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社内ベンチャー立ち上げ時のプレゼン

今回、ADHDさん向け税理士相談事業は、私が所属している税理士法人AOIみらいの社内ベンチャーとして立ち上げました。その際に、全メンバーの前で、新事業を始めるご報告とご理解ご協力を乞うプレゼンを行いました。

ちょうど、同じ時期に、新年度の経営計画発表会(開催の模様はこんな感じです)があり、普段はリモートワークで全員が物理的に顔を合わせることがないメンバーが、発表会参加のために一部屋に集まったため、そこで時間をもらって、お話をさせてもらいました。その時の原稿を掲載します。

ADHDさんにとって、職場でのふるまいや、一緒に働く方々との付き合い方は、とても大切です。オープン就労とクローズドでの就労と、どちらもメリットデメリットがあると思いますが、私は途中からオープンにして働いており、その一端を感じていただけたらと思います。



1.立ち上げの理由


このたび、社内ベンチャーの位置づけにて、新しいプロジェクトを進めさせていただきます。
内容は、ADHDの方やその周囲の方向けの、会計税務相談と、そういった分野でADHDさん同士が集まったり助け合ったりできる場所づくりとなります。
noteという記事連載スペースやXなどで発信してきます。

この事業をやろうと思った理由はふたつです。
一つ目は、私自身が、ADHD傾向があり、これまでとても苦労してきた経験があります。
スケジュール管理、マルチタスク、ルーティン業務、資料整理が苦手で、税理士業の大半を占めるこれらの業務がうまく回りませんでした。
そんな中、ここAOIみらいで、そのことをオープンにして苦手な部分を皆さんに助けてもらいながら仕事をし、前を向けている、この今のとてもありがたい状況を、この事業で生かせるのではないかと思ったからです。

二つ目は、こういったサービスが世の中にあまりなく、困っている方のお役に立てると思いました。
ADHDの方は、人口の5%、と言われています。
ADHDは、ブレーキのない車に例えられることがあります。危ないと頭で思っても、スピードを落とすことができず、非常に事故が多い。
ただし、これは!と思いついたとたん、アクセルをベタ踏みできる、という点で、他の人にはない思い切りや魅力、能力があります。社長や個人事業主さんの中に、そんな長所を生かして活躍している方も多いと思われます。そういった方々向けに、会計や税務の分野で、ADHDならではの困りごとを抱えているケースや、周囲にADHDの方がいる方に対して、相談の窓口になり、解決の糸口を一緒に探すお手伝いをしたいと考えています。

あくまでこのプロジェクトは相談の入り口として機能し、実際に顧問契約や確定申告代行業務を依頼された場合には、私ではなく、AOIみらいのみなさまに担当していただく予定です。ご理解、ご協力を引き続きよろしくお願いいたします。

緊張で早口にならないように、ならないように、と言い聞かせながら話しています(でも早口)

2.ADHDの困りごとのポイント

それにあたって、ADHDの困りごとのポイントについて、簡単にご紹介させていただきます。
ひとつめが、理論的な思考と行動が結びつかないことです。
大切な人との予定を忘れてしまった場合、その人を大切だと思っていないからだ、優先順位が下がっているからだ、と怒られてしまうことがありますが、そうではありません。
「こういう行動は評価される、これをやっておけばのちのち楽になる、今我慢すれば、あとで大きなお得がある」ということを考える部分、報酬系という回路が壊れていることが多く、理論や損得で自分を制御できないところがあります。
自分自身とても後悔したり、苦しんだりしているのですが、理論的な思考と実際にとる行動の間の結びつきを強くすることができません。

もうひとつが、同様の困りごとは、ADHDでない人にも起こっているため、困難を理解してもらいにくいことです。
物やスケジュールを忘れたり、苦手なことを先送りにしてしまったり、ということは誰にでも起こることで、気をつけていけばいい、努力や誠意で乗り越えられる、という認識も多いです。
ただ、ADHDさんは、その不得意な度合いがもっと強いです。たとえて言いますと、谷に古いつり橋がかかっていて、下が丸見えで、ぐらぐらしています。だれでも、渡るのはとても怖いですが、一般の人には、手のところにもロープが渡っています。そこをつかみながら、慎重にわたることができます。
ADHDの人は、足元の板だけです。掴むところがなく、大変な恐怖感の中、ほかのみんなと同じスピードで渡ることを要求されていると考えてみて下さい。

「誰もが安心して自分のやりたいことにチャレンジできる社会をつくる」
というAOIみらいのビジョンを実現するために、つり橋に持ち手をつけるのか、コンクリの橋を架けるのか、川を渡らなくてもいい素敵な場所をみつけるのか、いろいろなお手伝いの方法を考えて進めていきたいと思っています。

ついては、1名、一緒にプロジェクトを進めていただける方を募集します。
私が苦手とする、スケジュール管理や、タスク管理、お客様とのやりとり、Xなどの投稿管理をお願いしたいと思っていますので、ご興味のある方はお声がけ下さい。



いかがでしたでしょうか?これを聞いたAOIみらいの社員のみなさんは、「社会的に意義のある取り組みだ」「京さんだからできる事業だと思う」「ADHDのことを勉強してみたいと思った」「楽しみ」など、好意的に受け止めてくださいました。杉山CEOからは、「社内ベンチャーは、誰でも手を挙げて始めることができます。そのテストケースとして、この事業が始まりますが、新しい試みはAOIみらいとして常に前向きに取り組み応援していきたいと考えていますので、皆さんも是非チャレンジしてみて下さい。」というコメントをいただきました。

ただし、今回GOを貰うにあたり、ひとつだけCEOから条件を設定されました。「スケジューリングや事務対応などを、絶対に自分でやらないでください」というものです。さすが、長年私を見てきてくれている上司、よくわかっている……。始めるのは大好きでも、続けるのが困難な私のことですので、誰かと組まないと、すぐに飽きて事業が消滅してしまうことでしょう。ということで、社内でのサポートをいただきながらのスタートとなります。やりたいことをやらせてもらい、AOIみらいの仲間達に心から感謝です。


ADHD専門税理士相談 お問い合わせはこちらまで info2@aoi-mirai.jp

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