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訪問診療は、人生を深く考えられる仕事機会かもしれない

最近、採用や働きがいなどを考えるにあたり、この訪問診療という仕事の意義を自分なりに考え、スタッフと話をすることがあります。

クリニックという仕事の要件スキルを挙げると各専門職の知識・手技以外にコミュニケーション能力とか、業務の組み立て力・遂行力みたいなものが特徴で、特に現場観察力・仮説検証力・個別提案力あたりがご自宅に伺う訪問診療という仕事には重要だと思うのですが、それだけだといわゆるビジネスの現場の営業・マーケティングといったポータブルスキルの方がキャリアのステップアップにつながる要素かもしれない・・・と思うときもあり、悩ましいなと思っていました。(現場観察力・仮説検証力・個別提案力などは、深い話なのでまたの機会に)

そんな中、スタッフと話していて、他の仕事にない、訪問診療の魅力は、「多くの人達の人生に触れ、それを通して人生を深く考える機会になる」といったところではないかという話になりました。

あるスタッフは当院に来るまで、今ほど人生について考えたことはなかったと言います。それだけがむしゃらなキャリアだったのだと想像できますが、当院で出会う訪問診療の患者さん1つ1つの歴史があまりにも多様で、個々の事情があり、それを紐解きながら、現在目のあたりにしている医療・介護に関する課題に取り組むという仕事が彼の感覚を刺激し、深く考える機会になっているのだと思います。(そして私がさらに追随して問いを投げかけていくので余計なのだと思います。)

ちなみに私自身も外来や入院で診療をしている時より人としての学びが深いのではないか?患者さんとご家族に教えてもらうことが多いのではないか?と思って在宅医療の方に特化したキャリアを選択したので、とてもやりがいを感じています(もちろん、外来で0-100歳まで診ることによる学びも入院で先端医療に触れる学びも意義のあるものなので、あくまで個人の指向ですが)。

例えば、先日1日の間で触れた中でも・・・

ある患者さんは、ホスピスに入る前に一度退院したいと強く思い、ある患者さんは、自分達のペースを守って生活したいと強く思い、ある患者さんは、高齢の独居生活の継続を強く希望し、それを維持するためにいくつものサービスで支えられている

といった具合に多岐にわたるバリエーションで、頭をフル回転させていて、気づいたら夕方になっていた、という日もしばしばあります。

また、ご家族が複数名いる場合と1人もいない場合で我々も自分達のサービスをどのように提供していくとよいか考える内容が変わってきます。さらに今後どう過ごしていくとよいかといった、いわゆる療養方針についても患者さんの考え、家族やサービスの考え、地域の資源などによって大きく変わってきます。

そんな様々なお家について考え、話し合いを重ねる毎日を過ごす訪問診療というサービスは、高齢で在宅医療・介護のサービスが必要になったご本人とその家族から多くの示唆を受けるというなかなか他にない仕事です。一定、型通りに診療をする医療機関も見てきたのですが、自分たちのクリニックは、個別事情を把握し、分析し、その方にカスタマイズしたサービスの提供をしていくことが大事だと思っていますので、スタッフ1人1人がよく考えてもらう機会になっていると思います。

訪問診療という仕事は、人生100年時代の今だからこそ、ぜひいろんな人に触れて欲しい仕事機会のようにも思います。


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