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銀行員のノルマ:土用の丑の日と「お願いセールス」

毎年、土用の丑の日が近づくと、銀行員にはあるノルマが課される傾向があります。

それは、取引先から大量の「うなぎ」を購入するというもの。

この習慣は、顧客関係を維持するために欠かせないとされていますが、その背後には「お願いセールス」と食品ロスという深刻な問題が隠されているのではないかと思います。

本記事では、この習慣が現代社会にどのような影響を及ぼしているのか、そしてそれにどう向き合うべきかを探ります。


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土用の丑の日

土用の丑の日は、日本の伝統的な暦の区分である「土用」の期間中にある「丑の日」を指します。

土用とは、季節の変わり目にあたる約18日間の期間で、特に夏の土用(7月中旬から8月初旬)が有名です。

丑の日は、その期間中にある特定の日で、干支の「丑(うし)」の日に当たります。

2024年は7月24日(水)と8月5日(月)が土用の丑の日です。

この日には、暑い夏を乗り切るために「うなぎ」を食べる習慣があります。

これは「うなぎ」の「う」が「丑(うし)」と同じ音であることから、縁起が良いとされるためです。

その結果、土用の丑の日はうなぎ料理を食べる文化が定着し、日本全国で「うなぎ」が消費されます。


銀行員のノルマとしてのうなぎ購入

本来、土用の丑の日は美味しい「うなぎ」を食べられる喜ばしい日です。

しかし、一部の銀行員にとっては少しプレッシャーを感じる日でもあります。

それは、銀行員であれば、一度は経験したことがあると思いますが、取引先からの「うなぎ」の購入依頼です。

また自分の担当1社だけではなく、複数の事業者から購入依頼があります。

さらに、上司や先輩、同僚、他の支店や本部からも頼まれることもあります。

このため、銀行員一人が多くの要求に応じることになり、それぞれが数件のうなぎを注文するのも珍しくありません

取引維持のためのノルマといえます。


取引先からのプレッシャー

このように多くの方向から同時に要求があるため、銀行員にかかるプレッシャーは非常に大きいものがあります。

特に新入行員や若手行員は、上位職や重要な取引先からの要求を断りにくい状況に置かれがちです。

この結果、銀行員たちは自分自身で解決策を見つけ、自腹を切って対応することを求められます。

ただ、これはある意味仕方がないのかもしれません。

なぜなら、銀行員は普段から取引先に「お願いセールス」をしています

そのため、取引先からお願いされて断るのは難しいです。


お願いセールスとそのジレンマ

銀行業界における「お願いセールス」とは、銀行員が取引先に対して、必要がないと思われる金融商品などを契約してもらう営業手法です。

例えば、法人融資やクレジットカードの作成、運用商品の購入などです。

この手法は、銀行側から見れば取引の増加や、利益の確保につながるため、ポジティブな営業戦略として捉えられるかもしれません。

しかし、このセールス手法は、相手に対してプレッシャーを与えるため、時にはその関係を損なうリスクも伴いますが、多くの銀行では一般的な営業です。

ただ、銀行員が日常的に行う「お願いセールス」によって、取引先からも同様の要求が銀行員に向けられることがあります。

特に土用の丑の日のような季節の行事では、この相互作用が顕著に現れ、銀行員にとっては避けられない業務の一部になっています。


うなぎ購入の背後にあるジレンマ

土用の丑の日のうなぎ購入の要求も、この「お願いセールス」と同じ土俵で考えることができます。

銀行員が日頃から取引先に対して営業を行う中で築いた関係性から、取引先からの「お願い」を断りにくい状況に陥ります。

その結果、うなぎの購入という形で、見返りを求めるような状況を受け入れざるを得ないのです。

ただ、うなぎ購入は一つの取引先だけに限りません。

前述したように、複数の取引先にお願いセールスをしているため、見返りを求める先は多くあります。

また、自分だけではなく、同僚や上司などもお願いセールスでノルマを果たす傾向にあるため、結果的に注文数は膨れ上がります

当然、一人で全てを購入するのは無理なため、支店全員で注文した「うなぎ」を割り振ったりします。

私の経験で言うと、それでも、食べきれないほどの「うなぎ」を注文しなければいけないこともありました。

しかし、大量に購入したうなぎが食べきれずに廃棄されることは、社会的な資源の無駄遣いです。

環境保護の観点からも、この双方の「お願いセールス」の戦略は見直す必要があると思います。


食品ロスという社会問題

多くの注文が集中することで、食品ロスの問題も深刻化します。

多数の注文されたうなぎは、消費しきれないほどの量になることが少なくありません。

一人が複数の注文をまとめて受けて、大量のうなぎの蒲焼やうなぎ弁当を購入し、最終的には食べきれずに廃棄せざるを得ない状況です。

これは、社会的にも環境的にも大きな問題ではないかと考えます。

私も銀行時代に食べきれないほどの「うなぎ弁当」を注文して廃棄したことがあります。

それほど安くはない弁当を捨てるのですから、金と食品を同時に捨てるのと一緒です。

持続可能な社会を目指す現代において、見過ごすことができない課題ではないでしょうか。


まとめ

土用の丑の日におけるうなぎの購入は、日本の文化として根強く残っています。

しかし、その裏には銀行員の「お願いセールス」や、食品ロスの問題が存在しているのかもしれません。

この問題に向き合うことで、銀行は営業の慣習を見直す必要があるのではないでしょうか。

普通に美味しく「うなぎ」を食べる文化が残る社会であって欲しいです。

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