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BGMピアニストのお仕事

私はピアノが好きだ。

ピアノを仕事にしているのだから
何を今更威張ってピアノが好きだとか書いているんだか…という感じなんだけど
好きな事でも仕事にしたら嫌になる事も普通はある。でもピアノは嫌いにならないな〜。

私はピアノを弾く仕事に幼少の頃から憧れていた。

コンサートホールで弾くのも
ホテルやラウンジ、サロンのような所で弾くのも好きだ。

今日はコンサートホールではなく

身近なピアノ演奏のお仕事のお話。

いわゆるBGMのピアノ演奏。
ホテルやレストランやラウンジで弾く人ね。

ブライダルピアニスト
ラウンジピアニスト

主役はあくまでもお客様。
ピアノ演奏は店内に活けてあるお花、
芳香剤、インテリア、照明の仲間なのだ。

その場の雰囲気がなんだか心地いいなと思えるアイテム。

…にしてはグランドピアノはデカいからインパクトはある。

でもこのピアノというアイテムは
お店の高級感を出すには最強アイテムなのだ。

高級感というと近寄り難いかな。
魔よけっ
魔よけになります!!!
コレホント。

ワーワー騒ぎたい人にはピアノというアイテムは
非常に脅威らしい。

初めてのお店に入った瞬間にピアノが見えると

「あ、ごめん、なんか騒げんわ、別の機会にする」

と、Uターンするんです。
大騒ぎしたいお客様は大抵気が付かないのですが
大騒ぎするお客様のお連れ様が気を利かせて

「迷惑かけるから別の店に行こう」

と引っ張っていくんです。
そういうお客様が悪いという訳ではなく
騒いで楽しむお店との差別化がしやすいと言ったらいいかな。

ピアノのあるカフェやラウンジ、レストランでは
落ち着いた雰囲気でゆったりお食事を楽しんだり
読書をしたり
仲間内での会話を楽しんだり
中には接待や商談をするお客様も。

つまり

会話を邪魔しない音量での演奏

なので自己主張の場ではないのです。

「お客様を心地よくする」
特に生ピアノは音が緩やかに空気中を振動して
耳に届くので心地がいいものなのです。

ラウンジで演奏していると

「ピアノって音が鳴ってると振動するんだねー
ちょっとココで聴いていい?」

とピアノの横板に体の1部を当てて聴く方もいる位。
(マッサージ機かわり?)

お店のオーナーさんからよく聞くのは

「ピアノの音がうるさくて、
大声で会話しないといけないから疲れる。
会話が進まない」

それならピアノは邪魔デショ。

ピアノって
ピアノフォルテという名称で
小さな音から大きな音まで
動かす力だヤンマーディーゼルぅ〜🎶

失礼しました。
途中で「ヤン坊マー坊の歌(ヤンマーの歌)」になっちゃった。

小さな音から大きな音がなる
という名のピアノフォルテという名前だけれど
ピアノは小さな音を鳴らすための楽器なのです。

ボディが大きいのは
遠くまで小さな音を届けるため。

音楽学校や音大では
コンサートホールで弾く前提での指導がされるので
大きな音を出すのは得意だけど
小さな音は苦手なピアニストさんがとても多いのです。

これは実践で慣れるしかないのです。

コツはピアノ近くのお客様の声がハッキリ聞き取れる音量で弾く。
つまり歌の伴奏と思えばいいです。

さらに
お客様の声を聴きながら演奏をすると
会話の端々が聞こえます。

今なら
季節的にお花見スポット🌸の話をしていたら
「桜」
をモチーフにした曲。

映画のお話をしていたら映画の曲。

野球の話をしていたら野球の曲。

企業のお話をしていたら
企業曲がある場合は企業曲

ミュージシャンの話をしていたら
そのミュージシャンの曲

世の中には沢山のお題の曲があるので
大抵の会話に沿った曲ってあるんですよね。

それをさりげなく弾くと
会話が盛り上がるのです。

ホステスさんのいるラウンジで
新規様のお客様や新人ホステスさんが
会話が進まない時が希にある。

ホステスさんは
カランカランと氷の音を立てながら黙々と水割りを作ったり
おしぼりを綺麗にせっせと畳んだり
お客様はタバコをふかす。


そういうのを演奏しながら察知したら
お客様の年齢を外見から判断して
その年代のお客様なら絶対知っていそうな曲を
とりあえずオールジャンル
歌謡曲、時代劇、映画音楽、クラシック、ジャズ、アニメ
この辺を弾きながら反応を見ると
どこかで必ず引っかかる曲がある。

