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白いとんかつの奇跡

おはようございます。
今日は突風に見舞われるとのこと。

最近、肉にハマる24歳。
改めて肉って美味しい記憶ばかりだなぁと、その必要性を実感しております(なんだかんだ鶏肉が1番です)。



今日の食日記

奇跡的なとんかつとの出会いをした。

とんかつと向き合う体験をほとんどしたことがないので、ここに綴ろうと思う。

全国さまざまなところにとんかつの魅力は点在しているのだと思う。手軽に作れるかと言うと、そんなことはないから、その事実が大きな付加価値となって食べるものを魅了していく(正直、美味しくないとんかつは何のだと思う。僕にとっては)。

そこにあれば、ぜひ味わってみてほしい。僕と同じように。奇跡的な体験だから。


僕のとんかつ食べない歴は案外長いかもしれない。
学生時代、お弁当によく入っていたし、テーブルにも頻繁に並んでいた。だが、思い出してしまったのだ。

それらは大概がチキンカツだったことを。


スーパーでタッパに包まれたお惣菜とは怖いもので、カツという何かの肉が衣に包まれたものは、食べ応えを伴った魅力とともに、人々に食されていく。

差異はあるようで、カツを食べたいという欲を満たすべく並べられれば、とんかつであろうとチキンカツであろうと問題ないという人は多いのではないだろうか(当時はスタミナ勝負。バスケをやっていたし。カツがあればそれでよかった。喝が入るし。なんて)。


今でも自分でとんかつを選ぶことはほとんどなくって、揚げ物を嫌っているというより、なんだろう好きでも嫌いでもないというやつか(食べなくても生きていける。そんな具合。ちなみに餃子は禁断症状で、食べないと生きていけない。という分かりやすい違いがある)。


ある日父と出かけた。
父はとんかつが好きだから、こだわりのとんかつに付き合ってみようと思った。好奇心が湧い



今日のお店

予約して向かったその店は、高級感の塊で、背筋が伸びた。
とんかつをなに一つ語れない僕が来てよかったのか、真剣に考えるほどの迫力だった(愛好家、父よ。頼んだぞ!)



いくつもの駐車場は常に埋まっている。
きっと全国のとんかつloverが集まっているのだろう。恐れ多く手汗がじんわりしてきた。

流石に店前で深呼吸を済ませた。
それもとっても大きく。


大自然の真ん中に来た清々しさと、静かな緊張感が流れていた。帯をしっかりと締め向かった(とんかつを頂く覚悟よ)。

父を連れるなら、やっぱり予約して、日々の苦労を労ってもらいたいな。そんな気分。

カウンターもいいけど、テーブルで向かい合って丁寧に食べようと、意気込みだけは誰にも負けない根性だ。


流石の予約席。静かな店内には、静寂と緊張と、カツと向き合えよと、痺れる緊張感がたまらない。

そんな掟を客一人一人が理解しているのだろう。いつまでも静寂が突き抜ける(食の場の緊張感オタクの僕は、この空間のこのソワソワ感がたまらない。沸々と笑いそうな何かが込み上げてくるようだ)。


意外にもとんかつメニューだけではない。


ヒレカツ一択一投入魂だ。

流石のとんとんかつ好きも緊張するようで、なんだか落ち着かない様子(痺れる父は子供のようだ)。よかった、とふと思った。
食の有り難みに気付ける場所が必要だと思うのだ。


低音のラードで揚げるのがこだわり。
揚げ物について詳しくは分からないが、低温で揚げていることは確か。静寂の中、静かに20分ほど待つ。
刻々と高まる期待、自分への信頼がたまらなく愛おしい。


とんかつというより、純白の神秘さを持った、新しい創造物に見えてならない。
明らかな軽やかさがあって、ほわっと消えてしまいそうな雪のよう。

雪の結晶のような華麗なとんかつ




見つめれば派手さはないし、とんかつの茶色い肉食らしさもない。
例えれば美人な女性。触れてはいけない女性のよう。茶色い男らしさには無縁のようで。


弾けて消えてしまいそうで、それは恐る恐る触れた。箸で傷つけないように。触れたら消えてしまうんだから。


一口噛むとジュワッと豚肉のラードの旨味の香り、そして旨味そのものが広がる感覚。
肉肉しさを感じるのに、生パン粉の優しさといったらふわっとしていて。そのジュワッとを贅沢に受け止めているようだ。
肉質柔らかに飛び出るのがヒレ肉。肉質は流石の低温で柔らか赤身の旨味がやさしくとろける。


低温そしてラードだから成し遂げる、じゅわとろ食感に悶絶してしまった。


親子共々目を瞑って味わっていた。滑稽なほどに、白いとんかつの虜だ。

一口目の感覚を忘れまいと、塩につけては毎度目を瞑って舌の感覚と向き合った。
ため息が出た。そして肉の旨みを噛み締めた。
もう寝てしまいたい。


久しぶりのとんかつ体験。完全燃焼で走り切った。
感動と神秘さしか残っていない。忘れたくない体験になった。

これぞ白いとんかつの奇跡だ。そんな出会いをこれからも続け大切にしていきたい。


美味しいひと時に、ごちそうさまでして。
では、また次回。




今日のお店: とんかつ かつひろ(群馬県前橋市青柳町259-6)



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