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「トランプ陣営の選挙資金が減少」とNYTが報じる

今日は2020年9月8日。米大統領選挙の投開票日まであと55日です。

7日、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「トランプ陣営の選挙対策資金が減少傾向にある」と報じました
記事では、資金減少の原因が
①今年の春先にかけて巨額の広告費を使ったこと
②トランプ氏再選に効果があるか疑わしいプロモーションへの過剰投資
にあると説明しています。

そもそもトランプ氏は2017年の大統領就任時から再選のための選挙活動(資金集め)を開始していました。これは近年のどの大統領よりも早い再選キャンペーンの開始時期であり、極めて異例なことでした。
こういった経緯から、トランプ陣営は民主党候補らを優に上回る巨額の選挙資金を集め、資金面で優位に立っていると考えられていました。

しかし、NYTの記事によればトランプ陣営は2019年から2020年7月までに集めた選挙資金11億ドル(約1169億円)のうち8億ドルを既に消費してしまったようです。
記事では、スーパーボウルへのテレビCMに1100万ドル(約11億円)も消費したことや、前キャンペーンマネージャー(選挙対策本部長)ブラッド・パースケール氏による浪費などが「効果に疑問符がつく支出」として例示されています。

トランプ陣営は7月にパースケール氏をキャンペーンマネージャーの座から外し、新たにビル・ステピエン氏を同職に昇格させました。

ステピエン新キャンペーンマネージャーの下、8月にはトランプ陣営が一部の激戦州でテレビCMの配信を打ち切ったことがニュースになっていました。現在、トランプ氏はバイデン氏に明確なリードを許しており、多くの人に自らのメッセージを訴えることができるテレビCMは広報戦略上、重要な武器となるはずです。しかし、そのテレビCMすらも打ち切ってまで資金減少に歯止めをかけなければいけない状況が続いているとすれば、これはトランプ陣営にとって大きな危機と言えるでしょう。

一方のバイデン陣営は、2020年8月の1ヶ月間に3億6500万ドル(約388億円)の選挙資金を調達しました。これは米大統領選挙史上、1候補が1ヶ月間に集めた最多額です。
8月はバイデン氏の副大統領候補にカマラ・ハリス氏が選出され、民主党大会が成功に終わるなどバイデン氏にとって良いニュースが続きました。

バイデン氏は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、選挙資金パーティーなどのリアルイベントを中止。デラウェア州ウィルミントンにある私邸の地下室からオンライン集会を複数回開催し、ここで資金集めを行っていました。
オンライン集会の開催は、ホテルなどを貸し切って行われるリアルイベントに比べて経費を削減できます。「バイデン陣営は効率の良い資金集めをした」とNYTの記事は評価しています。

手元にある選挙資金は積極的な選挙戦略を打ち出す上で重要です。しかし、コロナ禍にあってリアルイベントを数ヶ月間中断してきたバイデン陣営にもリスクはあります。有権者と直接触れ合うことでしか得られないモメンタム(選挙戦の勢い)はあるからです。

両陣営による選挙資金獲得の行方にも注目が集まります。


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