金を支払う先にあるもの

買い物をする際に、ブランド名などでサクッと決めて買うのも悪くは無いが、何故その値段なのかを理解すると、無駄な買い物が減ったり、支払いへ向かう足取りが軽くなるかもしれない。

金、英語でマネー、人生の中で大事なものベスト5に確実に入るであろう要素だ。否が応でも、入った先から出ていく物を皆さんは自覚的に使えているだろうか。
残念ながら私は大金持ちでも、金融のプロでも無いので、この記事では金の儲け方や、増やし方などではなく、日常の中での使い方に終始する。
また、子育てや、介護などに支払っている方も居るだろうが、それらも目的がハッキリしている為、ここでは割愛させていただく。

皆さんの金の使い道だが、おそらくは自分の為に金がかかる事がほとんどだろう。食費、衣服、美容関係、交際費、書籍代、税金、光熱費etc…
金を払うということは、金が減るという意味でもある。
減っていく理由が税金、医療費、年金等なのは、回り回って自分のためとは言え、あまり納得できないことも多いだろう。納得のいかない支払いは精神衛生にすこぶる悪い。
どうせ払うならば、納得して金を出したいというのは人情だろう。
今のところ、個人的に最も納得出来る考え方は、「人に払う」である。

人に払うというのは、手間や時間を相手に肩代わりしてもらうという意味である。食事なら調理や片付けの手間を、本なら知識をまとめる作業を、装飾品などはデザインや作成の手間を、マッサージなどはシンプルで分かりやすいだろう。
そういった「作業そのものへの対価」として考えると、出し渋ることが減った。
味が好みじゃ無い、大したことを書いてない本だ、等はあくまで個人的な感想であって、その労働に対する評価では無い。
極論、出来が悪かろうが同じ料理であれば、調理と片付けの手間そのものに変わりはない。大事なのは、人への感謝の気持ちである。

この考え方にはもう一歩、先がある。
人の働きに対して対価を払う、ということは、結果が出てきた以上は対価を払わねばならないということだ。
つまり、どれだけ自分の好みでなくとも、相手が頑張ってしまったならば払わなければいけない。好き嫌いなどは、あくまで自分の感覚一つであって、相手の頑張りには関係ないのだから。この考え方の良いところはストレスがたまる所だ。
おそらくは高額になればなるほど、イメージが違う支払いに対して悲しい気持ちになるだろう。それでも、金は払わねばならない。
何故なら、相手は頑張ったのだから。

そうすると、流行っていても、ブランドバリューがあっても、どれだけ手間と時間が掛かっている物でも、その価値自体は理解しても、自分にとっての価値とはイコールでないという事に気づいた。
今となっては、自分の好みでない物に目移りする事はほとんど無い。
作った人が頑張ったことと、自分が欲しいかどうかはイコールでは無いからだ。
そして、イメージのスレ違いが無いように、事前に調べ、その商品が自分にとってどれだけの価値があるかを考えてから買うようになった。

自分のために買い物をする時、皆さんは何を基準にしているだろうか。
周りが持っているから、将来必要な気がするから、性能が良いから…。
色々とあるとは思うが、私としては、突き詰めると自分の機嫌を取るために買い物をするのが良いと考えている。機嫌が良くなると世界は一瞬ひらけて見える。
上記の理由であっても、周りと同じになる事で自分が楽しい、将来に向けての不安を潰す事に悦びを覚える、性能の良いものを買ってホクホクしたい等、是非一歩踏み込んで、自分の機嫌の為の行為としてほしい。
人生は長く、残念な事に金は稼いでも稼いでも減っていくのが常である。
貯蓄も大事だとは思うが、まずは自分で自分の機嫌を取るバランサーとして金を使う癖をつけると、瞬間瞬間の救いとなるだろう。
私は間違いなく美味い飯に、命を何度も救われている。

#エッセイ #金 #金の使い方 #等価交換

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