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書評・映評・JAZZ評

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観て、聴いて、読んで感動した、よかったと思う本や映画、JAZZの評論
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記事一覧

近藤等則、没後の出会い

 近藤等則というジャズトランペッターは、1970年代から知っていた。だが、何故か今まで一度も…

北野慶
1年前

「The 100」論または殺人と戦争をめぐる人間性とヒューマニズムについて

 アメリカで2014年から2020年にかけて放送された「The 100」をNetflixで観た。シーズン7まで…

北野慶
2年前
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ウクライナのクリミア・タタール出身ピアニスト、Usein Bekirovの「Hands」

 このマガジンでは、かつてアルメニア出身のピアニストTigran Hamasyanや、その隣国アゼルバ…

北野慶
2年前

ワールドスタンダードなジャズ-宮地遼「now it is」

ガラパゴス化するJジャズ ジャズがグローバル化するなかで、かつて多くの優れたミュージシャ…

北野慶
2年前
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難しいテーマに正面から挑んだ「サイコだけど大丈夫(사이코지만 괜찮아)」

 サイコパスがドラマで取り上げられるというと、日本の場合、ほとんど犯罪ものドラマで、明示…

北野慶
2年前

台湾の若きビブラフォニストCHIEN CHIEN LU(魯千千)の“The Path”

 中国系のジャズミュージシャンは少なくないが、台湾出身のジェズミュージシャンのアルバムを…

北野慶
2年前
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映画のような重厚な韓国ドラマ「나의 아저씨(邦題:「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」)」

 30年以上の韓国との長くて深い関わりのある私にとっても、一般的な韓国人のイメージは(特に日本人のそれと比べると)、大きな声で思ったことをストレートに口に出し、感情表現が豊かな民族である。実際にそんな人々が多数派だ。  ところが、このドラマの主人公のふたりの男女は、どちらも寡黙で思いを心の中に封じ込め、感情を表に出すことがめったにない。それだけでも、韓国のドラマや映画としては異例な設定だ。 光るIUの演技、イ・ソンギュンの演じるパク・トンフンに共感 歌手のIUが演じるイ・

流れるようなピアニズム、ジェイムズ・フランシーズの「Purest Form」

 本題とは関係ないが、最近はCDより音楽配信サービスが主流になり、アルバムジャケットも動…

北野慶
3年前
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アゼルバイジャン出身のピアニストIsfar Sarabskiの「Planet」

 このマガジンでも昨年、アルメニア出身のピアニスト、ティグラン・ハマシアンの「The Call W…

北野慶
3年前
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死刑制度を多面的に深く掘り下げた映画「HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話」

 ミステリーを含めて殺人事件を扱ったドラマ・映画を観ると、犯罪被害者遺族は犯人を時には報…

北野慶
3年前
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『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』は「あなたが私に竹槍で突き殺される前に」に反転…

 李龍徳著『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』(河出書房新社)を読んで感じたことを書きます…

北野慶
4年前
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驚異のマルチプレーヤー、モーガン・ゲリンの「The Saga Ⅲ」

 マルチリードプレーヤーというのはよく聞く。また、いくつかの楽器を使いこなす器用なジャズ…

北野慶
3年前
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ただ者でないティグラン・ハマシアンの「The Call Within」を聴く

 ティグラン・ハマシアンは今年33歳になるアルメニア出身のジャズピアニストで、すでに数多く…

北野慶
3年前
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Enzo Carnielのcrystal clearなJazz

 透明な静謐さに溢れた音楽だが、ヒーリングミュージックではない。時にブルーノートなアコースティックピアノの旋律がリズミカルに駆け抜ける。なんともミステリアスで不思議な世界だ。  Enzo Carnielは今年33歳になるフランスのジャズピアニスト。House of Echoはエレクトリックギターを含む彼のカルテットだ。  Wallsdownというタイトルのアルバムで、なかでも私が気に入ったのはRuines Circulairesという曲。ピアノの単調なフレーズが繰り返され