見出し画像

LORDS OF THE FALLENの話

 『LORDS OF THE FALLEN』は、『ダークソウル』似のゲームシステムと外観を持った、ダークファンタジーアクションゲームだ。ポーランドのCI GamesとドイツのDeck 13による開発で、2014年に発売された。

 ダークソウル好きの僕としては、ちょっと気になっていたゲームなのだが、ずっと遊ぶ機会がなかった。というのも、国内ではPS4版がユービーアイソフトから2015年に発売されたものの、Steamではなぜか日本向けの販売がなかったのが原因だ。どうせならPC版を遊びたいと思っているうちに、その存在をすっかり忘れてしまったというわけだ。(こうやって、購入に至らないゲームのなんと多いことか)

 そんな『LORDS OF THE FALLEN』だが、最近ゲームバンドルサイトのFanaticでおすすめされて、急に思い出した。日本から購入できないソフトなので事前に調べてみたのだが、どうやらキーさえ手に入れれば、日本のSteamから有効化できるらしいことがわかった。さらに、ちょっと設定をいじると、日本語字幕で遊べることもわかった。ここまでやっておいて、日本での発売がなかったとは。ユービーアイソフトとの力関係というか大人の事情なのだろうか。それはともかく、難しいこともなく、ゲームは無事起動することができた。

 『ダークソウル』に似ているとは言え、『LORDS OF THE FALLEN』は自由なキャラクタークリエイトはできない。プレイヤーは、強制的に罪人ハーキンというガチムチのおっさんを操作させられる。その代わり、使える魔法の系統と、最初の装備品を選択して、スタート時のキャラクター特性を決めることができる。この辺りの不自由さは好き嫌いが分かれるところかもしれないが、個人的には、硬派なファンタジーを地で行くようなグラフィックと、設定が気に入った。

画像1

 ゲーム画面には、体力、スタミナ、魔力が表示され、なるほど『ダークソウル』に似ている。体力回復のポーションが、使用回数とともに表示されているが、これは休憩すると使用回数が復活するんだよね? と思えば、その通りだし、散々遊んで体に馴染んだシステムだ。

 操作も『ダークソウル』に準じると言ってしまえば身も蓋もないが、小攻撃、大攻撃を使い分け、ローリングして敵の攻撃を避ける。武器と盾を両手に持ち、ボタンによって、武器の両手持ちも可能。すごくわかりやすいのだ。

 ついでに言えば、敵の背後から近づいて攻撃すればバックスタブを取れるし、走りながらジャンプ攻撃を繰り出せるところも同じだ。

 もちろん、このゲームオリジナルの要素もある。「篭手」が主人公ハーキンの左腕に装備されているのだが、これを構えることで魔法の弾丸を敵に向かって発射できる。魔法弾は、物理攻撃では歯が立たない硬い敵や盾持ちに非常に有効なのだ。

 ゲームは、序盤から巨大なボスが現れる。この辺の展開も、開発者のダークソウル好きを窺わせる。ただし、『ダークソウル』をプレイしたことのある人なら、割と避けやすい攻撃を繰り出してきたり、えげつなく体力を削りに来なかったり、難易度的にはだいぶ優しい。初めて見るボスも、そのパターンを読むことが簡単で、非常に気楽にゲームの世界に入り込める印象だ。

 ゲームのレベルデザインや、そもそも『ダークソウル』ほどシビアでない難易度設定には、もしかしたら賛否両論あるかもしれないが、個人的に概ね好印象。世の中に、『ダークソウル』みたいなマゾゲーがゴロゴロしていてたまるかってんだ、という気持ちはある。

画像2

 一方で、主人公の成長要素の複雑さには、洋ゲーらしいこだわりが感じられる。取得した経験値を、ステータスアップに使用するか、魔法レベルに使用するかを割り振り、その上で、各ステータスや魔法を選んでアップするという、なんだかよくわからない凝り方をしている。ステータス画面も、最初は何が表示されているのかよくわからなかった。でも、理解してくると、凝っていて面白いのかもしれない。

画像3

 今のところ、2時間半程度遊んだところだが、『ダークソウル』と似ているところ、違っているところを見つけながら、でもそれなりに楽しく遊べているというのが率直な感想だ。何よりも、『ダークソウル』みたいに死にゲーではないところが、気楽でいい。こう言ってはなんだが、本気を出さなくても遊べる、「ジェネリックダークソウル」のような感覚だ。

画像4

 しかし、後発のゲームだけあって、グラフィックは本当に素晴らしい。荘厳な寺院の造形。美しく輝くステンドグラス。重厚かつ壮麗な騎士たちの鎧姿。そのすべてが高精細なグラフィックで描かれるのは、プレイしていて気持ちいい。

 また、ストーリーは『ダークソウル』のような、よく意味がわからないけど滅びゆく陰鬱とした世界観とは違い、もっとヒロイックファンタジー寄りの味付けが為されているのが特徴的だ。もちろん好みの問題だが、人間を支配しようとする神と、それに立ち向かう人間の物語という設定は、西洋的な発想を感じさせつつ、気持ちよく戦いを繰り広げられそうだ。

画像5

 そう言えば、数年前まで『LORDS OF THE FALLEN 2』の開発が中止になったとか、別会社が開発を引き継ぐとか噂があったのだが、今はそれも聞かなくなってしまった。初代のPC用が日本で日の目を見ず、さらに続編も開発立ち消えとなってしまうのは、実に残念なのだが、どこかでまた復活してこないだろうか。ちょっと期待しているのだが。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?