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月の満ち欠けー原作の正木を追ってー

月の満ち欠けの原作本を読んだ。
ツッコミどころ満載と聞いて、しかもその紹介されたあらすじがめちゃくちゃ面白かったから、これは読まない選択肢は私の人生設計の中ではない、と(正木風ww)
なので、初めに言っておきます。
私のレビュー、この本が大好きな方は読まない方が良いかもです。ごめんなさい。

さてさて、初っ端。
瑠璃、こわっ!!!

いやね、映画のあのホテルでアキラくんの絵を小山内が持ってくるシーンに出てくる瑠璃はもう、大人を蔑んだような、見透かしたような、友達になりたくないタイプだったけど、原作はしょっぱなここから始まるから。
映画と同じようにこわっ!ってなるから。

子供の体を乗っ取った「乗っ取り瑠璃」。
キーワードは発熱。
元々親を選んで転生する。そして誰しもが発熱し、その後「乗っ取り瑠璃」爆誕!
一度爆誕した「乗っ取り瑠璃」は世を達観したかのような、あの冷めた目をする。

映画でも小山内夫妻の亡き娘のお友達のゆいが、全てを知った上で体だけ子供な娘を育てるのって何が面白いんだろ?って思ったけど。
しかも架純ちゃんの時の瑠璃ってこんなだったっけ?ってくらいな「乗っ取り瑠璃」だし。映画ではソフトにて描かれてたのね。「乗っ取り瑠璃」はやりたい放題だもの。三角くんに会いたい一心で。

にしても。
映画はこの本からピンポイントピンポイントを切り取ったんだね。良くなりそうなシーンだけを。

そして、本当に大泉洋さんと圭くんでリアルになっていた。
ありがとう、2人!!!
2人に乾杯!!!

ってか、圭くん本と全然違うじゃん。

いやーーー、圭くんさすがだよ、って改めて思ったよ。
脚本が大幅に変えられていてもヒグマの爪痕残す役者だよ。
サイコーだったもんね。
優しい顔も、冷たい顔も、切ない顔も、追い詰める顔も。
目線、指先、佇まい、背中、本当に纏う雰囲気でも、魅せる役者ここにあり!!!だよ。
正木、ばんざーーーい!!!圭くん、ばんざーーーい!!!
だって魅入ったもの!!
あの短時間の出演で。
正木のスピンオフを望むくらい。

本は、とにかくとにかく「乗っ取り瑠璃」が怖い。三角への執着パない!!
だから誰に感情移入すればいいかわからない。
映画はもちろん圭くんだったけどねwww

大元の瑠璃も会社をサボったりして、なかなかの人物だったけど、生まれ変わった「乗っ取り瑠璃」、それを凌駕してくるのよ。
まぁね、親戚の家回ってたりして大人びたんだろうけどね。
ちゃんとした子供時代を送れなかったんだろうね。

そして本の中では小山内以外はみんな恰幅いいwww
いやね、そりゃ映画だもんね。
興収あるから人気者集めるもんね。
それに年取れないしね。年取っちゃったら目黒くんの意味も圭くんの意味もなくなっちゃう。
イクラちゃんが「はーい」しか言わないようにww
でも一回喋ったんだよな、イクラちゃんwwww
(どーでもいいわwww)

それに対して本ではどんどん年をとれる。
三角くんですら恰幅よくなっているもの。
画がない分、そこは忠実にできるよね。
興収関係ないしね。
(そういえば岡田君は『永遠の0』で年取ったな)

もうなんなら、高橋克典さんと豊川悦司さんとが演じてもいいくらい。
なんかそのくらい男として太い感じのする2人なのよね、三角も正木も。
あんな線が細いままの三角じゃないし、あんな色白美人さんな正木でもない。
いやでも、そしたら映画を観ることはなくなるけどねw

で、いよいよよ。
不憫な正木劇場が始まるのよ。ここにくるまでめっちゃ速読したわ。
正木になってから速度落ちたもの。
結局2日で読み終わったけど。
時間的には1日もっかってないけどww

映画の正木はほんの一瞬の登場だったけど、本は濃厚。
なにしろ、何度も何度も瑠璃を口説き落とすから。そして攻めの一手で瑠璃と結婚。
中々「うん」と言わないんだもの、瑠璃。
で、やっとのことで結婚する。
面白かったのは、瑠璃が正木にハンバーグを作るところ。
圭くんと思わぬ共通点www

でもそんな瑠璃との生活は子供ができないことで破綻していく。
しかも正木、自分はとっとと検査して「次はあなたの番です」って瑠璃に言うから。
正木。瑠璃に優しかったのは一瞬(ここは映画と一緒ね)で暴言吐く吐く。浮気もするし。

ねぇ。瑠璃にも感情移入できないし、正木もひどいしでどうすればいいの?って思ったわよ。この段階では。

その間に瑠璃は三角と出会って恋していく。
奔放さは映画も本も同じように思えたわ。
この辺は本に忠実ね。
「乗っ取り瑠璃」も忠実だけど。

そうしてある時、正木瑠璃は地下鉄の喧嘩に巻き込まれて轢死。
ここで「うぉぉぉぉぉい!」って思ったわ。
圭くん瑠璃殺してないやん、って。
線路に追い込んでないやん、って。
でもまぁ。轢かれる瑠璃を目の当たりにした時の顔と、その後の切ない背中が観られたからいっか、ってなるのもタナカーの性なんだけどwww

