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シリア

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2007年~2008年に、シリアに行ったことを機会に、続くシリアの縁。いまでも交流のあるシリア国内外の友人たちの言葉、ヨルダンやレバノン、トルコのシリアに触れたときのことを紡ぎま…
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#言葉

2019年10月 アズハル

友人たちが北東部で何が起きているのか、尋ねてくる。 北東部は、もともとアル・ジャジーラと呼ばれていた。川に囲まれていることからも分かるように、島という意味だ。ロジャバと呼ぶのは、西クルディスタンという意味で、ナショナリストのクルド人が呼ぶ新しい言葉だ。 この地域は、アラブ人、アッシリア人、シリア正教の人々(Syriac)、アルメニア人、そしてクルド人。クルド人だけじゃない、でも、大多数は60年代以降シリア政府によって、クルド語での学びを奪られ、制度的に差別されてきたクルド

2019年6月 アリム

シリアの状況はいいよ。チェックポイントの数も減ってきたし。東グータに行くのが、少し大変かな。でも前よりはましになった。あそこは移動の制限があるけれど、ものも入ってきている。爆撃がなくなった。1年前より、だいぶシリアの状況はよくなったよ。 でも、今度は経済戦争(Economic War)だ。アメリカの経済制裁のおかげで、シリア国内の経済はかなり悪い。シリアポンドの価値が下落している。いまはもう600シリアポンドだ。こんなに価値が下がっているのは、紛争が始まってからいままで、ず

2018年2月 イーサ

君の笑顔は、僕と僕の友人たちの幸せの源なんだ。 いつも会いに来てくれて、ありがとう。僕らは君を守らなくちゃならない、君が笑っていられるように。 僕らの国は紛争が起こって、破壊されている。僕たちは心から、楽しみや幸せを広げ、世界にシリアの人々は平和を愛し、愛を広めたいのだと伝えたいんだ。自分たちの間に、悲しいことが起こっていても。 (写真 レバノン・ベイルート 2018年 筆者撮影)

2018年6月 イーサ

シリア人として、共存し、互いにうまくやっていけると思う。シリア危機以前も、一緒だったんだ。だけど、過激派や外国がシリアの歴史と共存を壊そうと介入してきた。 理性的に考えて、これらの課題は乗り越えられると思う。でも難しい。けれど、科学や文化、啓発で、良い未来をつくるための新しい世代をつくらなくちゃいけない。 あぁ、シリア危機を引き起こしている様々な要因により、人々は分断されている。世界は何が起こっているか、気づいていると思う。シリア政府と平和的な反体制派は、平和的な解決を見

2014年 ナジーム

シリア人は数字になっている。 たくさんの人が、死に過ぎて、埋葬が追い付かない。 だから、名前じゃなくて、数字をつけるんだ。 (写真 トルコ・ガジアンテップ 2017年 筆者撮影)

居場所

「Welcome back!」 行きつけのシリア料理レストラン。扉越しに、いつものウェイターと目が合うと、にこっと笑いかけてくれ、ドアを開くと、「おかえり!」と声をかけてくれた。 「We miss you」 「Kayf halk(キーファック)?」 アラビア語で、元気?と聞いてくれたことが、すごく嬉しい。 スタッフは全員シリア人の小さなレストラン。本店は別にあり、わたしの行きつけのこのお店は支店。本店は広くて、豪華な感じがするが、支店のほうはこじんまりとしていて、アッ