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新章スタート〜保釈編

突然逮捕された日から1ヶ月経ち、外はもう春。桜の季節となりました。
ここからお話の続きをいたします。

念願の保釈が通り、いよいよ社会(シャバ)に戻った生活の再開です。

初めての方はこちらからお読みいただくと、ここまでの経緯がお分かり頂けます。
↓ ↓

それでは、引き続きお楽しみください。


逮捕された時は真冬でしたが、ひと月で大分暖かくなりました。

今日から、判決が確定するまで一旦自由の身です。
とは言っても色々制限がありますが、檻の中と外では気分が全然違います。

逮捕前に触らない日がないほどだったスマートフォンも1ヶ月ぶりです。

電源を入れてみますが、ウンともスンともいいません。どうやら電池切れのようです。
釈放されたことを一番に伝えたかった母へもこれでは電話できません。
一旦、自宅に帰るしかなさそうです。

毎日、音がない世界で過ごしてきましたので、外もすごく静かに感じます。耳もその環境に慣れてしまっているんですね。

はやる気持ちを抑えながら、駅の改札へ。しかし、スマホの電子マネーが使えませんので、久しぶりに現金で切符を購入。出てきたお釣りで缶コーヒーも買いました。

何もかも久しぶり。

以前は何気なく飲んでいたコーヒも「こんなに美味かったっけ?」と思えるほど、一人で勝手に感動していました。

電車に乗るにも緊張します。
生まれて初めての<被告人>。自分は社会の中で普通の立場ではないんだと思うと、少し悲しくなりました。でも、それが現実なんです。

「これからもっと強く生きていかないといけないな。」

戦いはまだ始まったばかりです。
何しろ相手は国家権力。ここで弱気になっては100%超えられない壁になってしまいます。ぼんやり外の景色を眺めながら、電車の中で色々考え事をしていました。

そうこうしているうちに、電車も我が家の最寄駅に到着。
駅から5分くらい歩いたところに自宅があります。

鍵を開けると、家宅捜索があったあの日の出来事が思い出されます。

カーテンが閉まった薄暗い散らかった家の中に座れるスペースを少しだけ作りました。同時に、電池切れのスマホも充電。
5分くらいしたら電源が入りました。すぐに実家の母に電話をかけます。

声を聞き、安心しました。途端に目の奥から涙が溢れ出します。

私の保釈条件の中に<制限居住地を実家とする>というものがあります。
よって、しばらくはここで暮らすことはできません。
早速、帰省の準備をしなくてはなりませんし、髪の毛も伸び放題な為、床屋にも行かなくてはならなく、他にもやることがいっぱいな状況です。
母との会話は一旦早々に切り上げ、床屋へ向かいました。家の中の片付けも後回しです。1時間後、鏡を見るとスッキリとした自分がそこにいました。

普通のことがどんなに素晴らしいことか。
不覚にも、またこんなところで感動してしまいました。(笑)

時間はあっという間に夕方です。
今日はこれから弁護士先生との打ち合わせも。

「逮捕前もこんな感じで忙しかったなぁ。」

そんなことを思い出しながら、再び電車に乗りました。

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