そう、この話は女の性、いやーーな部分がクローズアップされている。生まれ変わりという綺麗な言葉の陰に隠れて。

こうして本家本元の瑠璃を失った正木。
しかもその日瑠璃は家に戻らないという書置きを残していく。
三角の元へ行くことを示しているはずだけど、瑠璃を顧みなかった正木には通じないから自死を疑うよね。

それからの正木は巨乳に走って酒におぼれてオートレースもして(ボートレースじゃなかったーーー!www)ボロボロになって。
結局この巨乳にも堕胎させたりして。
もう正木ズタボロ。
結局実家に帰って、引きこもった息子を見てこりゃあかん!!って正木の母が一人頑張って再就職先探してくれて。
拾ってくれた古巣のゼネコンの下請け会社で働くのよね。
まぁ、都落ちよね。あんなに一生懸命人生設計立ててた人が下請けだもん。

でもそこでもやっぱり正木は頭角を現して信頼されて、よし、正木、元に戻ったぞ、と思ったのもつかの間、三代目社長の元で育つ「乗っ取り瑠璃」と、とうとう対峙よ!最初はね懐いてたのよ。でもまた発熱で出てくるのよ、「乗っ取り瑠璃」が!!
その名も「希美」。

ただ、この正木が働く三代目社長の娘希美強敵!!!
ここから風向きは変わるわ!

いろんな符号から正木は希美=正木瑠璃だと確信するの。
そこで「乗っ取り瑠璃」も開き直る。
なんと三角に会わせてと正木に頼むから。
正木にしても、どんな男が自分の妻の心を奪ったのかみてやりたいと必死!
一応三角に会うという目的は合致している2人。
そこで2人で三角に合う段取りをつけて車を走らせる。

でも運が悪いことに、それ以前から三代目社長の妻には正木が異常だと思われていて、警察にも誘拐だと通報されて、とうとう事故った正木は捕まってしまう。
あれは「正木瑠璃」だと言っても誰の目にも明らかに希美は子供だし、その「乗っ取り瑠璃」だった「正木瑠璃」は死んでしまったし。
そんなこんなで結局正木まで拘置所内で死ぬ。

うっそーん。

正木が一番瑠璃だと確信していたし、解を出していたのに、そんな正木は死んでしまった。
ここでみんなが言う通り、嗚呼、正木不憫。
ってなるよね。

警察にあれは「正木瑠璃」だと言っても通じない。
子供のなりをした「正木瑠璃」にせがまれて、そしてそれを機として三角を見てやろうと躍起になって動いた正木。
正木の考えに間違いはなかった!!
なのに誰にも信用されることなく、変質者として幕を下ろすことになる人生。いつまでたってもその濡れ衣は消えない。
あんなに人生設計を立ててきた人にとってこれ以上の屈辱はない。
しかも死人に口なし。
正木はもう否定のしようもない。
嗚呼哀れ。

ってことを、4代目「乗っ取り瑠璃」から聞く小山内。
怖いのよ。
三角への執着でこの本は成り立っているのよ。
三角も良い年よ?会ってどうするつもりなの?
現実を見て!!って言いたくなる。
だってそのせいで正木は信じてもらえなかったんだもの。
三角だって2人でイチャコラしてたら変質者よ?!
だって本は年をちゃんと重ねているんだもの。
三角だって50才過ぎているのよ?

というか、この本家本元の「正木瑠璃」。
彼女が招いた罪は重いと思う。
育てた子供が「乗っ取り瑠璃」。
梢さんなんて異常になったと堅に思われちゃうし。
その後育てた親たちだって可哀想.よ。
発熱した時の不安ったらなかったろうに。
それが合図なんだもの。「乗っ取り瑠璃」爆誕の。

「源氏物語」の「六条の御息所」がかわいく思えたわ。
だって嫉妬に狂って呪い殺すけど、それを彼女は悩むもの。
対して「正木瑠璃」はただただ三角に執着した挙句4度も転生して、そこにかかわる人たちの人生をも変えてしまうんだもの。
深い傷を負わせるんだもの。
誰もが自分の子供と信じて疑わなかった(梢さんと4代目の母以外)子供をみんな亡くしてしまうんだもの。

小山内は最終的に梢さんの生まれ変わりに気づくし、最後は小山内瑠璃が三角に会いに来た時のシーンで終わるんだけど…

私にファンタジーは合わない。
知ってはいたけど、ファンタジーともなんか違うこの本。
ただ、この正木を読んで圭くんの正木をまた観たくなった。
実際にあったカーチェイス。本の中では違う意味で使われていたカーチェイス。
あの圭くんの獲物を狙う目が観られたのもよかった!

にしても、圭くんの正木も警察に訴えたのだろうか、そして亡くなったのであろうか。

映画とは色々違うシーンがあるにせよ、正木瑠璃、こわっ!!だった。

あ~毒はいちゃった。
なんかね、圭くんが出た映画だからタナカー的には読まずにはいられなかったのよね。
そして読んだら吐かずにいられなかったのよね。
私、普段警察小説か時代物(歴史小説ではない)とかなんならオレンジ文庫まで手を出しちゃっているから、この手のタイプ読まないのよ。
2日で、しかも時間にしたら1日もなく読めたってことは、面白かったのかもしれないけどねwww
いや、私も正木に執着したのかもしれないw
私こわっ!www

そんなこんなで毒大有りレビューになっちゃった。
ごめんね、圭くん。
(謝る相手www)

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