「この曲さー、懐かしいねぇ〜。
こんなのもピアノで弾いてくれるんだねー。
この曲流れてた頃ってさ…」

と、会話のサポートになるのです。

会話をしたくない時は
ホステスさんとお客様は
ピアノを一緒に聴く
という共同作業(?)が出来るわけです。

安心して無言で飲める環境にも出来る。

会話をしてもしなくてもいい
リラックス出来る癒し空間のいっちょ上がりなのです。

だって
お食事や飲食は家でも出来る。
わざわざ外に行くのは
何かを求めて行くのだから。

お腹を満たすだけのお店は
回転率最優先なので
お値段も安い。
会話よりも食べる食事が主役なので
食べ終わったらサッと出る。

癒し、雰囲気、人恋しい、時間つぶし
開放感、くつろぎたい

これを満たしてあげるのが
カフェやラウンジやレストランの役割。

お客様が笑顔になって帰って貰う為のお仕事なのです。


えらい話が抽象的でフワフワしてるやんけ

もっと現実的な話聞かせろよ
と言われそうなので…

1現場での演奏時間はお店や演奏現場の希望によって違うけれど
20分から3時間

え?3時間弾き続けるの?
と驚かれますが
弾きます。

20分なら5-6曲くらいで
リクエスト対応する間もなくお仕事終了するけれど
長丁場の場所だとそれだけリクエストが来る事もあるので
それだけの曲準備はいります。
最低50曲。

以前は私は紙の楽譜を使っていて
バッグがちぎれそうなくらいの量の楽譜を持って
お仕事に行っていたけれど
iPadの楽譜アプリに紙の楽譜を取り込んだので
iPadと充電コードだけ持ってお仕事に行っています。

ipadには現在3500曲位入っているので
割とリクエストには応えられているかな。
マニアック過ぎて楽譜がない場合でも
そのアーティストの別の曲
もしくは同ジャンルの曲
その時代に流行った曲
などで対応。
できる限り「出来ません」は言わないようにすると

「うわぁ〜そこまでしてくれたんだ〜」

と努力は必ず買ってくれる。

今はスマホもあるので
検索すれば大抵の曲は音源も出てくるので
「少し休憩頂きます」とか言って
音源を1コーラス小さな音で聴いて覚えて
それっぽく弾いて対応。

便利な時代になりましたねぇ。

長年そうやって特定のお店で弾いていると

「けいこさんのピアノ聴きに飲みにきたよーーー」

というお客様もチラホラ。
常連様が店内に入られるのがわかったら
その方の好きな曲を弾いてあげると
もうそれって
プロレスラー入場の時の
猪木のテーマ的な感じで
「俺登場!!」
「俺主役!!」
「俺のテーマ曲!!」

これが凄く喜ばれます。
お客様をドラマの主人公にしてあげれるんです。

テレビドラマって、必ず誰かが登場する時
テーマ曲かけるでしょ。

人は誰でも主人公。

BGMピアニストは
ドラマの音楽演出、いやプロデューサーなのだっ
(決まったゼ…ふっ)

経済は低迷期で
無駄はとことん省かれる時代になったけれど
心地良さや快適さは
落ち込んだ時など特に必要で
そういう場所で救われる事が多いので
無くなることはないはず。

ピアノを置くお店がもっと増えて
ピアニストさんと近くにいれると
遠い世界に見える音楽がより身近になるはず

心が安定する人も増えて
穏やかな時代になる


と思っております


まぁ色々書いたけれど


演奏ご依頼大歓迎です✨️✨️←

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