ためごろうと乳姉弟だったはなし
私がまだ乳飲み子で、広い座敷にコロリとほっぽり出されていたころ。
きこりだった祖父が、山からまだ目も開くか開かないかの子ウサギを拾ってきた。
死んだ母ウサギのそばで一羽だけ、母のお腹にもぐりこんで体温を保って助かったんだと。
人間の赤ん坊よりはだかんぼうに見える子ウサギを前に、
そのころ私の育ての親だった二十歳の叔父は途方に暮れて
ただうようよとうごく子ウサギを赤ん坊のお腹の上にのせてみた。
と、ウサギはするりとすべり落ち、赤子のわぎばらへスポッとおさまり動かない。赤ん坊