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もう1週間...

イタリアでは5月4日から生産業の一部が再開し、レストランやバールもテイクアウトなら営業可となりました。でも移動に関しては今でも自己申告書が必要です。移動の目的も
・仕事
・健康(通院や必要な運動)
・生活に必要不可欠な目的(日々の買い物や犬の散歩)
・家族や親族への訪問(ただし大人数が集まることは禁止で、マスクや手袋をして適切な対人距離をとること)
・住居地への帰還
に限られています。この状態で2週間様子をみて(感染した人が発症してくるまで時間がかかりますから)、5月18日から次の段階を検討しよう、というのが国の方針です。

私個人的には正しい手順だと思うのですが、違う意見もたくさんありますし、違う解釈をする人もいます。5月8日(金曜日)のミラノの運河地区の風景なんかは、違う解釈の1例なんでしょう。

ここはバールやカフェ、おしゃれな飲み屋さんがいっぱい並んでいる所です。動画のタイトルは「アペリティフの時間 運河地区には人だかり マスク姿は少なく」となっています。

これを受けてのミラノ市長の怒りのコメント動画がこれです。おおまかな訳を下につけました。

「ミラノ市民が素晴らしい行動をとったときには感謝をしたい。しかし、ぶち切れたくなるケースもある。これはぶち切れるべきケースだ。昨日の運河地区の風景は、本当に恥ずかしい!私の仕事だからやるが、こんな説明をするのも気が滅入る。パンデミックはこの町の医療だけでなく、社会経済面にも大打撃を与えた。ミラノの町は、人は、仕事を再開しなければならない。し・ご・とだ!遊びじゃない!私は、月末まで生活するのもやっと、というような家族の味方をする。楽しみたいという人間ではなく、必要なものを家にもって帰るために働かなければならない人たちの味方だ!マスクもせず、必要な対人距離もとらずに群れてだべってる連中が、状況を悪化させるようなことは絶対許さない。悪気はないんだろう。2、3ヶ月前は、私自身だって、事態がよく飲み込めていなかった。でも今は違う。何が起こったか目撃しただろう!私は言葉より行動の政治家だ。だから、これは脅しじゃない。今日じゅうに態度をあらためなければ、明日条例をだして運河地区を封鎖する。飲食店のテイクアウトも禁止する。そうしたらお前達が飲食店の店長に説明すればいい。どうして禁止されたのかを!なにも考えていない1%の市民が99%の市民を困難に陥れるなんてことは許されない!明日の朝どうなっているか、それ次第だ!」

ミラノ以外でも、週末に不要不急の外出をした人たちはいたようです。ボローニャの旧市街にある広場も、こんな感じでした。

この2ヶ月の間、イタリア人は本当によく頑張ったと思います。日本と違って罰則つきの厳しい法令が出ているとはいえ、あれだけ個人主義的な人々が、ものすごい連帯感をもって外出を控えてじっと家に居たのですから。だから、ごく一部の人々の行動によってこれまでの努力を無駄にするわけにはいかない、というのはもっともだと思います。

イタリアではピーク時に比べて数字が減ったとはいえ、5月9日に1083人の感染者(陽性者)*が新たに確認されました。すぐに小売店やレストランの営業再開を求める声があるのは知っていますが、まだ様子を見る方が良い気がします。
日本で5月9日に新たに確認された陽性者(陽性者)*は(厚生省によれば)80人、イタリアに比べて圧倒的に低い数字です。でもまだ安心するには早い気がします。だって、どれくらいの勢いで数字が増えていくかを、私たちはイタリアのケースで実際に経験、もしくは目撃したのですから。

イタリアにしても日本にしても、まだパンデミックが終った、と言いきるには早い、ということなのだと思います。とりあえずもう1週間、家に居ましょう。様子を見ましょう。

*感染者数(陽性者数)や日毎の新感染者数(陽性者数)は検査の仕方によって変わるので必ずしも実数ではない、というのは理解した上で、各国で同じような形で提示されている数字ですので、比較するときの目安として出しております。ご理解くださいませ。


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