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ぶっ壊して逝くのか ① #未来のためにできること

地球は、長く続いた世界大戦、気候崩壊、パンデミック、飢餓、経済破綻により、壊滅的になり、死と難民であふれた。

存続と平和を願い、ユナイテッド・アース(地球連合、以下UE)が設立された。グローバル・シティズンシップ(地球市民権)、ゼロ・エミッション、宇宙開発のためのIターンを推進し、全てを厳格に管理監視している。

国政や地方自治は、UEの下、実質AIが担っていて、電気や水道の使用量、食料、グリーン・ハウスガスの排出量などの限界値を算出し定めている。限界値を超えると、行動制限や供給停止になる。

今や元旦は、終戦記念日であり納税日だ。UEは、平和記念式典を仮想現実上で開催し、その参加をグローバル・シティズンシップの獲得、パスポート更新などの必須条件にしている。グローバル・シティズンは、高額の納税義務を負う。年が明けると、瞬時に昨年の所得や控除が計算されて、UE発行のデジタル通貨アースで、自動引き落としされ納税となる。

私は企業経営者の一人で、グローバル・シティズンだ。ホッカイドウのオタルナイで、アジア最大規模のサーキュラー水上都市を開発中だが、私はもちろん誰かが現場にいる必要はなく、AIやXRを使いリモートで動かしている。それでも、難民が集まる新たなオタルナイのコミュニティに魅了され、移り住んできたのだ。曾祖母の故郷でもあり、未だその頃の痕跡も高台付近には残っている。この付近の水資源を干ばつに喘ぐ大陸にゼロ・エミッションで運ぶという大きな課題もある。

元々、先代が生まれ故郷であるオランダで創業し、環境保護をしながら、水上都市のみならず、リモート除染、緑化などで評価されてきた企業だ。皮肉にも、世界大戦中の核戦争が終わり需要は拡大し、気候崩壊による水没や干ばつそして山火事が未だ続くことで、ビジネスは成長してきたのだ。

双子の弟はミュージシャンで、かつてはグローバル・シティズンだった。「愛する祖国をぶっ壊して逝くのか」という歌詞を含む曲をリリースし、世界中でヒットしかけた頃、UEにより、パトリオット(愛国者)とされてしまったのだった。そうなると、出国ができなくなり、仮想空間上においても、同じ居住国の住人ないしは5親等以内の親戚を除いて、見えない存在となるのだ。それでも、彼の曲は未だアンダーグラウンドで人気だ。

ぶっ壊して逝くのか、未来のためにできることをするか。

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