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わからない上で何をするか

最近「仮説」という言葉を意識して見つけられるようになってきた。同じ言葉を使っていなくても一緒に仕事を進めていくなかで、「あっこれ仮説やな」と感じられて嬉しくなる。今回はそんな仮説を自分なりにまとめてみる。

仮説という言葉が自分の中でお気に入りなのは名前をつけることによって「わからない」という概念を共有できるからだ。著書「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」のなかで「混沌とした感情に(ライオンという)名前がつくことで、人の頭の中に概念が生まれる」とある。ライオンと名付けられていなければ恐ろしい捕食者になす術もないが、名前をつけて概念化することで性質(4つ足、哺乳類)を学ぶことができる。ライオンに紐づいた知識を取り出してようやく人は対抗する手段を持つことができるのだ。

仮説も意識しないと自分の持ち札からしかカードを切れない。持ち札しか見えてないから可能性に上限ができてしまうし、持ち札が少なくなって補充するときも同じカードを引いてしまう。同じ種類のカードで対応できているなら問題ないがなす術がなくなってきたときに仮説が有効だ。わからないことがあるという前提に立ったときになにを知りたいのか、どんなカードがあって何を拾いに行くのかから始められる。まだみぬ最高のカードを探して実行できるようになる。選択肢を広げていけると、何でもできるけど何にもできないみたいな不思議な感覚を覚える。自分が初めて感じたとき、これまでどれくらい狭い幅の中でやっていたのかと思った。

選択肢が広くなるとやれることが多くなるからより大変になる。やりたいことがいっぱいですべて行動に移せない。そのまま選択肢を持ち続けても状況を変わらないんだけど消費した時間分だけさらに焦る。変に真面目になって成功率100%を目指すんじゃなくて程々の打率を目指して良いのだ。特に実行に対するレスポンスが早かったりやり直せることは失敗ではない。ある日同僚にどんどんやってみてダメだったら戻ってくればいいじゃないかと言われたのは仮説の理解の助けになった。

どんどんやっていけばいいものの前もうまくいったからとか他でうまくいっているからみたいな思考停止だけは避けないといけない。そのためにも仮説の質に拘っていきたい。失敗したら何がダメだったのか、プロダクトだと課題なのかユーザーなのか価値なのかソリューションなのか。さらにどういうロジックがあってダメだったのかまで考えて次の仮説の精度を高めていきたい。

仮説という考え方はエンジニアやプロダクトの世界に限らず変化の激しいいろんな世界で有効なんだと思う。コロナと向き合い続けていく中でどんなワクワクする世界を妄想できるか。筋のいい仮説を探していきたい。

参考書籍


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