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『伝える準備』から得た、言葉の力をもとに。

 みなさまお久しぶりです。川上から引き継ぎました、1年の島田亘です。私が前回ブログを投稿したのは昨年の11月、箱根駅伝予選会を終えてから少し経ったときでした。前回のブログの冒頭にも書いたのですが、時が過ぎ去るのは本当に早いもので、2023年も始まったばかりだと思いきや冬の強化練習期間も終えて、もうすでに3月になりました。自分は4月生まれなので、20歳の誕生日を迎えるまで1か月を切ってしまっています。残り少ないティーンエイジャー期間、全力で楽しみます。

 残り少ないティーンエイジャー期間のビッグイベントとして、今週末に東京・立川で開催される日本学生ハーフマラソン(通称:学生ハーフ)に出場予定です。私自身、初めてのハーフマラソンで緊張と不安でいっぱいですが、今自分にできる最大限の力を発揮してこようと思います。是非とも、応援のほど宜しくお願い致します!



 さて、前置きが長くなってしまいましたがここからが本題です。今回の私のブログですが、いまからちょうど1年ほど前に初めて読んだある本の話その中に出てくる”言葉”を題材にし、私のことや陸上のことを少し絡めて書こうと思います。時間に余裕のある春休み真っ只中で、ふとその本のことを思い出し改めて読んでみたところ、「うわ、ここの所いいな。」と感心する言葉や部分がありました。長距離ブロック内で、言動が浅いことで定評のある人は数名見受けられるのですが、その中に私も含まれているらしいです(もちろん、自分では認めていないのですが、笑)。こう言われることの多い私の書くブログなので、毎度のことながら深追いせずに軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。

 それでは今回の目次へ。

『伝える準備』 


 私が読んだある本とは『伝える準備』という本です。このブログを読んでくださっている方の中で、この本を聞いたことや読んだことがある人はいるでしょうか。この本のことを知らない人もおそらくいると思います。しかし、この本の著者の方を知っている人はたくさんいることでしょう。この本の著者は、日本テレビアナウンサーの藤井貴彦さんです。日本テレビ系列の平日夕方の情報番組『news every.』でメインキャスターを務めている藤井貴彦さん、みなさんも一度は見たことがあるのではないでしょうか。いつも夕方に見ている顔だからか、私自身どこか身近に感じることのある藤井さんですが、慶應義塾大学の卒業生(環境情報学部)でもあり、慶應の先輩として身近に、親近感を抱くこともあります。

藤井貴彦アナウンサー
マイナビニュース(マイナビ2018)より画像引用。

 そんな藤井さんが書く『伝える準備』、内容を短く簡潔に表すならば、「言葉を選び、”伝えるための準備”をする」です。本のタイトル通りではありますが、説明のためにここで多くを語るとまだ読んだことのない方へのネタバレになってしまうのでこのくらいに。藤井さんはアナウンサーという職業柄、情報の発信力、発言力があり、言葉を使って不特定多数の人々に情報を伝えなくてはなりません。だからこそ普通の人より深く丁寧に言葉を選び、伝える準備をしなくてはならないのかもしれませんが、これは①自分自身が周りの人々とコミュニケーションを取ることにおいても重要であり、②自分自身を分析しより深く見つめるため③伝えることだけではなくすべての事柄における”準備”をするうえでも必要不可欠なのではないかと思います。ひとりの人間として、そしてひとりの競技者として関係する部分があると感じたので、その部分について書いていきたいと思います。

藤井貴彦著『伝える準備』

発する言葉が自分を作る


発する言葉があなたをつくる。だからこそ、言葉選びに時間をかけたい

藤井貴彦『伝える準備』P.28より引用
※以下同書

 この言葉は『伝える準備』に書かれている文章の一つです。この書籍の中で藤井アナは、夕方のニュース番組が終わると自分自身のデスクの周りに後輩たちが集まり、本番中の仕事の評価やフィードバックを求められる、と書き記しています。その際、下手なことは言えないので普段からの仕事ぶりを観察して準備をしておくそう。これはアナウンサーである藤井さんだけのことではなく、一競技者の私自身もこういった考えをもつことは大切だと感じました。上述した①自分自身が周りの人々とコミュニケーションを取ることに関連して、例えば、練習を終えて自分が同期からその練習の走りのフォームに関するアドバイスを求められているとします。「あの時のフォームどんな感じだった?」実際に私自身がアドバイス求められることもあれば、自分も誰かに相談することも多々あります。「良かったと思う!」と言葉の瞬発力だけを生かした答えを返すことも全くもってダメ、というわけではありません。しかし、相手がそのアドバイスから成長しようとしているのであれば、「よかった」という言葉だけでは足りないのだと思います。その言葉がよく考えられていないものであると相手に伝わった途端にアドバイスの効果は薄れしまうでしょう。長距離選手である私たちの体の状態や調子を一番理解しているのは、何よりもその感覚を持った自分自身。だからこそ、他人にアドバイスをするときに適当なことは言えません。「見ている感じ悪くはなかったと思うけど、自分の感覚的にどう?」と返すことが私は多いのですが、これはこういったところから来ているのかもしれません。それでもアドバイスをしてあげる場合には、練習の動画を見返し、考え、言葉を一旦寝かせてから伝えるようにしています。

