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老舗のパン屋はファミレスな件

おはようございます。
桜餅の季節ですね。

甘じょっぱい食べ物に目がない僕は、桜フレーバーなる桜餅できあいグルメを好んで探しています。




今日の食日記

時々見かけるベーカリーカフェ。

老舗であることの意味がとても深くなってきた。今やパン戦国時代とも言えるだろう、日本。一年経てばどこで暮らしていようと新しいパン屋ができ、次々と街の話題、名声までもかっさらってしまう(確かに僕がパンへのアンテナが鋭いということもあるのだが)。

その都度アップデートされていくパン屋のスタイル。もはや元祖はどこへやら、何が正解で何が自分の好みかさえも答えが見つけられなくなるほどに新しさが勝ってしまう。

これは良くない。と思っているとて、試したいのは山々で。そんなパンへの好奇心は尽きることがなく、結局何が好きかなんて検討もつかなくなってしまっている(これは由々しき事態だ。美味しいだけでは終わらせられない食の世界で、自分の好みさえも見失ってしまっているなんて、、)。

そう思って街を歩くと、時より老舗のベーカリーを見つける。

飾り気もなければ、なんら新しさもなく。ジャリジャリのマーガリンコッペなんてスーパーの陳列以外でどこで食べられようか。3食パンだって。

我が街には小松パンの牛乳パンなんてものはなく、いつまでも老舗ベーカリーが庶民のスターで居てくれるかは、本人次第である。

しかし。そんな老舗ベーカリーにはファミレス並みのアットホームなおもてなしがある。と気づいた。
背の高いソファと広々としたテーブル席。子供が駄々をこねたって、おじいちゃんがゆっくり座ろうったって、なんでもおもてなししましょうと、そんなウェルカムが店の隅々で広がっている。

京都に母と姉と遊びに行った。
車で行く予定が急遽新幹線になったこともあり、早急に朝ご飯を確保しようと、京都に到着してはっとした。

僕の頭にはいくつか行きたい、もしくはお気に入りのパン屋がインプットされていたのだが、流石に鴨川沿いで腰をかけてでは寒くて話にならない。ので、老舗ベーカリー進々堂にすがることにした。




今日のお店

流石の老舗ベーカリー。
コロナが少しは落ち着いて、海外旅行客も多いこともあってか、京都の至る所にある進々堂はあちらもこちらも行列ができていた。

だが、ここのホスピタリティには感銘を受けてきたから、どうしてもファミレスな居心地が欲しかったのだ(今日は母も一緒だ)。

店内と同等に広がるベーカリーが朝の空腹に痺れを切らさせる。
名前を明記して、ちらりとベーカリーを一周するのはこのお店の鉄則のようだ。

まだ朝一ということもあってか、とにかく焼き立てが狂うほどに漂いまくっている。

空腹を見たそうと嗅ぎつければ、かえって待てなくなってしまうのだが、とにかくパンに囲まれる幸せが、2月の菜の花畑を思い出させ幸せがどんどんと前へ進んでいってしまう(ここがクライマックスじゃないぞ!とすぐさま外の列に合流する)。

30分は待ったか。
ソファの高い大きな席に、どっしりと腰を下ろし、3人とも安堵のお腹が鳴る。
立ちっぱなしの足を伸ばしてやろうかとさえ思う。

朝のトーストを探せば、これまたわかりやすい写真に解説、手軽なメニューに肩の荷が降りた気がした。

ドリンクだってファミレスだ。
ホットコーヒーのお豆が何種類だとか、そんな世界線ではなくって。珈琲か紅茶か、オレンジジュースか。老若男女に支持される理由がそこかしこに散りばめられているのだ。

各々が頼めば、まずやってきたのはホテルにあるあのバターとジャムだ(なんだか久しぶりに見た)。

いわゆるポケットタイプのセルフ式。
なんら変哲もなければこだわりもないこの一皿(スプレッドとケチャップの盛り合わせ)には心のこもった安心感が見事に込められていると思うのだ。

直後に一皿をずつモーニングプレートが届いた。

カンパーニュ好きの僕は、田舎パンなるものを見た目から推測し頼んでみた。


選ばれ私田舎パン

カンパーニュじゃ分かりにくい可能性もなくもないのだが、田舎パンならわかる(のか?)のだろう。
フライパンの形丸々のベーコンエッグと、すぐさましなるレタスがついてきた。

おまけにオレンジジュース。
朝ご飯の味方であり、子供たちの相棒だ。

確かになんら変わり映えもないし、家でも食べられるほどの素朴さだ。
だが、それがこの老舗ベーカリーに求められた役割なのだと思う。いつでも誰にとってもファミレスであれば良いのだ。

1人でも何人とだって気を遣わずにこれて、馴染みの味がすぐそこにある。
こだわりのパンを選ぶ少しの緻密さが、食卓を楽しませるパン屋ならではのホスピタリティだったようだ。

次の予定もあったから、そそくさと食べ、歩き出したのだが、自家製の田舎パンは発酵種が酸味が効いて美味しく、カリふわっと上品な舌触りだった。

とにかくゆっくりしたいと、美味しいファミレスタイムだったと思うのだ。
老舗に目を光らせてこれからもパン屋をポケモンレーダーのように射止めていきたい。

美味しいひと時に、ごちそうさまでした。
では、また次回。






今日のお店:進々堂三条河原町店(京都市中京区三条通河原町東入ル)



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