見出し画像

ワイドスクワットは「より」内ももに効く?

ワイドスクワットは内ももに効かせるエクササイズだという話を聞き、自分の実感と違ったのが気になったので、そういう論文がないか調べました。

自分で実践した体感から、所謂スクワットよりも更に中殿筋に効かせることができるエクササイズだと考えていましたが、いずれも違ったようです。

スクワットの足幅を変えるとどこの筋に効くのか

効く=筋がより強く収縮することと定義します。結論から言うと、足幅を広くしてスクワットを行うことで「より」効くのは、お尻の後ろの筋(大臀筋)です。

スクワット時の足幅を、腰幅→腰幅1.5倍→2.0倍と広げて、下半身の筋への効き方の変化を調べた研究がありました。

ポイントは3つ。

① 持ち上げる重さを増やすと、測定した全ての筋により効くようになった。
② ももの前(大腿直筋・内側広筋・外側広筋)・ももの裏(半腱様筋、大腿二頭筋)、内もも(長内転筋?)、お尻の横(中殿筋)の筋は、足幅によって効き方は変わらなかった。
③ お尻の後ろの筋(大臀筋)は、足幅を広くするとより効いた。

自分が感じたお尻の横の収縮感は、中殿筋ではなく大臀筋の上部繊維だったんでしょうか。足幅を広げることで効き方が変化するのは大臀筋のみという結果でした。

筋活動を測定した電極の貼り付け位置が不明なので、adductor majorが長内転筋(adductor longus)の表記揺れなのかも怪しいですが、内転筋群の効き方の変化を反映していると考えて良いでしょう。

半腱様筋も内転筋群も効き方が変わっていないので「内もも」により効くというわけでもないようです。

注意点

この研究は、3年以上のリフティング経験があるかなり大柄な20代男性6名、いわゆる筋トレガチ勢でデータをとっています。ジムに通い始めてスクワットするのは初めてという方には当てはまらない可能性があります。

もしかしたら、足幅を広げることで、膝の位置をつま先と同じ方向に揃えよう安定させるために、半腱様筋や内転筋群がより収縮するかもしれません。

その場合も、内ももに効かせる目的でスクワットを選択することが適切なのかという論点は残りますが...

まとめ

体型や技術レベルが異なっても同様の結果になるのかはまだ不明ですが、スクワットの足幅を広げることによって、お尻の後ろの筋(大臀筋)により効きそうだと言えます。

内ももなど他の筋が効きにくくなるわけではなさそうなので、その点は心配しないでOKでしょう。

蛇足

違う論文で、スクワットを行うときのつま先と膝の向きによって、体幹〜太ももの筋の効き方が変わるかを調べていました。結果、腰とお尻の後ろの筋以外は効き方が変わりませんでした。

カバー画像はCCで利用:"Nick Mascioli squat" by ljgoyke is licensed under CC BY 2.0