当な感性である。

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怠惰で有名な私が、朝の6時に目覚め、学科試験の対策に講じ、全ての力を振り絞った。

そうして、取得できた運転免許は輝いていた。

さて、免許が発行されたらいよいよ実践。運転である。家族に同乗してもらい、練習あるのみだ。2ヶ月近く、暇さえあれば運転をした。

必死さも拭え、今や鼻歌交じりに運転する余裕もできてきた。

すると、おや、、、、?気がついたことがある。

それは、道路標識や信号、標示に至るまで、世界は涙ぐましいほどの努力に溢れている、ということである。

どういうことか。

例えば、カーブに差し掛かるとき、手前500メートルくらいから、

「カーブがあります!!!!!!!少し、スピードを緩めてください!!!!!!!!」と道路標識が叫び始める。

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しかし、そんな必死さも小慣れた運転ドライバーから無視されていると見える。

するともう少し、先に行ったところに今度は、電光掲示板で「カーブ注意!!!!!!」と絶対に目がいく仕様で注意を促される。

停止看板は至る所にあるが、停止はやはり、慣れとともに忘れ去るドライバーが多いと聞く。そんな時には、奥義。視覚的効果のみを狙うのではなく、道路そのものにでこぼこをつけることで、運転者が嫌が応にも止まる仕掛けを施してくる。

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つまり、何が言いたいかというと、この努力や工夫、事故からドライバーや通行人を絶対に守り抜きますゾ!!!!!という心意気が見え、大変いじらしく、カワイイ。

今までぼんやり歩いていたが、世界がこんなにも私もあなたも守ろうとしているなんて知らなかった。

運転に挑戦してこそ、見える世界線。それは、ヒマラヤの頂に到達したものしか見ることのできない一面の銀世界のような美しさだ、というのは、過言だ。

こんなに鮮やかな色彩に何一つ気がつけなかったなんて。

高まるアーーーーーイの中、変わる心情の中、燦然と輝く姿は〜〜〜と歌い出したいほどだ。でも、君は、普通のことだととぼけるんだろうな。そんなところも愛おしい。

私は、君たちの努力を裏切らない。人も自分も動物も絶対に守る、そんな正義感を、初心者マークをキッチリ車体に貼り付け、時速40キロ制限のところを念には念を入れて35キロで走るホンダのFITのドライバーが持ち合わせているなんて、後続車のあなたにはわからんでしょうねェ!!!!!!!!!!!

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だから、あの、車間距離空けてください、プレッシャーとか無理なんで、悪口とかも、ホント無理なんで!!!((時速50キロに速度を上げながら))

つまりは、安全運転に努めながら運転楽しみます、が2021のちょっとした抱負です。

((オチ弱))

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