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信念 一ノ瀬大悟(経4・慶應)

我々の代の「元気印」こと秋葉優吾より紹介を受けました、一ノ瀬大悟です。大学になってからはあまり言われておりませんが、私にとって秋葉といえば「えくぼ」。チームの苦悩も個人の苦悩も彼のえくぼに救われてきたようなところがあったりなかったりします。4年秋の最終戦・東大戦で見せたホームラン予告は必見です。みんな見逃していたようですが。秋葉のせいで尺を使ってしまいました。先を急ぎますが、彼のブログも必見です(前回)。

さて、少しだけ私の昔話にお付き合いください。自分史とも言います。
【自分史】
野球との出会いは5歳の頃でした。すぐに野球を好きになり、小学3年にして地域の少年野球クラブに入団しました。砂遊びをしたり泣いたり、怪我もしていました。三つ子の魂ってやつですね。親が野球教室に通わせてくれたこともあり、そこそこ強いチームでそこそこいい成績を残していました。6年の12月に開催された大会で敢闘賞をもらえたあたり最後に運が回ってくるタイプかも知れません。野球は好きでしたが、自分で考えることや努力を続けることは苦手でした。


中学では内野健太率いる超名門普通部野球部を蹴って地元の硬式野球クラブ・県央ヤングに入部しました。中学3年間で公式戦勝利数は片手の指がいくつあっても余るほど。そんな環境で、主将でエースで4番を張っていました。タッパー飯を箸で食べることを強制されたり、大量失点の際には土下座をさせられたり、8月の炎天下人工芝で4時間走らされたり、話のネタには事欠かない3年間でした。結果、一ノ瀬少年から笑顔が失われるなどしました。ちなみに読売巨人軍に行った菊田拡和からスライダーで奪った2三振は最高でした。その苦労を哀れに思った連盟は私を選抜に選び、東京ドームで試合をさせるなどして労ってくれました。運がいいですね。この県央ヤングでの1個上の先輩らと六大軟式で再会できるとは思いませんでした。(なお、県央ヤングは卒業2年後に廃部)

塾高では内野、清水、丸尾、小林らとともに無限の理不尽・新人トレにぶつかりました。〆切までの都合上、細かいことは後続に託します。きっと誰かが書いてくれるでしょう。おかげでメンタルは強くなり、自己肯定感は消え、希死念慮と仲良くなったりもしました。新人トレ編を乗り越えられたのは当代の奇跡としか思えません。それ以降は野球センスの無さを嘆きながらも、野球には夢中だったように思います。周りの目が気にならないほどには。そしてやはり運に恵まれた私はベンチ入りを果たしました。これで高校のマイナスイベントは全部チャラになりました。ただ、怪我には一方的に好かれていたようで靭帯損傷、疲労骨折×2、肉離れ、捻挫とスペランカーの名をほしいままにしていました。

そしてみんなの知る大学4年間。
高校での不完全燃焼感、投手への憧れを捨てることができず入部しました。
1年次は怪我に悩みながらも心を燃やし続ける飯田さんや小杉さんの背中を見て育ちました。新人戦では先発したものの、丸尾にサードゴロを捌かせてやることができなかったことが心残りです。

2年次からは膝の怪我とお付き合いさせていただくこととなりました。膝は1度やるとなかなか治らないものです。皆さまお気を付けください。セカンドオピニオンでは手術の提案もされましたが、結局しませんでした。どっちの道が正解だったのかは分かりませんが後悔はありません。全国大会準決勝のマウンドから見る景色は異質でした。地に足がついていない感覚を覚えています。

3年次は人数の少なかった1個上と同期のように仲良くさせてもらいました。大変失礼いたしました。特に同学年の「はせけん」にはなんでも言える安心感がありました。身に余る起用をありがとうございました。1個上のような器量の先輩になりたいと憧れていました。

ただ、3年までは本当にいてもいなくても同じ選手というのが自己評価です。廣瀬さんや田村、金光の好投を見ているばかり。アクシデントピッチャーという仕事を作って自分を当てはめてみたりもしました。が、それはチームに必要だったからではなく、自分にとって居場所が必要だったからでした。同期や先輩はA戦で、自分は後輩に囲まれてB戦で、勝利パターンに入れていない状況、どこに投げても打たれる試合など。全国3位や東日本大会などに喜びながらも、どこか暗い心を抱えながら何も見えずにもがいていたような気がします。

4年でやっと何者かになれた気がしました。チームの勝利に貢献できている感覚。試合での出場機会が増えたことが原因の1つではありますが、自分の持ち味がようやく見つけられたから、それを後輩にも伝えようとしたからというのもあるかもしれません。これまで素直に喜べなかった仲間の活躍を心の底から喜べるようにようやくなりました。身勝手な話ですが、素直に喜べない自分に対する自己嫌悪のようなものから解放されました。ちゃんと自分の心の中で「仲間」だと胸を張って言える、それが最後の1年でした。だからこそ最終リーグは本当に楽しく、熱狂できたのだと思います。

