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電流学において否定とは/背理法

これまでの内容については、
電流が流れるか流れないか学(電流学)|カピ哲!|note
をご覧ください。

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 電流学において否定とは、ただ単にon の否定がoffでoffの否定がonとなる、ただそれだけのことである。哲学的(?)にごちゃごちゃ考える必要もない。「電流が流れている」状態(on)の否定は「電流が流れていない」状態(off)であり、「電流が流れていない(off)」の否定は「電流が流れている(on)」である。Ex falso quodibetの章でも触れたが、(¬A∧A)は単にそういう回路の形を示しているだけであって、私たちの日常的・一般的事実認識における「ナンセンス」や「矛盾」とは無関係である。(¬A∧A)の回路は常に電流が流れない、ただそれだけである。
 次に背理法について検証してみよう。

A⊃(D∧¬D)から¬Aを導出してよい

(野矢茂樹著『論理学』東京大学出版会、66ページ)

・・・⊃を→とすれば、これは全体としては(A→(D∧¬D))→¬Aとなる。回路は以下のとおりである。

図11 (A→(D∧¬D))→¬Aの回路図

表5 (A→(D∧¬D))→¬Aの電流表

 A→(D∧¬D) ≡¬A、そして(A→(D∧¬D))→¬Aは(電流学的)トートロジーとなる。D∧¬Dには常に電流が流れないからスイッチSは結果的に¬(¬A)となりAと同値、つまりA∨¬Aということになるのである。
 そしてEx falso quodibetの場合と同様に、¬Aという命題が単独で常に正しいことが証明されるのではなく、(A→(D∧¬D))→¬Aという回路全体として常に電流が流れる、電流学的トートロジーとなることが示されただけである。
 ただA→(D∧¬D) ≡¬Aであることから、A→(D∧¬D)の回路を¬Aに入れ替えることが可能である。当然¬A→¬Aというトートロジーとなる。

図12 (A→(D∧¬D))→¬Aの(A→(D∧¬D))の部分を¬Aに入れ替えた回路


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