見出し画像

VOL.13 ★2018年の幕開けはキンシャサから!


今回は、この2年間で4回目のキンシャサ入りだ。いつも治安の悪いキンシャサだが、行く直前になり、さら治安が悪化して、今行くのはまずいと、この数日間、みんなのメッセージや情報が飛び交う。どれもこれも行くな、危険過ぎる、など悪い情報ばかりで否定的になる。結局いつもと同じで、カビラ大統領の任期がとっくに過ぎても居座り選挙もせず、国の状況もどんどん悪くなりで、 それに反対する大きなデモがある。イコール暴動になるだと。特に年末年始は危険。日本在住のコンゴ人は今はやめろと言うし、現地の慎重な大人は延期しろと言う。かたや、現地の若い連中からは、「大丈夫だよー。俺たちが守るから来いよ。この辺りは平和だよ。問題なーい!」 といたって脳天気なポシティヴ派? も少数 いる。でも考えたら、キンシャサはいつもこう だ。確かに治安が良くなるなんて言う日は いつ来るんだ!?そんなの待っていたらずっと行 けないに違いない。

某大使の息子ダニーロは政治家の息子だから危険を伴うので年末様子見て、やばい ようならアンゴラに逃げるが、それほどでないならコンゴにいると言う。「うちの運転手 に空港まで迎えに行かせようか?」と。
前回 も夜な夜なクラブのはしごをするため、この 運転手がみんなをスッテップバンに乗 せて走り回ってくれた。「もう勘弁してくれ こんな夜遅く。うちに帰らせてくれ!」と 泣き言、言いながら遊び回るのを付き合っ てくれた。いや無理矢理付き合わせた。
 「キ ンシャサ、ミッドナイト・クラブ巡り!」
そ んなこと思い出しながら、やっぱ、ここは行 くしかないでしょー。
 

どの情報をつかみ、何を信じて行動する かは自分しだいだ!


そんな訳で、2017年、クリスマスの夜、私はアフリ カ大陸に向かう飛行機の中にいた 。 

 キンシャサに入って数日後には、街の所々 にバリケードが置かれ軍隊とポリス、国連軍までの総動員で警戒体制が張られ、物々 しい空気が漂い始めた。最悪の暴動予定の 当日、12月31日、午前中、大使館から電 話。「インターネットが遮断されていて詳し く情報はわかりませんが、すでにリミテ地区で 人が殺され、何人かが警察に捕まり 行方不明です。今夜は外出は控えてください。お願いします。」「了解です。充分気をつ けます。」 しかし、デモ、暴動と言っても、キンシャ サの街中、全部がそうなっているのではない し、市民全員がそのデモに参加するわけで もない。暴動が起きるような危険な地区を避ければ大丈夫。平和な地区は普通に大晦日を祝っているはずだ。、私は地理もだいた いわかるし、どこが危険な地区かも知ってい る。それにリンガラ語もできるし、友達も 沢山いる......だから、大丈夫だ。みんなも そう言うし......。 とか楽天的思考で行動! 

「レンバは大丈夫。平和だよ、来い。待ち合わせはいつものクラブ、Lemba terminus(レンバ テルミニュス)の ”Club temperature  40” で。」

 この日から国中のインターネットが遮断された。 レンバ地区は、"Jupiter&Okwess " のリーダー、ジュピターが住んでいる下町 の一つで最近は、新しいクラブも増え、地元 のラッパー達がライヴをしたりで賑やかに なってきた所だ。しかし、この裏に住んでい るジュピターは夜、うるさ過ぎると迷惑がっ ていたが、私はそれも含め大好きな街だ。 

 通りに出てタクシーをつかまえて乗る。 夜の街中は確かにいつもよりは静かだが、心地よい音が混じり合い響き合っている。と言うことは、あちこちのクラブやライブが繰り広げられていると言うことだ。
 向かう途中の車の窓から見るキンシャサの夜の街は、美しい音と光で作られている。✨    などと 感傷に浸るひまもなく、着いた所は、      
「Club Teperature 40」            
 そこは、すでに音楽と熱気 とエネルギーで満ち溢れていたのだった。 

 キンシャサの音楽シーンの中心地、マトン ゲの通りを歩けば軒並ぶ小さなバーから、 溢れんばかりのドラムビートが耳に飛び込 んでくる。この辺りはライブをやってるバー が多い。もちろん、キンシャサは、リンガ ラ・ミュージック(Ndonbolo) が主流である が、最近は伝統と新しさを融合した新伝統 音楽的なバンドも増えた。 代表的なバンドとしては、来日もした「コ コノ・ナンバーワン」「カサイ・オールスター ズ」「ベンダ・ビリリ」「ジュピター&オクウェ ス」などがある。コンゴは400以上の部族 それぞれの歌やリズムを持つ音楽の宝庫だ。それらの伝統をベースに、先進 的なサウンドで独自のスタイルを創り出す 新たな音楽のバンドも沢山ある。そして、さ らにそれを追い越す勢いで広がっているの が新しいアフリカン音楽の世界だ。 キンシャサには 沢山の地区があり、主な地 区には、大小問わす、多くのクラブやバーがある。 そのクラブから流れる音楽は昔からのリン ガラ・ミュージックもだが、今の時代の若者のリアルな声を反映しているラップや洗 練されたダンスミュージックなどデジタル ビートが半分以上だ。この動きはキンシャ サだけに限らず、アフリカの諸都市でも広 まり、今やアフリカ大陸が新しいアフリカ 音楽の地図に塗り替えられるくらいの勢い だ。伝統的な太鼓のリズムが、デジタルビー トになろうとも、民族衣装がサップのよう に洗練されたファッションに変わろうとも アフリカの原種のパワーが核に宿っていれ ば、スタイルが変ってもカッコイイーのだ。 

 2018年、新年の幕が開いた。夜空に 音楽が響き渡り、街中が喜びに満ち溢れて いるようだ。いろんなクラブの電子音や、ど こかでやってるコンサートの音が折々に重ね 合い共鳴し、一つの大きな音になり、まるで この街を包み込んでいるようだ。心地よいリ ズムとグループ感に身も心も幸福感に包ま れる。

 ひとまず、今日のデモ、暴動も終わっ た。この美しい平和な光景をみると、一体、 ここのどこに暴力、殺し合い、争いがあるの か信じられない。
 

この歪んだ現代世界の闇 の中で、最も苦しんでいる彼ら、その苦悩の 深さゆえに現代で最も美しく、また先進的 なサウンドを、驚くべきパワーで作り出し ていくのだろう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?