長くなりましたが自分史へのお付き合いありがとうございます。

そしてここからは、これを読んでくれている後輩に何か伝えられたらと思います。1つの解釈として。
【野球観】
「負けにナイスゲームはない」
やはり野球は活躍してなんぼ、勝ってなんぼのスポーツだと思います。私は既に勝てなきゃ面白くないし、活躍できなきゃ面白くないという考えに支配されています。中学の頃に指導者から言われていたこの言葉が今でも刺さっています。残念ながら中学時代は自分の成績だけ見ていたりもしました。この代は割とみんなが似たような考えや背景を持っていて話が早くて助かりました。話が逸れますが、ここが大学でも部活動を選んだ理由ですね。

「enjoy baseball」
勝ちを得るために頑張る、負けて悔しい想いをしたくないから今苦しくても頑張る。前者はかっこいいですね。私は後者でした。

「己を知り、相手を知れば」
百戦危うからず、なことはないですが自分を知ることはとても重要です。自分の体、得意なこと、苦手なこと、行動特性などなど。これをもって、活躍する自分とのギャップを詰めていくのが大事だと思います(塾講師風)。例えば、足が速いだとか、遠投が得意とか、伸びのある直球があるとか、強い変化球があるとか。これらを踏まえて自分はどのフィールドで戦っていくのか。
私はこれを見極められずにいたことが長いトンネルの原因になりました。私の場合は変化球をおろそかに、見栄えのいい球速にフォーカスするなどしていました。自分の主観だけではなりたい理想像に引っ張られてしまうというのは怖いですね。自分だけで考え続ける私のようなタイプは周りに率直な意見を聞くことでの気づきもあります。そのために率直な意見をもらえる関係を築いてください。
プレーだけではないです。周りが盛り上がっているときに冷静になれるタイプ、視野が広くて気付けるタイプ、空気を読まずに盛り上げられるタイプ、人を良く観察している、とか。選手もマネージャーも。
相手を知ることはずっとやっていました。ここでいう相手とはチームメイトのことです。周りをよく観察して、このチームにはどんな選手、どんなマネージャー、どんな役割が足りていないのか考えていました。高校時代の癖です。悩める後輩の相談はいつでも受け付けます。

「良いことは褒め、悪いことは指摘する」
強いチームや良いチーム(漠然)には相応の雰囲気があると思っています。逆もまたしかり。自分も褒められたら嬉しいとかいう感情です(22歳)。責めるときは(自分ができるかどうかは生涯棚の上にあげ)試合でそのプレーをされたときに割り切れるかどうかが基準でした。
後になって後悔する要素を減らしたかったのもありました。悔やんでも悔やみきれないことを夜中に考え続けてしまう質です。

「数値へのこだわり」
いわゆる球速や回転数やらはゴールではありません。ゴールではありませんが目指していると楽しいです。ただし、その数値が本当に追い求めるべきなのかは見極める必要があります。ちなみに私は外苑の地下室でカーブの大きさに固執していました。求道者って響きが好きです。

「神頼み」
このブログを読んでくれた方は知っているかもしれませんが、私はとにかく運に恵まれています。明確になぜかは分かりませんが、思い当たる節があるとすればこれです。まず自信を持てるところまで練習します。練習の辞め時は、怪我の恐れがあるときと明日自信を持ってプレーできると思えた時です(当人がスペランカーであることには留意)。そして小銭を握りしめて出かけていました。おすすめの場所、紹介できます。

「過去の自分に見られている意識」
4年の頃はずっと付きまとっていた感覚です。プロ野球選手になりたいと言っていた幼い自分、死んだ目をしていた中学の自分、本当に死ぬ気で野球をやっていた高校球児の自分が今の自分を見ている。そんな気がしていました。成仏に失敗した野球の亡霊のような彼らが今の自分の取り組みを見て納得するような野球、認めてくれる野球、過去を肯定するような野球をしようと決めていました。

「慶應義塾體育會軟式野球部という道」
この部活の最大の特徴として、大人に縛られないところがあります。つまり大人の介入を受けることなく自分が作りたい雰囲気を作れるということです。人数が多すぎないというのも追い風です。
個人の意見が反映されやすく、理想のチームを追求できる環境は世の中そうありません。ぜひとも理想を追求してください。仲間と意見が違えば共通点を探し、最善策にもっていってください。
4年生の陰に隠れている君へ。
今から自分の理想は語るべきです。4年になってからでは遅いかもしれません。先輩と意見を戦わせてください。
4年生の君へ。
後輩に語る機会を与えてください。普段の行いが重要です。
今入部を考えている君へ。
理想のチームを追求できる環境。わくわくしませんか?

最後に
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
後輩のみんなについては、己の地頭を信じ、努力量を信じ、個性を信じて頑張ってください。心から応援しております。

次のブログは春日亮汰です。
打撃を愛し、打撃に愛されず守備には愛されたこの男。
内部生だらけの部活に深みをもたらしたドン・ボスコの教えの体現者。
奇行への反省はみられるのか。今回も逃げ切るのか。
そんな彼のブログをお楽しみに!

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