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NO32.「あるくみる・かんがえる」城巡りでボランティアガイドさん初体験 (2024年4月)

 現在、全国で12のお城にしか天守が残っていない。

 そのうち、姫路城、松本城、松江城、彦根城、犬山城5城の天守が国宝に指定されている。

 私はこのうち彦根城と犬山城にまだ行ったことがなかったので、この4月、桜の満開に合わせ近辺の歴史上の名所も合わせ列車で回った。

 コースは1泊2日。安土まで行き1枚の切符で途中下車しながら戻ってくる。なかなか手頃なコースだったと自負している。

 彦根城は特にその美しい庭園、玄宮園の存在がお城の価値を高めているという印象だった。

 犬山城はその城下町の長く続く古い町並みと天守からの木曽川の眺めがお城の魅力をさらに強めているように思った。
 
 どちらがより魅力的かはなかなか勝負がつきにくいと感じた。

彦根城 天守(国宝)
彦根城の庭園、玄宮園 
犬山城 天守(国宝)
犬山城 城下町

 一方、最初に訪れた安土城には天守(信長は天主と呼んだそうだ)は残ってない。
   石段や石垣、お墓などを歩き回り当時では革新的な姿の城を偲ぶわけだが、来訪者がそれぞれ想像して思いを馳せる天守もいいものだ。

安土城 石段と石垣(ボランティアガイドさん)
安土城 天主跡

 関ケ原古戦場跡にも当時より残されているものはほとんどない。
 
 その現場に吹き抜ける風や背後の丘の景色を全身で受けながら当時の合戦の様子を想像することになるが、ネット上に生々しい画像や映像が氾濫する現代にあって、それが逆に貴重な体験になるのかもしれないと感じた。

関ケ原古戦場 石田光成の本陣
関ケ原古戦場 案内図(ボランティアガイドさん)

  そして、城には桜がとてもよく似合うと再認識をした旅だった。
 
 今回のコースを回るパック旅行はめったにない。また桜の開花や天候による出発日の間際調整ができるためにも個人旅行で行くしかなかった。こんな旅行は実は結構多い。
 そのような中、史跡や歴史背景の解説、観光案内をしてもらうため今回初めて4か所(■印)でボランティアガイドを手配し現地を案内してもらった。

 各地の観光協会にネットや電話で依頼すると、地元登録のボランティアガイドを手配してくれる。
 条件は地域によって若干異なるが、今回の4か所は料金は皆無料(ガイドさんの交通費1,000円のみ負担あり)、予約期限は1週間前までというものだった。

 4名とも60代のシニア世代の方で詳しい知識を身につけておられ、わかりやすく解説を提供いただいた。
 一人でガイドブックを見ながら廻るのと較べ圧倒的に中身の濃い見学ができた。

 バスガイドのようなステレオタイプの案内とは違い、個性にも溢れ世間話も交えての案内には共感も持てる。地元の情報や話題も聴け、質問も充分することができお願いして本当によかったと思っている。
 しかもそれがこのようなわずかな負担なのは感動ものだ。

 今回の旅では初日は雨による悪天候、2日目はJRが大幅に遅延した。4名のガイドのうち該当する2名から翌日への実施変更のお伺いを先方よりわざわざいただいた。
 そのホスピタリティには感謝するばかりである。

 旅行先の地元の方との交流は簡単にはできない。町の歴史や文化、風習、言葉、さらに暮らしの様子など知ることができれば旅がより深まる。
 こちらからは都会についての話題を話せば、お互いの理解のためにも有意義なことだ。

 日本観光振興協会の2021年調査によると、ボランティアガイド組織は全国で1667団体あり4万327人のガイドが所属していることが分かる。
 全国には約1700の自治体があるのでどこに旅行に行ってもガイドはきっと見つかるのではと期待できる。
 
 旅行会社が社会に価値を提供し存在し続けるためにもこの分野で何か貢献できることがないかとつい考えてしまう。

 より多くの方がいいガイドと出会えるようお祈りする。(了)


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