働いていなくても、保育園が使えたら。すべての親にひとりの時間を
はじめまして。
一時保育の検索・予約サービス「あすいく」という事業をやっています。
いろいろな理由で子どもをちょっと誰かに見ていてほしいとき、安全・安心な預け先が手軽に見つかったらいいのに、という自分の経験から「あすいく」を立ち上げました。
今日、はじめてプレスリリースを配信しました。
そのさなか、事業を立ち上げるまでのことを思い出していたので、つれづれ書いてみます。
あれは育児ストレスだった
6年前に長男を出産。
それまでマスコミで働き、24時間好きなことしかしていなかった生活から、24時間育児、言葉も通じない相手と家にふたりきり(夫も同業で昼夜逆転生活が普通だった)。
子どもはかわいい。
でも、寝ないし、泣いてばかりだし、何一つ思った通りにいかない。
深夜、目をパッチリ開けた息子を腕に抱えて、家の中を何十周もぐるぐる歩き回ったこともあれば、「もう、寝てよ!!」と、ベッドに置いて泣き叫ぶ姿を遠くからじーっと眺めていたことも。
母親の自分が頑張らなきゃと、いろいろスマホで検索して試してみても、むしろ泣き叫ぶばかり。
なんでなんでなんで?なんでうまくいかないの?
職場の友だちは海外出張や会食で充実した毎日を送っている。
キラキラした投稿がSNSに溢れているのに、自分は1日中パジャマで寝不足、髪はぼさぼさ。ああ、何やってるんだろう。
いま思えば、完全に育児ストレスです。
夜が来るのが怖かった・・・。
天国かと思ったドトール
わたしがラッキーだったのは、実家がそう遠くないところにあったこと。
おそらくLINEの返信がどんよりしていることに気づいた母が、「ちょっと見ていてあげるから、出かけてきたら」と、ある日訪ねてきたのです。
「え?わたしがいなくて大丈夫?」と思ったものの、はじめてひとりで外出。たぶん生後3か月くらいでした。
それまでさんざん”夜の街”で酔っ払ってきたのに、昼間の地元の街になるとどこに行ったらいいのかよくわからず、とりあえず入ったのが駅前のドトールです。
最近はおしゃれドトールも多くなりましたが、当時はまだタバコ臭さが残っていて、お客さんも男性メイン。
働いている頃は敬遠していたけど、この時はそんなことすっかり忘れて、とにかく「ゆっくりしたい!」の一心でした。
カウンターに座り、スマホを片手にぼーっとコーヒーを飲む。
「わたしはいま、自由!!」
そう叫びたいくらいの解放感でした。
抱っこ紐のなかの赤ちゃんを「泣きださないかな」と何度も確認したり、「泣く前に帰ろう」と、やけどしそうになりながら口に流し込んだりしなくてもいい。素晴らしい。
出産の前の「当たり前」は、出産すると、ものすごくハードルの高いことになってしまう。3人育てている今ならよくわかるこの事実を、この日はじめて体感したのです。
たかがドトール、されどドトール。今も忘れられません。
不思議なことに30分もすると「赤ちゃん大丈夫かな」と不安になり、「あー、顔が見たい」とそわそわ。
1時間足らずで家に帰るころには、「会いたかったよ!」とぎゅーっと赤ちゃんを抱きしめるくらい、ストレスはどこかへ去っていました。
もちろんその夜以降も寝ない我が子との戦いは続いたけど、この日からは、しんどくなったら夫や母にSOSを出して、ちょっとひとりの時間を作らせてもらう。
そんなことができるようになったし、それが赤ちゃんとの関係をよくしていくな、という確信もできました。
誰でも保育園を使えたらいいのに
あっという間に育休も終わり、保活もクリア(幸い住んでいるところは、0歳児ならほぼ100%入園できた)して迎えた職場復帰。
初めて利用する保育園という場所もまた、わたしにとっては天国でした。
まず仕事に行ける。合間にはランチやお茶もできる。
離乳食の進め方から絵本選びまで、母親の「どうしよう?」を聞いてくれる。子どもは保育のプロに遊んでもらい、同年代のお友だちを作ることもできる。
ある日急いでお迎えに向かう途中、ふと思ったのです。
保育園のおかげでわたしがもらえている、ひとりの時間や保育のプロからのアドバイス、友達作りや集団生活の経験って、すべての親子にとって嬉しいことでは?
働いていないお母さんだってひとりの時間は必要だし、育児に悩むし、子どもに集団生活を体験させたくて当たり前。
保育園のおかげでわたしの育児ストレスはずいぶん解消されたけど、ストレスを抱えたまま毎日子どもと向き合っているお母さんは、きっとたくさんいるはず。
もちろん、保育園は働く親のためのものです。
でも、たまには働いていなくても、保育園を使えないだろうか?
そのほうが、社会がハッピーじゃないか?
