新幹線の切符を取り違えられた話

帰省シーズンが近づいてきたので数年前に危うく2万近くとられそうになった話を紹介しようと思う。

年末年始の帰省を終え、西日本から東京へと向かうべくスーツケースと会社へのお土産に両手を塞がれながら駅の改札へと足を進めていた。
指定席の切符を取れなかった私は、自由席の切符を手に「新大阪駅くらいで座れるかなー」なんて思いながら前の人に続いて改札に切符を通した、その時だった。

”ピンポン”

聞きなれた音と共に改札の扉が閉まる。

あれ、入れ方おかしかったかな、と思ったが、切符が戻されてこない。
出口側にも切符は出てきていない。

切符どこ行った!?

改札口であたふたとしていると、眼鏡をかけた駅員のお兄さんがやってきて、改札を調べて一言。

「あー、これ、前の人が持ってちゃってますねー。」

そう、私の切符が前の人の切符と一緒に出てしまい、前の人がまとめて持って行ってしまったのである。

え、そんなことあるの!?
動揺する私に、眼鏡のお兄さんはさらに一言。

「もう一回購入してください。」

モウイッカイコウニュウシテクダサイ。
もういっかいこうにゅうしてください。
もう一回購入してください!?

何と、改札口に切符を通しただけなのに、再購入を求められてしまったのである。流石に納得する訳にはいかず、持ちうる限りのなけなしのディベート力を駆使して抗議を行った。

「再発行とかしてもらえないんですか?」

「再購入してもらわないといけないんです。」

「紛失したとかなら分かるんですが、間違えて持っていかれたのにもう一回買わないといけないのはちょっと納得できないです。」

「申し訳ございません。」

「せめて放送でアナウンスとかしてもらえないですか?」

「前の人新横浜行きの指定席取ってたんで、発車時間も近いんでたぶん出てこないですよ」

へー、改札でどういう切符が通ったか記録が残ってるんだー。
っじゃなくて!!!

「無くした訳じゃないんですよ?再発行とかできないんですか?」

「ですので、再購入いただく時にその旨をお伝えいただければ再発行扱いになりますので、元の切符が見つかれば、元の切符と再発行した切符を一緒にお持ちいただければ料金をお戻しします。」

新横浜で降りる人が持って行っちゃったのに?
しかも指定席取っててもうすぐ発車するのに?
アナウンスも何も一切動いてくれないのに2万払えと?

「納得できないんですけど。」

「申し訳ございません。」

「私の切符が改札通ったことも確認できてるんですよね?」

「申し訳ございません。」

「自分の過失で無くしたんじゃないんですよ?」

「申し訳ございません。」

あ、これはもう駄目だな。
迷惑な客がいたときに心を無にしてひたすら「申し訳ございません」を繰り返すマシーンになるやつだ。

これ以上抗議しても時間の無駄だと感じた私は、東京に帰る時間が遅くなる懸念と面倒くささに負けてひとまず再購入することに。
念のため窓口のお姉さんにも一応確認してみたが

「あ、えっと、そうですね、そう言われたんだったら、そうですねもう一度ご購入いただく必要があります。」

うん、ごめんね、新人さんかな。
先輩が払えっていってるからきっとそうなんだね。

もやもやしながら新幹線に乗り、そのまま新大阪でも座ることは出来ずにひたすら立ちながらもやもやもやもや。
ネットで調べても「紛失」のケースは出てくるが間違えて持っていかれたケースはでてこずもやもや。
気を紛らわそうとゲームをしてももやもや。
名古屋で座れても変わらずもやもや。

やっぱりおかしくないか?
もしこれが自動改札ではなく駅員さんが対応してたとすると、切符を駅員さんに渡したらどこかに行ってしまったのでもう一度買え、と言われているようなものではないか?
下手をするとぼったくりではないか?

ひたすらもやもやしながら東京駅に着き、ダメ元で改札のお姉さんに経緯を話したところ、

「え、取り違えなら再購入は必要ないはずですが、、、」

おい眼鏡兄さん!!
再購入いらないって即答されたぞ!!!

流石に東京駅で払い戻しはできないので、JR西日本の連絡先を聞いて電話することに。
コールセンターのお姉さんに経緯を話すと、折り返しでちょっと上の立場とおぼしきお兄さんから電話があり、事実確認が取れたので返金処理がされるとのこと。

後日現金書留でお金と謝罪の手紙が送られてきたのだが、まさか厄介なクレーム客と思われたから返金処理されたとかじゃないよな?と若干のもやもやを残しつつ、改札はゆっくり通りましょうという教訓を得たので皆さん気を付けましょう。

今年の帰省は何事もありませんように。


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