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今日は立春!ーー漢詩『探春』

2月1日は新月の春節、そして、昨日の節分を経て、今日はもう立春! 暦の上では春となりました。

昨年の立春の日は、紀貫之の和歌をご紹介しました。

今日は漢詩を一首ご紹介したいと思います。特に立春を詠んだ漢詩と言う訳ではありませんが、まだ浅い春を探しに出かけることがテーマになっています。

  探春 Tàn chūn

        戴益 Dài yì

尽日尋春不見春   Jìn rì xún chūn bú jiàn chūn

芒鞋踏遍隴頭雲   Máng xié tà biàn Lǒng tóu yún

帰来適過梅花下  Guīlái shì guò méihuā xià

春在枝頭已十分   Chūn zài zhītóu yǐ shífēn

【書き下し文】

   春を探る

尽日春を尋ねて春を見ず

芒鞋(ぼうあい)踏み遍(あまね)し隴頭(ろうとう)の雲

帰来適(たまたま)過ぐ梅花の下(もと)

春は枝頭(しとう)に在(あ)って已に十分

【語句】

*芒鞋(ぼうあい)・・・わらじ

*隴頭(ろうとう)の雲・・・隴頭(ろうとう)は梅花の異称。

        隴頭雲とは、雲のように群がって咲いている梅花。

*帰来・・・帰り(道)に

【桂花私訳】

一日中春を探して歩いてみたが、とうとう春には出会えずじまい

わらじ履きで、梅花群れ咲く景色を求めて、あちこち歩いて探し回ったというのに

帰り道にたまたま通りかかった梅の木の下

枝先の蕾はもうすっかりふくらんで、なんとこんなところに十分春の兆しがあったなんて

【詩の形式】七言絶句  押韻・・・春・雲・分

【解釈】

気づいてみれば、日常卑近なことに道は存在すると悟ることで、仏家、特に禅の教えにつながる。(中略)この詩は、仏家の悟りの境地を示すものとして、古来有名である。(『中国名詩鑑賞辞典』より引用。)

【作者】戴益(たいえき)・・・宋代の人。    詳細は不明。

この漢詩は、先月の新聞のコラムで題名が紹介されていたのを見て、詳しく調べてみたものです。

「身近なところに存在する真理」というと難しい話になりますが、私は、メーテルリンクの『青い鳥』を連想してしまいました。

幸せの青い鳥ではありませんが、小さな春の兆しを暮らしの身近なところで探してみてはいかがでしょうか?

【参考書籍】『中国名詩鑑賞辞典』  山田勝美 角川ソフィア文庫

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