これが「あすいく」の始まりでした。
保育園が提供する一時保育について少し調べてみると、受付は月に一度決まった時間限定とか、施設ごとに申し込み用紙が違うとか、そもそもどこにあるのかわからないとか、なんか怖いとか、”不便”がたくさんあることがわかりました。
いまはいろんなものを、スマホ一つで検索→予約できる時代です。
大事な大事な子どもを預けるので、安全、安心はおろそかにはできません。そこは大切にしながら、便利にできるところはアップデートして、一時保育をもっと使いやすいものにしたい。
親がひとり時間を持つことは、子どもに向ける笑顔を増やすためにもとても大切。だから、いつでも誰でも、安心して保育サービスを使えるようにしたい。
それが「あすいく」で実現したいことです。
いつでも空きがわかって、1分で予約ができる
お母さんや保育園の方にヒアリングを重ね、「こうできたらいいのに」を「あすいく」にはたくさん詰め込んでいます。
育児をしていると、抱っこしてあやして授乳して・・・気づくともう夕方で、保育園に電話しようと思ってもやっていない。
だから「あすいく」は、24時間365日、いつでも空きがわかって予約できるようにしました。子どもが寝たあとに、焦ることなく預けたいところをゆっくり探せたら、と思っています。
保育園と、チャットのようにメッセージのやり取りができることにもこだわりました。お母さんも保育士さんも、毎日とても忙しい。お互いに着信だけ残って何度も電話をかけあう手間は減らし、でも、預ける前の不安はできるだけ解消できるようにしています。
「電話対応じゃなくて、保育に時間を割きたいんです」
そう話してくれた保育士さんの言葉が印象に残っています。
また、「泣いている子どもを抱っこして小銭のやりとりをするのは大変」という声は、お母さんからも保育園からも聞きました。だから利用料金は事前決済。追加料金も後から支払えるようにして、当日のお金のやりとりは一切なくしました。
ほかにも、保育終了後には保育士さんが撮影した写真付きの「デジタル連絡帳」がスマホに届き、どの保育園を使っても溜まっていくとか、一度情報を登録すれば、どの保育園でも1分で予約ができるとか、保育当日の朝にはお母さんが記入したデジタル連絡帳が保育園の管理画面に届いているとか。
せっかくなら、単に「預けて終わり」ではなく、お母さんにも子どもにも、そして保育園にとっても「預けてよかった」にしたい。だからつい、細かいところにこだわってしまいます。
話を聞かせてくださった多くのお母さんや保育士さん、園長先生、エンジニア、デザイナー、いろいろな人の力を借りてようやく「あすいく」は形になり、少しずつ使ってくれる人が出てきました。
「あすいく」を通して地域のお母さんや子どもたちと繋がりたい、一時保育を使ってもらいたいと、保育園の利用も進んでいます。
そしてはじめてのプレスリリース
最初に思い描いた「いつでも誰でも、安心して手軽に保育サービスが受けられる」社会は、まだちょっと・・いや、結構先にあるかもしれません。
でも一歩ずつ進んでいるはず。
「ママも自分の時間を楽しめて嬉しかったよ」
「チビが『また行きたーい』というくらい、素敵な園だったみたい」
ユーザーさんのそんな声を聞くたびに、なんとも言えない幸せな気持ちになります。
「あすいくで、新しいお子さんが来てくれました」
「予約から決済まで、こんなに楽なんですね」
こんな園長先生の言葉が嬉しいです。
今日、はじめてのプレスリリースを出しました。
また一歩、「あすいく」が進んだ日です。
「スマホで使える一時保育検索・予約システム「あすいく」 LINEでのサービススタート!」
「LINEで使えたら便利だよね」というエンジニアの言葉をヒントに、開発を続けてきました。
あのときわたしの腕の中で夜通し泣き叫んでちっとも寝なかった赤ちゃんは、年長になりました。妹が生まれ、弟が生まれ、いまは3人きょうだいの長男です。
わたしはいまも、事業のアイデアをくれた保育園に毎朝子どもたちを送っていきます。
目下の悩みは「長男の赤ちゃん返り」。
止まらない愚痴を、「一緒に頑張りましょう」と聞いてくれる保育士さんの存在にどれだけ助けられていることか。
誰でも一時保育を活用して安心、安全に子どもを預け、必要なときにひとりの時間を楽しめる。そんな世界を創りたい。
はじめてプレスリリースを出して、改めてそう思いました。
もし「あすいく」に興味を持っていただけたら、サービスページをのぞいていただけると嬉しいです。
ひとりでも多くのお母さん、お父さんに、こんなサービスがあることを知ってもらいたいと思っています。
さらに。
サービス拡大スピードをあげていくために、一緒に事業を創ってくれる人を募集しています。CTO、エンジニア、事業企画、営業など、「日本の育児を変えたい!」と思う方がいれば、ぜひ下記にご連絡ください。
フルタイムでなくても大歓迎です。
問合せ先→hr@asuiku.net
今後も「あすいく」をよろしくお願いします。