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慶應カレンダー2023出来!

 連合三田会大会の話を聞くと、「慶應カレンダー」の季節が来たなと私たちは感じます。なぜかと言えば、例年、連合三田会での出張販売が、発売初日となっているためです。今年は、3年振りの開催でした。

もちろん今年も、彩り美しい和・洋の貴重書を12カ月にあしらった「慶應カレンダー」2023年版を発売いたしました。
こちらからご注文いただけます。

今回も監修者の関場武氏に、「慶應カレンダー2023」に収録した貴重書のなかから数点を選び、ご紹介頂きました。

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KEIO CALENDAR 2023

連合三田会大会開催に間に合わせるべく制作を続けて来たKEIO CALENDAR の2023年版が出来上がりました。つくづく思うのは慶應義塾、同図書館、附属研究所斯道文庫等の蔵書の奥深さ、すごさです。元本塾名誉教授高橋誠一郎氏、George S. Bonn元訪問教授、センチュリー財団赤尾氏らによる寄贈も大きいですが、常日頃の蒐集の努力の賜物でもあります。何時もながらの貴重書室スペシャルコレクション担当の倉持隆氏ほかの皆様方のご協力にも感謝申し上げます。では2023年版の中からその若干を紹介しましょう。

井上廉平輯・長谷川貞信画『西洋画引節用集』〔初編〕明治5(1872)年5月序刊 中本左袋綴1冊
左が表表紙、右が裏表紙

 まず表紙ですが、初期をのぞきここ暫く和物を題材にして来ましたが、今回は和物ですが「西洋画引節用集」という和英対照の絵入り小辞典の口絵を出しました。これは西洋の書物から採ったバーチャルなもので、読者の憧れを煽ったものです。近年まで、週刊誌や月刊誌・ファッション誌の口絵に、ロマンチック街道や西欧のモデルを盛んに取上げていましたが、それと通じるものがあります。西洋に対する憧れをくすぐり、購入・学習させようというものです。裏表紙に出した「アタマ」の次項「アソビ」に描かれた子供と玩具にしても、あきらかに日本のものではありません。現実を目の当たりにして福澤が蘭学から英学に急遽転進したというのは有名な話ですが、それから時を経て堅実な英和・和英辞典が出始めていた時期のものでも、一般的な学習・啓蒙書にはこのようなものが多い、と言うかこれでも上等なものでした。

近世堂上歌会短冊集成 10枚 江戸初期写・各自筆 (慶應義塾図書館蔵)

 正月の近世初期の歌会の短冊ですが、これ程まとまって保存されているのは珍しく、その道の専門家・第一人者の佐々木孝浩斯道文庫教授に選択・解説を御願いしました。

「グーテンベルク42行聖書」(マインツ、1455年頃) (慶應義塾図書館蔵)

 また、4月のグーテンベルク42行聖書。そもそもこのカレンダーの制作が慶應義塾が同聖書の購入をきっかけに始まったことと、永年制作にご協力を頂いている松田隆美KeMCo機構長・文学部教授が定年を迎えられることを寿いで華やかに掲出しました。12月の聖務日課書の挿絵も珍しく愉しいものです。

歌川広重(三代)『東京品川海邊蒸気車鉄道之真景』大判錦絵3枚続 (慶應義塾蔵)

 和物では色々ありますが、5月の「東京品川海邊蒸気車鉄道之真景」。昨年も別の図柄を出しましたが、23年版のこれはまさに当時の実景を描いているもので、第七橋梁の利用の実態がわかり、貴重な資料です。背景にお台場も見えます。

歌川広重『木曽路之山川』安政4(1857)年8月改印 横大判錦絵3枚綴り (慶應義塾蔵)

 また、2月の「木曽路之山川」。これは広重最晩年の力作で、深い雪に覆われた山々の凍てつく静けさとその中に生きる人々の姿を見事に伝えています。

山本昇雲『小供風俗画帖』子供遊ひ・おもちやの勝負・明治39(1906)年12月刊 横大判錦絵  (慶應義塾図書館蔵 ボン錦絵コレクション)

 9月の「子供遊ひ・おもちやの勝負」。はじめ「おまつり」の方をメインにと考えましたが、「東郷大将萬歳」の纏も見え、日露戦争の祝勝を祝うものと判明。昨今の非道な世界情勢を考慮してマドに廻しました。
 ことほど左様に挙げて行けばキリがありません。どうか実物を手に取り鑑賞して頂きたいと思います。

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〔関連記事〕2022年版のご紹介はこちら

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#慶應義塾大学出版会 #2023年カレンダー #慶應 #カレンダー #三田会


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