愛情不足撲滅運動
保育園に勤めてからはじめて「愛情不足」という言葉を知りました。
当時、わたしはまだ独身でした。
子どもが乱暴→愛情不足
子どもが爪噛み→愛情不足
子どものおねしょ→愛情不足
子どもの指しゃぶり→愛情不足
あと、なにがあるだろう?
保育園で働いているとだいたいのことは「愛情不足」で済ませる傾向がありました。子どもに問題行動がある→愛情不足みたいな。
愛情不足にしてしまうと、それ以上何も考えなくて済むんですよね。
そもそも問題行動だって、問題って捉えるから問題になるわけで、問題じゃないことも多い。
だから、わたしは我が子が生まれたら愛情不足にしないように気を付けなきゃって思っていました。保育士だからこそ、頑張らないとねって。
しかし、その誓いは我が子が赤ちゃんの時だけ終わりました。
自我が芽生えと共にイヤイヤ期がはじまり、我が子は可愛いんだけど、イライラすることが増え、子どもを怒ったり、怒鳴りつけたり。
うん、わたしも人間でした。
子どもを怒った時は「わたしってダメな母だなあ」って反省して落ち込んで
「よし!今度こそ怒らないようにしよう」と決めるんだけど、また何か子どもがやらかして怒る。
そして再び「あ~、わたしってやっぱりダメ母だなあ」と落ち込む。
その繰り返し。
これを負のループと言います。
我が子が3歳の時に爪噛みをしてるのを初めて見て
「あ~、これが愛情不足か・・・愛情不足で爪噛がはじまった」
と思ったし。
でも、ある時そう思うのをやめたんです。
だって、わたしというお母さんは子どもの為にご飯を作り、お洗濯をして
学校や保育園に送り出し、家に帰ってきたらお夕ご飯を準備して、
一緒にお風呂に入って、「おやすみ」って一緒に寝る。
生活していることだけでも、十分愛を注いでいないか?と。
子育て相談員をしてから
あの頃のわたしと同じように愛情不足かもしれないと悩み、時には泣いて相談されるお母さんはとても多かったです。保育園で働いている時、こんな風に悩んでいるお母さんたちに寄り添うことができなかったけど、今ならお母さんたちが悩む気持ちがよくわかる。
子どもを愛情不足にしてはいけないと悩むお母さんたちはみんな頑張り屋さん。そして、勉強熱心で子育てに一生懸命なお母さんたちです。
こんなに悩んでいるということは子どもを大切に思っている証拠です。
つまり、子どもへの愛情があるから悩むんですよね。
そもそも、愛情100%与えられた子どもっているんですかね?
だから、わたしは悩んでいるお母さんに聞くんです。
「お母さんはどうでしたか?親から十分な愛情をもらいましたか?」と。
親がたくさん愛情をかけたとしても、それが子どもが望む愛情の形ではなかったら、十分ではなかったということになります。
だから、わたしはどのぐらい子どもに愛情をかけたかは「親の自己満足」でいいんじゃないかなって思うのです。
お母さんは一生懸命我が子にできることをしてあげました。以上!!
これ以下もこれ以上もない。
ただ、それなんです。
だから、お母さんたちは自分のことを責めないでっていつも思っています。
それはあの頃のわたしへのメッセージ。
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