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地銀の「地域貢献」アピールは、真実か美辞麗句か?

地方銀行が掲げる「地域貢献」の理念は、その実態として本当に地域社会の発展に貢献しているのでしょうか?

地域社会への真の貢献は、単なる金融サービスの提供を超え、地域のニーズを深く理解し、具体的な解決策の提案と実行です。

しかし、地方銀行における担当者や支店長の頻繁な異動は、このような長期的なコミットメントを困難にしています。

本記事では、地方銀行が地域貢献を名乗る上で直面する課題と、それに対する解決策を探ります。


地銀の地域貢献への課題

地方銀行が地域社会への真の貢献を目指す上で直面する課題は多岐にわたりますが、特に重要なのが以下の3つと考えます。


1.頻繁な人事異動

地方銀行における頻繁な人事異動は、地域との関係構築において大きな障害と考えます。

地域のニーズを深く理解し、それに基づくサービスや支援を提供するには、地域社会との長期的な関係が不可欠です。

しかし、担当者や支店長が短期間で異動してしまうと、築かれた信頼関係が途切れ、地域のニーズに対する理解も浅くなりがちです。

この問題に対処するためには、地域に根ざした長期的な人事配置を検討する必要があります。

また、地域社会との関係構築を評価の一環として取り入れるなど、地域密着型の業務が重視される文化の醸成や企業風土が重要だと考えます。


2.表面的な貢献

多くの地方銀行が「地域貢献活動」としている一時的なイベントや形式的な寄付は、地域社会の表面的な問題には対応できても、根本的な課題解決に至っていないのではないでしょうか。

地域社会の持続的な発展を支援するためには、一過性の活動ではなく、地域の実情に基づいた長期的なプロジェクトやプログラムの実施が必要です。

例えば、地域の若者教育や起業支援、地域資源の活用など、地域のポテンシャルを引き出す活動への注力などが効果的だと考えます。

本当に地域貢献を目指すのであれば、前述のような活動に積極的に取り組むべきです。

地方銀行が地域社会の真のパートナーとしての役割を果たすつもりならば、早期対応が必要ではないでしょうか。


3.地域ニーズの理解不足

地域の実情やニーズを十分に把握せずに策定された地域貢献プロジェクトは、地域社会にとっての実質的な価値を生み出すのが難しいと思います。

地域ニーズの正確な理解には、地域住民や地域組織との密接な対話が不可欠です。

地方銀行は、様々なステークホルダーとの連携を深め、定期的な意見交換を行い、地域の真のニーズを把握する必要があります。

また、地域社会の課題解決に向けたプロジェクトに地域住民を積極的に参加させ、より効果的な解決策を見出すべきです。

ただ、多くのプロジェクトは地方銀行の「独りよがり」に過ぎない面が強いと感じます。効果検証も不明というのが実態ではないでしょうか。

地方銀行は「地域貢献」を訴えるが実態は違う

地銀の地域貢献は美辞麗句

地方銀行が地域社会への貢献を実現するためには、頻繁な人事異動の問題に対処し、表面的ではない実質的なニーズに基づく活動の展開が必要です。

しかし、多くの地銀は地盤となるエリアではなく、東京や大阪など都市部での取り組みに熱心な状況です。なぜなら都市部の方が資金需要が活発だからです。収益性から考えれば当然です。

新たなニーズを自らが創出するよりも、顕在化した資金需要に対応する方が効率は良いです。経済合理性の観点から考えれば間違っていません。

しかし、地方を見捨てると口に出すわけにはいきません。

そのため、地方銀行は「地域貢献」という美辞麗句を使っていると感じます。

地方で資金を集め、都市部に資金を落とすというビジネスモデルでは、本当に地域貢献に積極的か疑わしいです。

よって地方銀行の「地域貢献」は表面的なキャッチフレーズに過ぎないのではないかと、私は思っています。

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Kei | MBA| 元銀行員
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