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命題論理の完全性の証明?:トートロジーのからくり

これまでの内容については、
電流が流れるか流れないか学(電流学)|カピ哲!|note
をご覧ください。

 前記事の応用である。

(A∧B∧C)→D

がトートロジーであるとする。

(A∧B∧C)→D は、
(A∧B)→(C→D)
A→(B→(C→D)) というふうに(同値のまま)変形できるが、一方で、

(A∧B∧C)→D
(A∧B∧C)→(¬¬D∨⋏)
(A∧B∧C)→(¬D→⋏)
(A∧B∧C∧¬D)→⋏

・・・というふうに(→の左側、左辺・前件を)矛盾回路へ導くこともできるのである(もちろん論理式全体としてはトートロジーが維持されている)。
 このように、おそらくすべてのトートロジーは

矛盾回路→⋏

という形式に変形することができるのではなかろうか。というか、むしろトートロジーであるからこそ(矛盾回路→⋏)という形へ導くことができると言える。
 A、B、C、¬Dを前提とし、そこから矛盾を導くことができる。そしてそこからEx falso quodibetあるいは背理法?により(A∧B∧C)→Dというトートロジーを証明することができるのである。

 まずは一つ事例を示してみたい。前原『記号論理入門』42ページの例2である。

(A→(B→C))→((A∧B)→C)

矛盾回路→⋏の形へ変形してみる。
((A→(B→C))∧(A∧B))→C
((A→(B→C))∧(A∧B))→(¬¬C∨⋏)
((A→(B→C))∧(A∧B))→(¬C→⋏)
((A→(B→C))∧(A∧B)∧¬C)→⋏

(A→(B→C))∧(A∧B)∧¬Cを変形すると
(¬A∨(¬B∨C))∧(A∧B)∧¬C

回路図にすると、図46のようになり、明らかな矛盾回路であることが分かる。

図46 (¬A∨(¬B∨C))∧(A∧B)∧¬Cの回路図

前原は、(A→(B→C))→((A∧B)→C)を以下のように証明している。

(前原昭二『記号論理入門』日本評論社、42ページ)


 一方、((A→(B→C))∧(A∧B)∧¬C)→⋏の証明プロセスは以下のようなものとなる。

これを回路図で説明してみよう。

図47 ((A→(B→C))∧(A∧B)∧¬C)→⋏の回路図による証明

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