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開示資料から考える〜子会社を吸収合併した時の会計処理〜


ヤマザワさんの開示で子会社を吸収合併するとのものがありました。
子会社の吸収合併の処理もちょっと面白いので見てみましょ。

単体決算で抱合せ株式消滅差損なるものが計上される様です。
この損益は,基本的には以下の方法で計算されます。


吸収する会社の純資産価額ー子会社株式帳簿価額=抱合せ株式消滅差損益

なので,吸収する会社の純資産が100で、子会社株式の帳簿価額が50なら
100−50=50 ←これが抱合せ株式消滅差益となります。
連結決算では消去されますので,損益に影響ありません。

今回,ヤマザワさんはこんな感じらしいです。

ヤマザワさんは抱合せ株式消滅差損の様なので,
関係会社株式の簿価の方が大きかったんですね。

会計処理自体はシンプルですが,気をつけるとしたら税効果でしょうか。

税効果タックスプルーフ

タックスプルーフ行う際に,永久差異を集計すると思います。
あの,交際費とかのやつ。
永久差異の集計にこの抱合せ株式消滅差損益を漏らすと,結構金額大きいので
一生合わない沼に落ちるのでお気をつけください。

繰延税金資産が増える可能性

吸収消滅した子会社が税務上の繰越欠損金があり,
適格合併であれば,存続会社が引き継げます。

その場合
存続会社が黒字なら,税金費用は申告税額も税効果も
良い影響がありますね。

ヤマザワさんでどうだったか正直わかりませんが,
繰延税金資産は増加したとのこと。

ちょっと気になるので,23年2月期の連結税効果注記を拝見・・・。
しかし,繰越欠損金見つからず。繰越欠損金の注記も見つからず。。
仮説外れたかしら。。。

以下、同社23年3月期有価証券報告書 P66より引用

(その他に混ざっているのかなぁ。。。?でも繰越欠損金注記ないし事実は分からない。。。)

とりあえず、

社内で子会社の吸収合併の話が出たら,
・抱合せ株式消滅差損益の試算
・繰越欠損金の状況
・税金費用の試算
まで先回りで行っとけば,怒られないって信じてます。

あと、税務上の適格合併であるかも税務顧問に確認しておいてください。
これが一番優先度高いか。

このへん、税務申告の別表調理も面白いんですよね!笑



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