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水回りのトラブル!「高額請求」「トイレのつまりを直さない」ボッタクリ業者に騙されないための話

私は元排水管洗浄業者。
数年前のその日も・・・

「便所が詰まって流れない!」
という管理会社から連絡を受けて車を走らせた。

「またなんです~」と住人は困り顔。
そこで詳しく事情を聞くと・・・・

これまでに何度も、何度も・・・・
便所が詰まっているらしい。

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その都度、その都度・・・

個人的にネットで調べた業者を呼んで
修理してもらっていたらしい。

私は管理会社との縁あって、
今回初めてここに呼ばれたのだ。

しかし、なにか不穏な気配を感じる。
「何度も」というのも何かオカシイ・・・

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まさか建物の施工不良だろうか?

これまでの業者は呼ばれるたびに、
『小型の真空ポンプ?』を取り出し
トイレにポンッと空気圧を撃ち込んだ。

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するとボコッと音がして
詰まりは解消・・・水は流れていく。

それで料金は数万円。

なかなかに痛い出費だ。
しかも定期で何度もか・・

さすがにお客さんも疑念を抱き、
今回は私たちを呼んだそうだ。

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(さすがに何度もおかしいやろ・・・)

さっそくトイレを見る。

まぁ流れるには流れるが・・
『詰まり気味』という感じだ。

それでピンッと来た。
別に第六感ではなく経験則だ。

管内カメラを通して中を覗くと理由は明白。

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『根』が管をカチ割って侵入していたのだ!!!

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(↑こんな風に管の中が見えるよ)

その根にトイレットペーパーや糞尿が
絡みつき流れにくくなっているというワケだ。
(汚い話で申し訳ない)

これは土を掘り返して
管を修復する必要がある。

すぐに工事の業者に電話して
土を掘り返してもらうことにした。

そして、運よく熟練の職人が派遣されてきた。

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「運が良い」というのは。

職人の作業動作が美しいからである。
あれは一見の価値がある。

ザクッ!と。

スコップの剣先が角から土に刺しこまれる。
そしてグッグッと力強く土を盛り上げる。

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・・あれは実は腕の力ではない。股だ。
スコップの柄を股に当て押し込んでいる。

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腕の力だけでなく足の力を上手に使う。
最小限の力で効率よく作業しているのだ。

現場はここだけではない。
次も。その次もあるのだ。

無駄な体力は使えない。

土に刺しこんだ後もスコップの根本を掴み、
重たい土をテコの要領で効率よく持ち上げている。

ここで目をみはるのが、土の量だ。
常に均一。取りすぎない。無駄が無い。

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美しいとは「無駄がない」ということ。
動きがコンパクトなのだ。

・・・・・スコップ一つでサクサクと穴を掘り進め。

あっという間に『管』が見えた。

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もちろん根を取り除き。
穴をふさぐわけだが・・・

どうも腑に落ちない。
周りに木が無いのだ。

「この根はどこから?」と尋ねると。

「あそこだよ」と職人は十数メートルは
離れている茂みを指さした。

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えっ

「あんな遠い場所から!?」

植物の力は凄い・・・

こんな所まで栄養を求めて根を伸ばし、
管をブチ破って根をはったのか・・・

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「糞尿は栄養たっぷりだって
 あいつらわかってんだよ!ハハッ」

・・・そう言われると、確かに。

なんだかゾッとした。なぜわかったんだ?
どうして管の中に栄養があると・・・?

まるで植物にも知恵や意志があるかのようだ。

植物が配管に侵入することは
よくあることだが実に不思議だ。

だが・・・もう一つ、

不思議な話がある。
人間の不思議だ。

『何度も詰まりを直しにきた業者は、
 なぜこの根を取り除かなかったのか?』

ということだ。

さて、さて、どうしてだと思いますか?

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『管内に根があることに気づかなかった?』

・・まぁ確かにその可能性は0%ではない。
0では・・・・ね・・・

(いや管内を調べろよ)

「管に根が入り込む」なんてド定番の案件でも、まぁそういう業者もいるのかもしれない。

「予想はしていたけど見てはいない」
「知らなかった」「気づかなかった」

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・・・もしそれを言われれば「無能」ではあるが、
「詐欺」とは言いづらいだろうな・・・・

・・・残念だが漫画やアニメのように、
わかりやすい『悪』など現実にはいない。

悪いことをする人間というのは、
ちゃんと逃げ道を用意している。

それとは逆に大掛かりな工事をして、
1発で大金をブンどっていくパターンもあるけどね。

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つまり管内に根があると、
完全に詰まりはしないけど。

時々ゴミが絡んで水が流れにくくなる。

圧をかければ、根にかかったゴミがとれて。
また少し水が流れるようになるのだろう。

だけどいずれは・・・・また詰まる。
すると・・・また儲かる。

「根はずっと残し続ける」
アコギな商売だ。

・・これは悪い言い方をしてしまうのだが、
私たちの仕事は人の不幸で成り立っている。

何かが故障した。何かが壊れた。
・・だからこそ仕事がある。

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それは事実だ。

だから誰かに困ってほしい。困り続けてほしい。

・・そうすれば私たちはずっと
安心して儲け続けることが出来る。

そんなこと口が裂けても言えないが・・・

だから『完全には直って欲しくない』
そう考える業者も少なくは無いだろう。

・・・きっと彼らはこれからも
金の匂いを嗅ぎつけ根を伸ばす。

客を生かさず。殺さず。直さず。壊さず。
ひっそりと養分を吸い続けるのだろう・・

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おわり


■「まとめ」

水回りのトラブルで絶対やっちゃいけないことがあります。この話に出て来るマンション住人の失敗は?つまり何が問題だったのか?

『わけのわからん業者を勝手に呼んだことです』

水回りのトラブルはちゃんと
管理会社に連絡しましょう。

そして指定の安全な業者を使いましょう。

①ネットや広告で見た業者を呼んではいけない。

②マンションによく貼ってある
マグネットに書かれた業者も絶対ダメ。

※お年寄りがよく、マンションに貼られたマグネットを見て、それを公式な業者だと誤認して呼んでしまいボッタくられています。

こんなトラブルや詐欺をなん十件と目にしてきました。

ハッキリ言いますが、
アレで来るのは素人か詐欺師です。


文明社会で生きていく限り排水管とは一生の付き合いになります。排水管とは生活の根幹。命綱にもなりえます。排水が止まれば生活が止まるのですから当然です。

これはだれもが避けて通れない、
一般教養として持っていて良い知識です。

この話を是非、頭の片隅に覚えていてください。一人暮らしを始めるお子さんなどにも教えてあげてください。

それでは。

おわり



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