住宅のサブスクリプション化

とらぬたぬきの一つである。また、もうすでに部分的には実現されているかもしれない。

今サステイナブルということが言われる中で、それに関連する住宅の問題も多くある。空き家問題や、スクラップアンドビルドをやめるべきではないかという問題意識などである。

そして、表題の通り、住宅のサブスクリプション化が進めば、これらの問題は解決できるのではないかとふと考えた。

昭和の時代には一般的であった、一生に一軒家を買うというモデルは、家族という神話が崩壊し、個人の生活というものがより流動的で幅広くなるこの時代には全く適合しない。しかし、地面に定着する建築でこれに対応するのはもちろん甚だ難しいし、合理的ではないだろう。むしろ、それを利用する方法、つまりハードではなくソフトの側でこれに対応するべきだろう。そこでサブスクリプションである。

要は、様々な地方における空き家や、民宿などを一括の登録制のサブスクリプションサービスとしてまとめ、利用者は月額一定の金額を払うことで、予約すればどの場所にも泊まれるようにするということだ。業者側が鍵などを管理するシステムをしっかりすれば、無人でも行えるのではないか。

これが実現できれば、本当に様々なメリットが考えられる。

まず仕事では、場所が不定な業種の人でも余分なコストがかからない。また、逆にリモート化が進んでいれば自分で仕事する場所を自由に決めて泊まれる。電車の定期券もそれに合わせて買っておけばとても自由だ。

また、流動的なシェアハウス利用もできる。普段は一つのシェアハウスを拠点にして住み、長期休暇では別のシェアハウスに住むというようなこともできる。これは我々のような学生に向いているだろう。

さらに、もちろん旅行にも使える。旅行においては、ホテル自体を目的とするような場合以外では、泊まれるだけの場所でもよいわけだから、小さな規模のものも役に立つだろう。

また次の段階では、こういった流動的な利用を促進しつつも、特にシェアハウス的な利用などでは、既存の空き家を自分達の手で改修していくといったことも、プロジェクトの一部として組み込むことができる。これは若い世代では案外やってみたいという需要も高いのではないか。

そして最終的に、こうした改修などを共にやっていくコミュニティができていくことで、いつしか多くの人に建物に関するリテラシーが身につき、それによる自信も生まれ、ひいては様々な他のことに関しても、自分の手で作っていくというような文化が醸成されれば理想的だと思う。

かつての日本建築においてすばらしかったのは、畳によるモジュラーコーディネーションなどによって一般の人にも住宅の寸法感覚があり、自分で間取りを決めるようなリテラシーが全体にあったことだと思う。

サステイナブルな社会をつくるという際に必要なのは、そうしたリテラシーを人々の中に取り戻すことなのだと感じたということだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?