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 こんにちは。小倉君から引き継ぎました、1年生の川上航希です。晩秋を迎えて寒冷の厳しい中ではありますが、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

 10月15日、慶應義塾大学競走部は第99回箱根駅予選会に出走しました。クラウドファンディングはもちろん合宿への物資の差し入れなど、我々は皆様からの多岐にわたるサポートのおかげでこの日を迎えることが出来ました。改めて心より感謝を伝えさせていただきます。

 しかしながらその感謝を箱根出場という結果で示すことが叶わず、チームとして非常に大きな悔しさが残っています。この悔しさをを全員が胸に刻み込み、100回大会となる来年は「30年ぶりの箱根に行けるのではないか」、そんな期待と結果を皆さまにお届けするべくよう今この瞬間を一秒たりとも無駄にせず過ごしていく所存です。

 ここから少しだけ自分の今シーズンについて書きたいと思います。目を通していただけると嬉しいです。

 夏合宿が始まってから予選会まで自分が過ごした約2ヵ月を振り返った時、「激動」という言葉以上に適切な表現は無いかなと感じています。

夏合宿

 蔵王で行われた一次合宿までは順調な滑り出しでした。陸上部の本格的な合宿に参加するのは初めてで、実際に始まってみると毎日30~40kmの距離を走る生活は想像以上にハードなものでした。しかしそのハードさは自分を確実に成長させてくれて、とても幸せな2週間でした。その後紋別で行われる二次合宿に参加出来ることとなり、「ずっと夢見た予選会を走れるかもしれない、わずかなチャンスでも絶対メンバーになるぞ」という希望と決意を持って北海道に向かいました。

紋別空港にて


 しかしそんな想いも虚しく、紋別で僕は一回も全力で走ることが出来ませんでした。それまでは本当になんともなかったのに、初日にコースの試走を兼ねたジョギングを始めたタイミングで身に覚えのある痛みが右股関節を襲ったのです。といってもその時は、前の合宿のダメージが抜けていないのだろう、そう考えるようにしていました。そして3日ほどゆっくりジョグ、ウォーク、スイムなど股関節の回復を信じて出来ることをやりました。しかしそれでも痛みは日に日に強くなる一方で、感じていた嫌な予感は認めたくない確信に変わりつつありました。

合宿後

 結局合宿の折り返し地点である5日目、単身で紋別から日吉へ途中帰寮することになりました。悔しい想いを噛みしめながら飛行機に揺られ、病院に診察へ。2年前左股関節を手術した「股関節唇損傷」が、今度は右の股関節で発症していました。日を追うごとに強くなる痛みに、覚悟はしていました。それでも先生から診断を聞いて手術を宣告された時は視界が真っ暗になりました。


 2回目の手術を先生に告げられた時、「お願いします!」とすぐに返事をすることは出来ませんでした。競技歴が短い自分が大学で活躍するためには、4年間を怪我無く積み重ねることが最低条件だと考えて入部していました。その矢先のこの怪我、絶望の中で競技を諦めるという気持ちが自分の中に芽生えていたのも事実です。怪我をしてから、急転直下の毎日に心が追い付いていなかったのだと思います。そこから家族やコーチ、同期と話し合いながらひたすらに自分の気持ちと向き合いました。

今現在

 そして結論として私はもう一走るために9月15日、2年前と同じ病院で手術を受ける選択をしました。無事に手術は終了し、最近では自力で歩けるようにもなりました。今は合宿所にも戻り、リハビリと筋力トレーニングに取り組む毎日です。手術を選択した時点で今年の予選会に出走する望みは絶たれてしまいましたが、12月のランニング再開に向けて曲がりなりにも一歩ずつ、歩みを進められているのではないかと思っています。左右3つずつの手術痕が、いつかは自分の誇りになればいいな。

入院した病室

  
 沢山悩んだけど再び前を向けたのは、長距離を走ることが大好きだからです。そしてこのチームが大好きだからです。文字にしてみるとなんだか薄いな、と感じなくもないですが結局これが全てでした。好きでやってることだから、自分の意志で前に進む決意と覚悟が持てました。再び走り出すためなら痛かった手術も長いリハビリも試練なんかじゃない。みんなで箱根を目指せなくなる、陸上を諦めることで今の幸せな環境を失ってしまうことの方がよっぽど辛いことだと気が付きました。 

同期愛

 
 自信を纏ってキラキラ輝く選手はかっこいいです。スターって感じがします。憧れないっていったら嘘になります。けど傷だらけの身体で泥臭くもがく、そんな選手が出来ることだって一つくらいあるんじゃないか。可能性は低いと分かっていながら、心の奥底では疑うことなくそう信じています。その一つが、慶應義塾大学の箱根駅伝出場になるならもうその他のことは望みません。涙を流したあの日の壊れかけの夢を形にするため、どんな状態になっても見捨てないで居場所をくれたこのチームで最高の景色を見るため、二度の手術を反対もせず受け入れてサポートしてくれた家族のため。第100回箱根駅伝予選会、結果を出します。チームとしても個人としても、下剋上のためにやることやってたら1年弱なんてあっという間です。泥臭く、死に物狂いで戦っていこう。

※引用:弱虫ペダル 10巻より

 長文のブログになってしまいましたが、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。次は島田君です。よろしくお願いします!

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