この曲は忍者モノ・くノ一モノのPCゲームの主題歌として制作されました。ご依頼のゲーム制作会社様・クライアント様からは「忍者が主人公のストーリーだからといって和風の主題歌である必要はありません」とお話がありました。それを拡大解釈し、やったことがない古語調、英語、をいつもの現代語の散文的な歌詞に混ぜるという実験をした楽曲です。

他にもいくつかの挑戦が行われました。まず主題歌である以上、派手な印象を作る必要がありました。しかしこの時期、サビが冒頭に来る構成にややウンザリしていました。正直に言うと飽きていたのです。また戦いや葛藤のストーリーを想像したので(全ての主題歌は広報用に先行して作られているのでストーリーの詳細、シナリオはほとんど知りません)Heavy Metal的なアプローチをフィーチャーしたいと企画しました。「暴力的な、ハードなイメージ」「天乃啓示らしいエレクトロニカ感」「胸が熱くなる感動・泣きの要素」この３つを全て叶えるため全力を挙げた記憶が鮮明に残っています。ハードなギターと超テクノな打ち込みに力を入れています。ドラムは何とLinnDrumを使用しています。ヘビメタにする気があるのか無いのかすらそもそも疑問ですが、歌詞の文体といいこの矛盾をはらんだデタラメさも含めこの曲独自の魅力と考えています。

またたまたま目にした小田和正氏のインタビューに触発された「ちょいズラコーラス」にチャレンジしました。サビの歌詞を分解したバックコーラスパートを作りサビの背景やギターソロの背景に「ちょいズラ」して配置しています。ギターソロはキーが違うため、そのためだけにわざわざ専用に青葉りんごさんに繰り返し歌っていただいたという貴重な音源でもあります。非常に凝った作りです。青葉さんは曲の初めの方こそ曲想に合わせて凄みのある歌い方をしていますが後半は「地」が出たのか萌えボイス系になってしまっています。しかしながら人間味があって感動すら覚えたのでそのまま採用とさせていただきました。