 私たちが復活を目指す箱根駅伝は個人個人の走力や強さ、速さも大切ですが、それだけではなくチームとしての一体感、強さも重要だと思います。チームとしての一体感や強さを強固なものにするためにはコミュニケーションが必要不可欠。本書に記されている藤井アナの言葉を借りるならば、

相手にフィットする言葉を見繕う

同書P.34より引用

ことによってチームのメンバーひとりひとりと円滑なコミュニケーションを取り、チームとしての強さを上げていくことに通ずるのではないかと私は感じました。

自分を俯瞰する


 本書のなかで次のような言葉も記されています。

日記は、自分を俯瞰でみるドローン

同書P.43より引用

 藤井さんは言葉を選ぶため、たくさんの言葉を引き出しに集めておくために日本テレビに入社して以来日記(5行日記:小さな空間に5行だけ記す日記のこと)を書いていて、この日々の積み重ねが言葉選びの土台になっているそう。

 私たち慶應競走部長距離ブロックのメンバーは毎日欠かさずにスプレッドシート通称:スプシ、以下スプシ)と呼ばれるものに日々の練習の記録、いわゆる練習日誌を書き記しています。これは練習記録などから日々の自分の調子や状態、走りの感覚などを書いていくもので日記とは少し異なっていますが、私は練習のことだけを記すのではなく、日々の日記の要素もちょこっと入れるようにしています。それは、私が普段何気なく過ごしている一瞬も今の自分に影響していると考えるタイプであること、走る以外にその日していたこと、起こったことを少し絡めて記すことでその日の心境や調子、体の状態をより鮮明に思い出し書き記すことが出来ると考えているからです。

 スプシにこういったことを書いていると自分自身のことより深く分析できます。これは上述した②自分自身を分析しより深く見つめるために関連していると言えるでしょう。今の自分に悩んでいるのであれば、過去の自分を振り返り比較してみる。実際に書くことで、考えや思いを言語化する。言語化することで今の悩みの解決策が見えてくるかもしれない。今の自分の課題の一つは、走りをより良いものにするために改善できる部分を具体的に言語化することなので、この部分は自分にとって意味のあるものだったと感じています。

 そして、ここで見えてきたものをもとに万全な準備・練習をする。これは上述した③伝えることだけではなくすべての事柄における”準備”に関係していると言えます。真剣勝負(私たちで言うレース本番)には相手を上回る準備や練習が必要なのです。
 
 このように自分を俯瞰できる”日記”、みなさんは書いているでしょうか?

いつも心に絶対値


 最後に、本書を読んでいて面白いなと感じた言葉が、「いつも心に絶対値」です。これは、藤井アナが日本テレビ入社以来、自分の好きな言葉として一番フィットしているなと感じる言葉だそうです。この部分の説明を引用すると、

「絶対値」とは、数字の両側に置く「ついたて」のような記号です。
この記号をマイナスの数字にかぶせてあげると、マイナスの符号が取れる。
つまりマイナスの数値が大きいほど、数値は大きくなるということなんです。
|-100|=100

同書P.77より引用。

とのこと。みなさんも絶対値はおそらく学んだことがあるでしょう。「シンプルなのにとんでもない魔法をかけるなあ」と、藤井さんは書いていますが私もこの言葉を見て確かになるほどなと思いました。長距離の練習は苦しく、そして辛いものがほとんどです。しかしこの言葉のように、苦しい時こそ、辛い時こそ多くの経験を得たり、成長を感じられると考えてこれからも日々練習に励んでいこうと思います。言葉の力も大切に。


 長く拙い文章になっていしまいましたが、ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。『伝える準備』、もし気になった方がいましたら是非読んでみてください。
 
 さて、次はブログを早く投稿したくて自分のブログを急かしてきた太陽です。待ちに待った太陽の出番だよ!よろしく!!

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