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たしかに「驚きと戸惑い」の体験だった

2022/08/18㈭ 雨のち晴れ @飯田橋ギンレイホール
掲載は観賞順。

「驚きと戸惑いの映画体験が、いま始まる――」
というのは、映画「偶然と想像」に書かれたキャッチフレーズだけれど、
今回の2作品どちらにも言える。
というか、個人的には「春原さんのうた」のほうがより驚きと戸惑いが強い。

春原さんのうた

「これ、ありなんだ!?」度 ★★★★★

これまで見てきた映画は、たいてい、観る前から「こういうタイプの映画ね」と了解して観てきた(無意識のうちに)。
ミステリー、アクション、SF、ドキュメンタリー風、人情もの、日常もの、、、など。
「型」があって、そのなかでストーリーや演技や演出などの「表現」を楽しむ。
予想がちょっと外れたり、手法が斬新だったりして、いい意味でも悪い意味でも「やられたな」ということもあるけれど、それもまた一興&新しい作品にふれる醍醐味。
とはいえ、すべての作品には、ある一定の「お約束」があって、それに乗っ取っているからこそ「受け手」は安心して「表現」を楽しめる。

それが、根底からひっくり返された作品。

画面に人の名前が出て、
えっ、エンドロール?!
これで終わりなの?
いやいや、きっと、スタッフの名前と監督の名前が出た最後に、もう一シーンある、あの手法だ、、、

と待っていたのに、配給元のクレジット、無情にも館内が明るくなる。

えーーーー、これって、ありなの!?

しばらく席を立てず。
観客がひけて映画館のスタッフさんが座席を消毒しはじめて、ようやく休憩に立ち上がりました。
近年まれに見る、やられた感でした。
どんでん返しもないのに。
かといって「金返せ」なものでは、決してなく。
流して観てしまいそうな日常風景に作品が進むほどに注意深く見入ってしまい、最後は、決定的な「それ」はいつくるのか、いつくるのか、とじりじりと待ち、、、
というのめり込み具合でした。

この映画の真価は、もう一度観てみないとわからないです。
(私が観落としているものが多いのか確認したい)
「答え合わせなしの映画」な印象。
なので、もう一度観てみたい度も★5つ。

役者さん、みんなよかったですが、叔父さん役の金子岳憲かねこ たけのりさん、私好みの素朴な色香で、他の作品も観てみたい。


偶然と想像

脚本がすごいでしょう度 ★★★★★

映画を観ているのに小説を読んでいるような気になる作品。
きっちり驚きと戸惑いを楽しませてもらいました。こちらは、他者(観客)へ届ける「型」は従来通り機能しているうえでの「驚きと戸惑い」。
個性的な俳優さんたちの演技も楽しめました。

あ、「ドライブマイカー」の監督さんですね。
以前ギンレイで観た「スパイの妻」(監督・黒沢清)では脚本を担当されたと気づき、なるほどと(ストーリー構成で楽しませてもらいました)。


いやー、今回のセレクトbyギンレイホール、楽しかった。
創作や表現のすごさ、楽しさ、を奮い起こされる作品でした。


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