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【新訳再掲】廬山より暑中お見舞いーー李白『望廬山瀑布』

今回の漢詩講座開講にあたり、【桂花私訳】を手直ししてみました。

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あっという間に梅雨が明け、今は戻り梅雨のようなお天気になっています。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

それでは、例年より少し早めの暑中見舞いを!

  望廬山瀑布   Wàng Lúshān pùbù    

     李白  Lǐ Bái

日照香炉生紫煙   Rìzhào xiānglú shēng zǐyān

遙看瀑布挂長川   Yáo kàn pùbù guà chángchuān

飛流直下三千尺       Fēi liú zhí xià sān qiān chǐ

疑是銀河落九天    Yí shì yínhé luò jiǔtiān

【書き下し文】

   廬山の瀑布を望む  李白

日は香炉を照らし 紫煙を生ず

遙かに見る 瀑布の長川(ちょうせん)に挂かるを

飛流直下三千尺(さんぜんせき)

疑ふらくは是れ銀河の九天より落つるかと

【詩の形式】  七言絶句

    押韻  煙・川・天

【桂花私訳】
  廬山の瀑布を眺める    李白

朝日照る香炉の峰に くゆり立つ紫の靄(もや)

遙かに見ゆる滝の姿は長き川をかけ流すがごとく

しぶきあげて直下に流れ落ちること三千尺

あたかも天空より銀河がこぼれ落ちてきたかのようではあるまいか。

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この詩の舞台である廬山は、古くは、『史記』にもその名が記されています。

また、仏教とのゆかりも深く、1996年には世界遺産にも登録されました。

廬山については、こちらの記事をご覧ください。

李白は、山々に立ち上る朝靄を香炉の紫煙に例えています。

「銀河が空から落ちてきた」なんて、ダイナミックな滝の比喩も印象的ですね。

涼やかな滝のイメージをお届けできたなら幸いです。

【参考書籍】

① 『漢詩を読む 李白100選』   石川忠久著 NHKライブラリー

②『中国名詩鑑賞辞典』      山田勝美著 角川ソフィア文庫

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