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45歳定年制について

先日のサントリーホールディングスの新浪社長による「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」という発言が、巷で大炎上したようです。
*注)2021年当時のことです


翌日には「首切りをするということでは全くない」と釈明する流れとなり、
さらに数日後は加藤官房長官が政府の立場として「法律(高年齢者雇用安定法)には、60歳未満の定年禁止が明確に書かれている」「2021年4月からは70歳までの就業確保が企業の努力義務」と発信する展開に!

皆さんはどう受け取られていますか?
「サントリー*45歳定年」の検索で出てきたweb記事を4、5つ読んでみたのですが、とにかく反論が多いですね。さらにコメント欄を読むと、これらの意見が時に論理的に、時に暴言的に数百と書かれていて関心の高さを感じます。


・45歳以上の社員をやめさせようとする魂胆が見え見え
・社長こそ辞めろ
・まずは自社でやってみなはれ
・社会人になって20年程度までの人材しか必要としないということだ
・人件費を抑制したいだけだ


個人的には、何を今さら?と思ったのが本音です。というのは数年前、2013年に発刊された柳川 範之さん著の「日本成長戦略40歳定年制」に目を通していたからです。ちなみに柳川先生は、東京大学大学院経済学研究科教授で、経済学博士(東京大学)。制度の経済学を専門とされていて、2050年に向けた政府の長期ビジョン『フロンティア構想』の報告書に盛り込まれた「40歳定年制」の発案者です。

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私は20歳そこそこで社会に出て20年くらいたったところで、次の20年を考えるという案に共感していました。労働力の確保をしたい、企業の価値創造力を高めたいという企業側の目論見とともに、長く働きたい(働かなければならない)、より働き甲斐のある場を求めたい、といった働く側のニーズに応える環境をつくっていくのに、入社約20年のタイミングで、改めて互いに求めあう関係性なのかを問うというのは「互いにとって」いいことだと思ったのです。

この本にも書かれていますが、そのまま働き続ける人がいてもいいし、転職したり起業する人がいてもよくて、なにもやめろと言っているわけではないのです。健康寿命で働き続けることを想定したときに、折り返しと言われる頃、キャリアの振り返りや、次の展望を考えることは大事だということです。更に本音を言うと、それもこれも「人の自由でよくない?」です。働くことは生きること、その生き方に制度のお節介、いらなくないですか。


どこでどう働くかは自分の意のまま。つまり、定年制の撤廃派です。80歳まで、90歳まででも働きたくて、求められるなら働く。30歳で働きたくない、それでも生きていけるなら働かないでいい。働き始める時期も、働き終えるのも個々人が市場との調和で選択できるのがいいと考えています。「新卒入社で定年まで勤め上げ」がなんのかんのと一番割がよくて、そのつもりで入社して、そのつもりで生活設計している人には、全く受け入れがたいことだというのは理解しています。


新浪社長がどういう背景で発言されたのかは、補足からも見えてきませんが、年齢に縛られない雇用がベースにあって、転職や復職へのハードルが下がり、企業への出入りもさらに自由になり、副業なども可能になるなどキャリアの選択肢が現実的にいくつもちゃんとあれば、さらに言えば、生活設計の新ロールモデルが見えてこれば、ここまでの騒ぎにならなかったのではないかと思いながら、いろいろ考えさせられた一件でした。

ところで、学生や30歳前後の方はこの一連、どう感じているでしょう。対話のテーマとして、やりとりしたいです。



*本内容は2021/09/15に配信のメールマガジンを再編集して掲載しています。最新のメルマガはこちらよりご登録いただけます。毎週水曜日7時の最新配信もご購読いただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。

ユニキャリア
岡田慶子(オカダケイコ)







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