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幼き日は風習で彩られていた

‪#‬推し短歌

祖父母の時代。
我が家はお盆やお彼岸になると祖母が茄子やきゅうりで馬たちを作り、お仏壇に並べ、鬼灯を飾りつけ、提灯とろうそくを持ち、お墓参りに行った。
帰りには提灯に火を灯し、ご先祖様の御霊が迷わないようにと連れて帰ってきた。

でも幼かった私。
メインは鬼灯。
皮をむいて実を取り出して揉むの。
そうして茎がついていたところから中の種を取り出したものを口に入れ、笛のように鳴らす。
祖母はこれがとてもうまかった。
私はやってもやっても綺麗な音が鳴らなかった。

そういえば、お墓で転ぶと髪の毛一本か靴を片方置いていくようだからね、って母によく言われてた。
子供がはしゃいで怪我しないようにってことだったみたいだけど、当時は不思議だったな。

今。
私の家でしてるのはお仏壇のお飾りとお墓参りだけ。
でもちゃんと茄子ときゅうりは本物よ。

今は昔になりにけり、なこの風習。
好きだったな。

そんな歌を。

火を灯し御霊導く提灯で  この風習も彼岸の地へと

幼き日鬼灯口に含みては思い切り吹く空振りのヒュー

祖母鳴らす鬼灯ピューと響きしも幼き我は乾きしヒュー

転んだら髪の毛一本?靴片方?ご先祖さまはこれが欲しいの?
(幼き日の私の思い)


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